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ダイボの忠告

ふう…… どうにかなった。

人気のない闇に沈む海岸沿い。

二人きりで楽しむ分にはいいが余計なのが何人もいたら雰囲気ぶち壊し。

どうしてくれるんだよと突っかかる訳にも行かない。

島民は皆優しくて人情のある者ばかりと言う話を真に受ければ痛い目を見る。

今回だって運よくリーダーが止めたからどうにか。通常ではあり得ない展開。

どうにかして逃れようとしたのではなく勝手にあっちが引いてくれた。

運がいいのは決して悪いことではないがラッキーとも言ってられない。


「おい! 二人だけで話しておきたい。悪いがミコトは外してくれないか? 」

どうやら脅迫する気らしい。本当に困ったな。

安心させてからやるのはなしだろう。震えるぜ。どんな要求してくることやら。

まさか財宝の分け前をよこせって言わないよな? それはいくらなんでも強欲。

もしそんなことになったらごまかすしかない。

リーダだがこいつもそこまで頭が回ることもないだろうし。


「でもアキラさんが…… 」

ミコトは案内役だからそうもいかないと引かない。

こっちとしても彼女がいてくれた方が安心する。

奴の真意が測り切れない状況では安全策を取るべき。

しかしダイボはどうも私に用があるらしい。断れない雰囲気。


「俺が責任を持ってお前の家に送るからよ。それでいいだろう? 」

そんな風に言われたら頷くしかない。

渋々了承するミコト。しかし女の子を一人で行かせて本当にいいのか?

もう暗いぞ。やってることは最低じゃないのか?

「ミコトさん…… 」

「私のことは心配なさらないで。島の方は皆さん優しくて素敵な方ばかり」

滅茶苦茶言う。どう考えても危険だろう? 

あの荒れくれ者がどこにいてもおかしくない。

しかし彼ら以上の者はいないから問題ありませんと。

こうしてミコトと別れて二人っきりになる。


「少し歩こうか」

なぜかミコトとの幸せなひと時がおかしな奴らの妨害に遭い台無しに。

まあ私の真の目的は財宝にあるのだからそれは構わないが。

彼が財宝に詳しいとは思えないがそんな奴ほど何か掴んでるもの。

大体あのナガレだって掴み切れてない。


財宝か…… 果たして本当に存在するのかも怪しい。

まずは確実にあることが証明されてから…… 

さすがに無理か。目の前になければただの噂に過ぎないのだし。

帰って行くミコトを見守る。果たしてダイボの言う通りにしていいのか?

ミコトだってまだ信用できないのに今さっき会った荒れくれ者のリーダー。

信じる方がおかしい。どうなっちゃうんだろう?


「よし行ったな? お前とは一度じっくり話しておきたかったんだ。

改めてダイボだ。もちろん本名じゃない。誰かが勝手につけたあだ名さ。

だがこのダイボは気に入ってる。お前もダイボと呼んでくれていい」

律儀に自己紹介。意外にもきちんとした巨人。

踏みつけられる前に逃げるのが安全策。

まあその時に踏みつけられたら元も子もないが。

それにしてもでかい。一体いくつあるんだよこいつは?


「ダイボはいくつ? 」

「二十歳そこそこだ」

濁すがそっちではない。じっと黙る。

「ああ身長か…… 二メートルちょっと…… 」

やっぱりこっちも濁す。意外にも恥ずかしがり屋さんなのかな。

そんなリーダー嫌だな。格好悪い。


「それで私にどのような話があると? 」

硬いがこれくらい慎重でないと。あえて二人きりを選んだからには何かある。

ミコトには聞かれてはまずい話。あるいはミコトに関する話なんだろう。

「単刀直入に聞く。お前はミコトをどう思ってる? 」

「ははは…… それはかわいくて上品で気の利く素敵な人」

無難に答える。果たしてこれでよかったのか? 

そんなつまらない答えが聞きたかったとは思えないが。


「そうじゃねえよ! 付き合いたいかって話」

うわ…… なぜこの男と恋愛トークをしないといけないんだ。

夜のお店で興味もないのに聞いて来るお姉さんみたい。嫌になるぜ実際。

どうせお前だって私の恋愛事情などどうでもいいだろう?

「はあ? 付き合いたいか? 」

そのまま返してみる。相手の真意が測れない以上仕方ない。

もしかして私は試されているのか?

「そうだ! きれいだろう? 付き合いたいと思うのが男じゃないのか? 」

こいつも結局は島のお節介爺と同じ。何を考えている? 暇なのか?

平和過ぎて脳が溶けたか? そんな夢の島に行ってみたいよ。


「それはもちろん! 付き合えればなと本気で考えています」

ついこの辺は真面目に答える。怒らせると怖そうだから。

「やっぱり! だったら充分に気を付けるんだな。

ミコトはお前が考えてるような子じゃない! 」

無理矢理言わせたのにその言い方。どうなってるんだ? お節介が酷い。

島の者は皆こんなものなのか? 相当重症に見えるが?


「かわいいだけでなく何か裏があると? 」

「ああ…… だがお前の想像するようなものじゃない。いいかたぶん…… 」

そう言って止めてしまう。どうやらこれ以上は秘密らしい。

まあいいさ。ミコトにどのような過去があろうと裏があろうとどうでもいい。

付き合う訳じゃない。そこを履き違えてるとおかしくなる。

島にいる短い間だけでも恋人ごっこができればいい。それ以上を望まない。

恐らく彼女だってそう。私がいくら願おうとこの島を出ればそれで関係は切れる。

それが旅行者であり冒険者。


「何でもない! やっぱりやめだ! でも今度の失態はすべて俺の責任だ。

だからこれだけは忠告してやる。もしどうしようもなくなったら俺に相談しろ。

きっとこれからとんでもないことが起こる。悲しむお前の姿を見たくない! 」

どうも悲観的になっているダイボ。一体この後何が起きるんだ?

コントロール不能の何かが起きようとしている。それを予言するダイボ。

恐らく島の秘密そのもの。それをペラペラとよそ者に話す根っからのいい奴。

どうやら今度の件で責任を感じ黙ってられなかったのだろう。

すると彼の言ってることはあながち悪ふざけでもないのか。

だが具体的に何も教えてくれなくてはどうにもならない。対策のしようがない。


ミコト…… お前の秘密って何だ? まさか財宝と関係があるのか?


                続く

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