鍵掛け! お土産屋さんにて
ミコトは天女様の生まれ変わりと言うだけあって純粋だ。
島のことにこれ以上首を突っ込むなと言うなら従うとしよう。
島民の方が圧倒的に立場が上なのだから。
切り替えて心を入れ替えてミコトに接する。
「ねえミコトちゃん。中島と後島にはどう行けばいい? 」
天女だって財宝だってここにあるとは限らない。
我々のような略奪者から守るためには残りの二島にあると考えるのが自然。
そもそもこの島にあると考えるのは浅はか。それもすべて憶測に過ぎないが。
「それは…… 教えられません。島民以外の出入りは固く禁じられています。
分かるでしょうこの意味? 」
そもそもがよそ者には行けない場所にある。
ミコトもこれ以上は首を突っ込むなと。
自己責任は仕方なくても島民を巻き込んではいけないと釘を刺す。
今回みたいなことになったら責任が取れないと諭す。
ミコトには昔付き合っていた男がいた。
聞くところによればこの島の者ではないそう。
要するに私やナガレと同じ島の外から来た要注意人物。
私の先輩と言うことになる。しかもその男は恐らくもう……
だからって私と同一視して混同するのだけはやめて欲しい。
それとも初めから何もなくてただでっちあげて動揺させてるとか?
ただの観光客の立場では知る由もない。
知り得るとしたらナガレか? 聞くべきだろうか?
「あなたが何者かあえて聞きません。私たちには関係ないこと。
ですが島の者を巻き込まないで。遊びに付き合わされて嫌な目に遭っては可哀想」
ミコトは島の代表として意見する。島には島のルールがある。
それを守れずに大きく逸脱してしまった。
知らなかったこととは言えこれはさすがによくない。大いに反省すべき。
我々も本土に戻れば規則やルールに縛られることになる。
旅行に行った時ぐらい解放されたい…… 違う違う。私は仕事で来てるのだ。
床に臥せている当麻博士の意志を継いでこんな島までやって来た。
どんなことがあっても金銀財宝を発見してみせる。諦めるものか。
仮にそれが無理だとしても少なくても天女伝説だけでも解明したい。
それがここに来た第一意義である以上遠慮はしない。
邪魔をする者はたとえ誰であろうと容赦しない。それほどの覚悟。
絶対に諦めて堪るか。
「聞いてるんですかアキラさん? 」
「はい。もちろん」
「信じますよ? 」
「大丈夫。大人しくしてますのでお気遣いなく」
安心させてやるのが大人さ。これ以上不毛なやり取りを重ねる必要はない。
嘘も方便と言うしな。ミコトが可哀想などとくだらない感情に流されないぞ。
「ご案内しますね。ここが南地区唯一のお土産ショップです。好きなように」
ミコトの紹介でようやく例のお土産ショップへ。
サザナミの話では島で唯一と言っていたような……
別にまだ最終日でもないし旅行に来たのでもない。
一応は興味を持った振りをするが正直どうでもいい。
どうせ紹介してくれるなら島の秘宝でも紹介してくれると助かるんだけどな。
あれ…… 店の眼光鋭いおじさんが鍵を掛けだしたぞ。まずいな。
これは買うまで出さない気らしい。悪質な。
どこまで観光客相手にあくどいことをするつもりだよ?
善良な旅行客には堪ったものじゃない。
すると紹介したミコトもグルだと言うことになる。かわいい顔してよくやる。
これは下手すると尻の毛まで抜かれるか? それほど彼女は危険な存在。
それが天女様の生まれ変わりと噂のミコトの真の実力。甘く見てはいけない。
下手すると美人局だしデート商法でしかない。
この島はいい人ばかりはどうやら大嘘。私を安心させるためのホラ。
食堂のボッタクリもここの鍵掛けも到底まともな人間のすることじゃない。
でもおかしいな。私は少なくてもミコトに現を抜かしてないんだけど。
そう見えるのか? それともミコトがそう思ってるからなのか?
「ああ君たち。どうだったデートは? おじさんがいない方が捗っただろう?
やっぱり若い人は若い人同士が一番さ」
気を遣って離れていたナガレが合流。どうやら食べものを漁っていたらしい。
これは助かった。さあここから立て直そう。
「ほう…… 島長の名を出し怒らせて震えてると。おいおい情けないぞ。
でも確かにそうだろうな。分かるよ。俺の経験ではタブーだからな」
「ナガレさん頼みますよ! 」
「そうは言ってもな…… 」
どうも乗り気ではないナガレ。何か引っ掛かることでもあるのか?
でもここで島民全員から敵視されたら表を歩けない。
いくら鈍感な振りをしても事実囲まれたり襲われたら堪らないからな。
「お願いしますよナガレさん。今とっても困ってるんです。経験者でしょう?
人生の先輩としてどうかアドバイス願います」
下手に出る。ナガレに通用するかどうか? でもここまで案内してくれた。
気に入ってくれてるのは間違いない。後はどう活用するか。
生かすも殺すもナガレ次第となった。
「よし分かった。ここは島長に直談判しようじゃないか」
ラッキー! 島長に気に入られればこっちのもの。島での行動がしやすくなる。
しかし肝心の島長の居場所は分からないと言う。
それはミコトも当然知らないんだとか。
うーん。困った。時間がない。今日中に何とかしたい。
島民。特に中心街で騒いでいた連中に捕まる前に会いたい。
「ははは! いいでしょう。二人とも島長の居場所を知らない。
そう言うことにしよう。でも私は知ってるんだなこれが」
自慢じゃないが島長のお家ぐらいは資料にある。
参照すればすぐにでも居場所は特定可能。
これも日頃の行いと博士の教えを実践したから。
どうでもいいところと思っていても詳細をつけ足しておいた。
博士もこれは使えるかもしれないと言っていたから。
それが今成果となって表れた。
「ちょっと…… バカ! 」
どうやら本当は二人とも知ってるのだろう。でもここには鍵開け店主がいる。
無闇によそ者に教えたりすれば裏切り者扱い。
そして当然知っていることを言えば疑われ怪しまれる。
店長を見るが表情一つ変えずに睨んでいる。
とりあえずミビ茶とまんじゅうを買って店の外へ。
続く




