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ミハマシマシマ  作者: グミさん
24/25

四時の鐘

ミビ茶とまんじゅうを購入して土産ショップを逃げるように立ち去る。

現在の時刻は三時五十五分。間もなく四時になるところ。


ゴーンゴーン!

ゴーンゴーン!

昨日もどこからか聞こえた鐘の音。恐らくこれは……

「まずいな…… 」

「どうしたんですかナガレさん? そろそろ行きますか? 」

「君の努力と行動力には恐れ入った。しかしタイミングが悪い。

この鐘は四時の鐘と言って毎日この時間になると鳴るのさ。

これが鳴ると皆家に帰ることになる。だから四時以降は人通りが絶える」

いるのは観光客ぐらいだそう。すると今日はもうお終いなのか?


「では急いで島長のところへ」

「ダメだ! 島長は体調を崩されている。四時以降の来客は基本受けつけない。

無理に訪問しようとすればただ悪目立ちするだけ。今日はこのくらいにしよう」

ナガレに諭されては大人しく従うしかない。これ以上は危険だと薄々感じていた。

誰であれ忠告には大人しく従うのが長く調査するコツ。

島の者と対立してるとは言えすぐにどうなるとかではない。


「では今日はどうすれば? 」

頼れるのはナガレのみ。案内役兼相談役。彼の判断を尊重しよう。

「そうだな。野宿しかないか」

「行けません! それではかえって危険です! 」

ミコトは文句ばかり。どうして?

常識で考えればナガレの言う通りにした方がいい。

待てよ…… 島中を探された終わりだ。外はもしもの時に発見されやすい。

だからミコトの言うことも一理あるのか。

「だったらどうする? 」

ミコトに強く当たる。急かしてもいい結果は出ないだろうが。


くそ! 全然うまく行かない。

土産ショップで合流したナガレの提案で島長を訪ねる予定が四時の鐘でストップ。

明日改めて伺うことに。果たして受け入れてくれるだろうか?

もちろん受け入れなくてもいろいろと手を打つつもりだが。

残された時間も僅か。これ以上手を拱いてる訳にはいかない。


「分かりました。秘密基地をご紹介します」

秘密基地…… 確かに今そう言ったよな? 聞き違いか? 

男の子なら誰もが一度は憧れるもの。それが秘密基地だ。

自分だけの特別の空間。あるいは仲間と夏の間過ごす場所だろうか。

そんなイメージがある。私も憧れたな。

でもその手のことには苦手意識があって夢のままだった。


前に一度友だちの秘密基地に遊びに行ったことが。

あの時は数人で楽しんだんだがどうもそれぞれの素が出ると言うか。

学校ではいい奴が実はとんでもない奴だったり細かかったりうるさかったり。

私は何にも気が付かない困った奴扱いだった。だからそこには一度っきり。

それ以降関係もいい方には進んで行かなかった。

憧れが強いあまりどうしてもそのようなギャップが。

大人になった今なら分かることだけど当時は違和感が拭えなかった。

疎外感にも近いのかな? とにかくあまりいい思い出ではない。


自分で挑戦もしたりもした。でも不器用で下手くそで苦手だったから。

続けていればトラウマになりかねない嫌な思い出を量産させただろう。

秘密基地作りの影響もあってキャンプも苦手に。

外でキャンプするのも嫌だったぐらいだから。

理由は虫が出るや刺されるなどのつまらないものではなくもっと根本的なもの。


そう言えば幼い頃はあまり人を信用しない子だった。

男の子同士だと雑とか荒いとか下品だとか。

自分だってそうなんだけど当時はどうしてもそう言う意識があった。

隣の奴はいい。でも友だちでもないような周りの奴が本当に信用ならなかった。

最低な奴ら。それがキャンプでの記憶。あとは単純に飯が大雑把で美味しくない。

グルメでもないがどうしても受け付けなかった。


だが当麻博士に拾われ海外に行きフィールドワークすればそうも言ってられない。

最初は辛かったな。でもその内慣れて寝袋を片手にどこでもキャンプに野宿。

こうして大人になれば比較的苦手意識はなくなった。

まだ完全には克服できないが悪いなりにどうにかなるものだな。


それにしても秘密基地とは久しぶりだよな。

秘密基地を作る彼氏ってどんな感じだろう? 少々幼さが見られるかな。

さすがにいくらなんでも小学生でもないだろうし。

高校も過ぎればそんなこと思いつかない。

するとただの暗号と言うことはないだろうか? 深読みし過ぎかな?

だがその可能性もなくはないと思ってる。


彼だってきっとここには天女伝説か財宝に近づこうとしたに違いない。

天女の生まれ変わりに近づくのが一番手っ取り早い。そう考えるのが普通。

そうすると以外にも遠回りしてるようで最短で来てるのかもしれないな。

彼もデート商法の失敗で親密になった? 運のいい奴だ。

いや逆にそれが運の尽きだったのかもしれないな。

元彼のおかしな趣味。その彼は今どこにいるんだろう?

きっと大地の下に埋まっているんじゃないのか?


「まさかそれは…… 」

どうやらナガレは心当たりがあるらしい。

「はい。あの人が作りたいって…… 」

ナガレよりも前にやって来たミコトの彼氏。

別に天女伝説と関係ないならどうでもいいが話したいなら話せばいいさ。

ただ元カレとのイチャイチャ話は聞くに堪えないことは自覚して欲しいな。

恥ずかしくて耳を塞ぎたくなりそう。


「あれから三年になるか? 」

「はい。かわいい人でした。でも突然だったから…… 」

「まさかミコトさんの彼氏さんはもう…… 」

やはり亡くなっている。少なくても失踪してるはずだ。

そうでないと辻褄が合わない。ミコトを捨て故郷に帰るほど薄情じゃないだろう?

「はい。もうこの世にはいません。私が殺したんです! 」

いきなりの衝撃的展開。本当かよ? 信じられない。いや想像はしていたけどね。

どうしてミコトが? 虫も殺せない天女の生まれ変わりのはずだろう? 

「ああ勘違いしないでくれ。今の殺したとは彼女のせいで亡くなったと言う事だ」

ナガレが一応訂正しておくと格好をつける。

もしかしたらそれもあり得るかもと思った自分が情けないし恥ずかしい。

いや正直に言えばまだ疑っている。


                続く

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