全員の思いを乗せてミハマ島の真実へ
村長の変遷。
当初はただ山に籠ろうとしたのだろう。
しかしどう言う訳かミハマの真実を伝えようと我々を招待する。
目を開けば信じられない光景が広がっていると。
一体どう言うことなんだ? 本当に見ていいものなのか?
今はワクワクよりも不安の方が強い。
どうであれこれですべての答え合わせができる。
ミコトにトワナにナギサにもしかしたらサザナミも。
私に関わった者たちを代表して今ここに立っている。
だからもう怖くない。彼女たちのためにも真実から目を逸らしてはいけない。
瞑ってはいけないのだ。それが三島を巡った私のせめてもの慰めであり償いだ。
こうして決意を胸に目を開けようとするがなぜかストップが掛かる。
ミコトの時の悲劇に繋がる部分が。
あの時眩しさに目を瞑ってなければミコトは消えなかっただろう。
いやもしそのまま目を開かなければ困惑したミコトが戻ってきたかもしれない。
そんなおかしな妄想に支配されてしまう。
だからどうしたって瞼が重い。
とは言えずっとこのままと言う訳にも行かない。私はどうしたら?
葛藤を終えついに覚悟を決め目を開ける。
これがすべて。私が追い求めたミハマ島の真実。
それはとても信じられないでは言い表せない光景。でも本当にあり得るのか?
すべてが幻影であったら…… 逆に幻影でもあって欲しかった。
「真実だ。これが真実だ! 」
ディファイが叫ぶとこだまする。
「フォフォフォ…… 見えるか? そうだ。これが真実だ!
お前たちはよその者だから特別に見せてやった。
もし島民に漏らしてみろただでは済まさんぞ! 」
凄む村長。さすがは昔から権力をかさに横暴を繰り返して来ただけある。
まったく。跪きたい気分だぜ。へへへ……
「村長。聞いてませんよ。アキラの奴はもう腑抜けてます」
「フォフォフォ…… ちょっと刺激が強すぎたかの。まあよかろう」
どうやら村長は満足したらしい。戻るぞと言うので慌てて止める。
「村長! ここ…… これはどう言うことですか? 」
「うん? よそ者を寄せ付けないための方策。まんまと引っ掛かった訳だ。
しかし何度も忠告するが島民には絶対に漏らすでないぞ! 分かったな?
儂はお前らを信じて教えたのだ。ずっと心に。秘密を秘密のままにするのだぞ」
大変ありがたいお言葉を頂戴する。しかし真意がイマイチ測れない。
「まさか島長の命令ですか? 」
「まあそんなところだ。島の真実が分かった今もうここにいる意味はない。
即刻立ち去れ! そしてお前の信じる者を幸せにするのだ。
決してナガレのようにはなるなよ! 」
ついに村長からとんでもない秘密が伝えられる。
ナガレさえ知っている村長。さっきまでなら意味不明だった。
しかし島の秘密が解けた今その真意も充分に測れると言うもの。
「あの…… これって本当に可能ですか? 」
「さあな。試したこともない。ただお前には覚えも心当たりもあるはず。
いつか闇夜に迷い込んだ記憶があるのだろう? 」
村長の指摘でついに思い出した不思議な出来事。
まさかすべてが仕組まれていたことだと言うのか?
だが一体どこまでが思惑でありどこまでが真実なのか?
知りたいような知りたくないような……
村長はそんな私を甘やかさない。
真実を知りすべてを受け入れて愛を貫けと説く。
それが果たして私にできるのか?
この島…… もうそれでいいんだよな?
島に来た当初は自信に満ち溢れていたが今真実を知り一層恐怖を覚える。
でも進まなければ。村長が示した道しるべを頼りにすべてを暴くとしよう。
そしてすべてを心に留めて山からの光景はもう振り返らないことに。
「ではここで」
山を下り中央エリアまで戻って来る。
「あの一つよろしいですか? 」
「好きに聞くとよい。だがこれ以上の情報は持ち合わせてないぞ」
「火山は結局爆発するのでしょうか? 」
「さあな。神のみぞ知る。ただ火山守はもう必要ない。
時代にそぐわなくなった。新たな方法を模索していくつもりだ。
その時はもちろんディファイの協力を得るつもりだがな」
すべての役目を終えたかのように村長が大人しくなった。
恐らく呪縛から解放されたのだろう。晴れ晴れとしている。
このまま昇天しかねない。満足感に溢れている。
「もうお爺ちゃんどこへ行ってたの? 」
クルミに引き渡す。これで私の任務も終了。
「ごめんねアキラさん。でもお爺ちゃんは何だか満足そう」
「フォフォフォ…… いい話相手になってくれた。口も堅そうだしのう」
村長はただの爺に戻った。
「それではこれで…… 」
「ありがとう。山に籠るってずっと言ってたからとても心配してたの。
説得してくれたんですよね? 本当に助かる。これをナギサちゃんに」
ついでにと頼まれたが一体何だろう? かんざし? オシャレか?
「よし行くがいい若者よ! ついでによそ者よ! 」
結局ただよそ者を嫌ってないか?
偏屈な爺さんだったが付いて行った価値はあった。
家に戻る前にメイのところへ顔を見せる。
「ああそんなところにいた! アキラの探しものが見つかったよ」
メイが慌てる。するとまさか……
「お宝の居場所が分かったの」
どうやら本当らしい。しかしどうやって?
疑問に思うとついて来てと無理やり引っ張っていく。
おいおいいくら何でも強引過ぎるぜ。そう言うの嫌いじゃないけどよ。
しかし早過ぎないか? まるで何か大事なことがあるからと適当に済ます?
今日中にすべて分かるのは嬉しいけどもっとゆっくりでもいい。
「それで兄はどうしてる? 」
「お兄ちゃんならマグロたちと対策会議。アキラも用が済んだら覗いてみてね」
こうしてメイに連れらて島の秘宝の在り処へ。
「こっち! こっちです」
随分と慎重に手を振るミサキさん。どうしたのだろう?
話によるとこの島に伝わる秘宝・真実の瞳の所有者が分かったそう。
今から訪ねるそうだがどうも港エリアに向かっているような……
まさかナギサの家の団子屋で一服したいのか?
「ここですここ」
ミサキが示したのは船長宅だ。
「アキラじゃねえか! またメイちゃんの尻を追いかけてるのか? 」
そこにはサナギの姿が。隣で気弱そうな男が苦笑い。船長だ。
「あの…… そちらの方にお話があるんですが」
ミサキは怯まない。まさか彼女も秘宝を狙う一味なのか?
いやあり得ないか。だったら私に宝の在り処など伝えはしないさ。
「好きです…… 」
どうやら船長がミサキさんに告白したらしい。とんでもない展開だ。
急過ぎてもう意味が分からない。
「おい船長! 本気か? 」
そう言って背中を叩くサナギ。どうやら興奮してるな。
いきなりのことに困惑気味のミサキさん。
「いえ違うんです。好きにしていいですよと言ったんです」
訂正する情けない心優しき船長。どうやら告白は本気っぽいな。
無理だと判断して切り替えたな。さすがは船長って…… 偽物か。
「そう言えばミサキさんって胸ありますか? 」
どさくさに紛れて聞いてみる。
「はあ? アキラさんまでからかわないでください! 」
「違います。胸があるのは大体分かりますから。胸に傷があるかなと」
「いえ…… ないと思いますよ」
「おいお前たちバカ言ってないでしっかりやれ! 」
サナギが茶化す。すると船長は黙ってしまう。
今から出掛けるので好きにしていいは変わらない。
すると船長は本気かもな。でも相手はミサキではなくメイだったりして。
こうして家探し開始。暇な時にメイに確認を取ってもらい報告を受ける。
どうやらミサキさんも天女の生まれ変わりではないらしい。当然そうか。
絞り切れずに手当たり次第ではその内私は村の者に襲撃を受けそうだ。
それだけ危険な行為だと理解している。
続く




