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ミハマシマシマ 天女の棲む島  作者: グミさん
16/30

フォグアイランド

通称:フォグアイランド。

天女伝説の謎と財宝を求めやって来たここミハマ島の別名。

島全体が霧に覆われてる感じがして憂鬱な気分になる。

しかし島の者は気にする様子はない。慣れているからそんなものだと。


調査に飛行機があれば便利だと考えたもの。

どうやらそれは少々甘え考えだったよう。資料にも飛行機・ヘリ不可の文字が。

これではヘリポートはただの飾りかもな。ヘリではこの霧を抜けられない。

計器が狂って墜落でもしたら一巻のお終い。

だから近くまで行ってそこからフォグアイランドへ渡る。これ以外ない。

帰りは週に一度往復する船に乗せてもらうことになっている。

空路は無理なので大人しく航路で向かうことになる。

面倒だし時間も余計に掛かるがこれ以外の方法はない。


うん…… どこからとなく声が聞こえる。私を呼ぶ声。アキラと言ってる気が。

幻聴だろうか? 当然それ以外あり得ない。そう呼ぶ者はこの島にはいない。

南地区には昨日到着したばかりで監視役のサザナミだっていないはず。

仮にいてもそこまで慣れ慣れしくはなく礼儀を弁えている。

女性の声だがさすがにミコトでもその母親とも思えないんだよな。

あるとしたら…… 天女様。それくらいしか思いつかない。一体誰なんだ?


おーい! おーい!

とにかく応えなければ。仮に違ってもそれはそれで構わない。

新たな発見。新たな出会いは大歓迎。

実際はそこまで話好きでもなければすぐに溶け込むような性格でもない。

至って普通の日本人だ。少々遠慮がちで口数も少ない。これは謙遜ではなく事実。

男は黙ってと言う風に教わったからな。寡黙が格好いいと思ってるところもある。

ただそれではいけないと博士に教わりフィールドワークでは明るく振る舞った。

博士は外面はいいからパーティー等によく顔を出している。


「あなたは誰? 」

ついに認識された。相手は恐らく天女様だろう。

「私はアキラと申します。昨日ここに。君を迎えに来たんだ! 」

ちょっと大げさに言ってみる。

こうすれば仮に相手が天女様でなくても反応するだろう。

「私は私は…… 」

何か言いたそうだがストップ。残念だがもうお終いらしい。


「待ってくれ! 君は何者? どうして私の心を乱そうとする? 目的は何だ?

これは君の意思なのか? それともこの島の意思なのか? 」

つい焦っておかしな質問を重ねてしまう。冷静に冷静に。

これでは答えたくても答えられないではないか。

せっかくお話の機会を得たのに困らせるようなことばかり。情けない。


話に飽きたのか何も言わずに舞う。ただ見守るしかない。

ここからでは分かり辛いがどうやら隣の島の住人かあるいは本物の天女様か。

昨日とは場所が全然違うので三島あるうちの最後の島と言うことになる。


ここは俗に前島と言われている。主に島民が使用。

博士たち研究者の間ではフォグアイランドと呼ばれている。

周りからは単にミハマ島と呼ばれている。三島の総称だ。

すべては博士が調べ上げた調査報告書等の資料に記載されている。


順番に前島・中島・後島。

前島でのみ観光客に対応。残りの二島には許可なく入れないようになっている。

ここまでは当麻博士が調べ上げている。

ここ前島は比較的観光客に優しくて歓待してくれるらしい。

でも中島も後島もそれはそれは閉鎖的だと。すべて噂に過ぎないがどうだろう?

天女伝説解明にも金銀財宝発掘にも二島を無視できない。

どうにかして残りの二島へ進めればな。


天女らしき女性の舞。ほぼ昨日と同じ。

と言っても遠目だし違いが分かるかと言えばそんなことはなくただ何となくだ。

舞を三度踊り終えると肩で息をして辛そう。相当疲れてるんだろうな。

それでも微笑みを絶やさない。完璧な女性。これが人間であるはずがない。

汗も掻いてるか? いやさすがに天女様は汗を掻かないか?

もしかしたら臭いか? いやさすがに天女様は香しい匂いを残すだけだろう。


手を振ると返してくれた。天女の役目を終えただの人間に戻ったのだろう。

これでお終い。すぐに姿を消してしまう。どうやら霧の影響ではないらしい。

何らかの理由があって姿をお隠しになったのだろう。

伝説となるほどのお方だから。

この手で穢すなどできない。ただお姿をお見せする時をじっと待つしかない。


それから三十分近くが立って何も変化がないので散歩を再開。

充分にリフレッシュしてからナガレのところへ戻る。


天女様…… ああ天女様! どうぞこの私をお導きください。

幸福に導くのです。それにはやはり金銀財宝を指し示すべきでしょう。

どうぞ私に幸を! 名誉を! 栄光を!


つい欲を出してしまう。どうせ天女様は私の邪な考えなどとっくにお見通し。

だから今更取り繕っても意味がない。自分に正直になるべきだろう。

何と言ってもここには財宝発掘に来た訳だからな。

それ以外のことは基本的にはどうでもいい。

もちろん無事にこの島を脱出したいのが本音だが島の者はそこまで野蛮じゃない。

手掛かりも見つけられず途方に暮れていればきっと見逃してくれるはず。

こんな愚か者など始末する価値もないさ。

とりあえず天女様に自分の願いを伝える。これがとても大事なこと。


それにしても一体この島はどうなってるのだろう?

昨日も今朝も確かに天女様を見た。見ただけでなく今回は一言二言交わした。

まるで夢のような体験。ナガレに話したところでどうせロクな反応しないだろう。

もしあれが本当に天女様だとすると私はとんでもない経験をしたことになる。

それこそ神々しほどの天女様を目の前に語り合ったのだから。

まだ島に来て三日目だと言うのに順調過ぎないか? 逆に不安になってしまう。

でもそんなこと言っていたらタイムアップ……

果たしてこれでいいのかまったく分からない。


ナガレに聞けば多少は現在地が分かるがあまり当てにならない。そう言う人だ。

とにかく少なくても残りの二島に渡り島の隠された真実に迫りたい。

あの天女様に会える日々を夢見て。神々しいほどの天女様に。


               続く

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