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ナギサとの危ない夜

歓迎会後の密会現場に帰ったはずの三人の姿が。

カゼリアとの関係を追及するハルだったが言い返すと黙ってしまう。

互角だったのにもう降参。本当に情けないな。


「それでこそアキラ。でも他の子にはちょっかい出さないでね」

「おいメイ! 俺はそこまでの色ボケしてない。お前の胸だって仕方なく…… 」

よせばいいのについ余計な一言を。どうしても止まらない。

「何ですって! 私じゃ不満? 」

メイまでキレたらどうにもならくなる。

「不満と言うか…… ほらもっと時間をかけてゆっくりお互いを…… 」

どうにか言い逃れるがメイはそれでは納得してくれない。


「あの…… アキラさん私…… 」

二人を見守っていたナギサはショックが隠せない。

「大丈夫だ。胸を見るのは単なる習慣さ。フィールドワークでしかない。

全然気にすることじゃないぞ! 」

「はい! アキラさんはそんな最低な方ではありません」

どうにか言い訳して納得してくれた。ナギサと拗れるのが一番困る。

メイなら多少嫌われてもどうにか…… いや無理だ。想像もしたくない。

「嫌いにならないでくれメイ! 」

つい懇願してしまう。


「アキラ…… やはりあなたには私しかいない」

「いやちょっと想像してただけ。誰であれ嫌われるのは耐えられないさ」

「特にかわいい子にはだろう? 俺に嫌われてもいいと思ってないか? 」

放っておいたのもあるだろう。ハルはすっかり捻くれてしまった。

「ははは…… もちろんそんなことあるはずがない。お前は考え過ぎだ。

カゼリアを狙ってるなら攻略法を教えてやってもいいぞ」

自信満々に言うがそんなものはない。だから当たって砕けろとだけ。

「ふざけるな! ちっともアドバイスになってないだろうが! 」

意外にも冷静なハル。でもここにはナギサもメイもいるんだぜ。

具体的に言えば生々しくなる。


「お兄ちゃん最低! 」

メイはもはや見放す勢い。さすがに可哀想。

「メイ…… そうだ。妹を利用してカゼリアさんと仲良くなればいい」

「うん。それはいいかも。手伝ってくれるなメイ? 」

「もう勝手に妹を巻き込まないでよ! 」

あーあ嫌われたか? 妹思いの奴には耐えられまい。


「よしもう遅いからお前らは帰れ! 」

どうにかごまかせたことだしこれ以上ここにいても意味はない。

メイたち兄妹と別れ二人きりで家まで。

そう考えるだけで何だか罪悪感みたいなものが生まれる。

もしかしていけないことしてるのか?

大丈夫。どこも問題ない。二人は同じ家に帰るのだから。

一緒でない方が不自然だ。


「なあナギサ…… 暗いだろう? 」

「そうですね。夜ですから。アキラさんは慣れてるのでは? 」

「ははは…… 俺だって怖いものは怖いさ。バリバリの恐怖に怯えてる」

中島での思い出を語る。

「結局それって何でしたっけ? 」

「バリバリ? 俺は見てない。とんでもなく凶暴な夜行性の化け物だそう」

「それなら私だって…… いえ何でもありません」

「どうしたナギサ? お前は中島を知らないんだろう? 」

「はい。でもなぜか懐かしい気がして…… そう言うことってありますよね」

どことなく感じたことのある恐怖。聞いたことのある雄叫び。

どの島にも田舎にもあるような言い伝えや伝説。

人間の恐怖から生まれた空想上の化け物。

恐らくナギサはその手の話をしてるんだろうな。

特に気にすることなく流す。


「きゃあ怖い! 」

寒さもあり急に怖くなったと。これはラッキーって言ってられない。

「おいナギサ……  」

腕を掴む。離せと言っても聞きはしない。

仕方なく手を繋ごうと提案する。

「ありがとうございます。こんな私のために」

ナギサは自分に自信が持てないからかネガティブに捉えがち。

「何を言ってるナギサ! お前は魅力的だ。そんな風に自分を低く見てはダメだ」

つい感情的になりまるで叱ってるかのよう。これはナギサも受け付けないか?

「そうでしょうか? でも…… 」

「お前は控えめ過ぎるんだよ! もっと自分を出していけ! 」

「それは確かにそうですね」

「分かったなら手を繋ぐぞ! 」

さっそく手を繋ぐことに。

うわ…… ナギサの手は思ったよりも小さい。

匂いは分からないが何とも言えない感触。


「なあ熱くないか? 」

恥ずかしくてつい手を放そうとおかしな言い訳する。

「そうですか? 私は気持ちいいですよ」

「でもエレンに見つかったら俺だけが噛みつかれる。

それに親父に見つかれば俺だけがその場で処刑されるぞ。

だからここはやはり普通に帰った方がいいって」

なぜかこっちが拒絶する。さっきと正反対なことを言い混乱させてしまう。


「そ…… そうですよね。でももう遅いですし…… 」

訳の分からない理論。それが関係あるのか? 

「悪い。はっきり言わせてもらえばナギサが好きだし相当緊張もしてる。

だから無理せずに…… 」

私は緊張のあまりおかしな言動に出る。それをどうにかしようとするも修正不可。

「私だってたぶんアキラさんが好きですし緊張だってします」

なぜか張り合うナギサ。真面目なのかこれは? 好きの意味理解してる?


「すると俺たちはもしかすると両想い? 」

「きっとそうなんでしょう…… はい」

ナギサも認めちまった。どうするんだこれから?

「ならこのままでもいいのか? 」

「きっとそうですよ」

こうしておかしな関係が続く。


「お帰り…… お前らなぜ手を繋いでる? まさかもうやっちまったのか? 」

サナギがふざけたせいで何も言えずにとんでもない雰囲気に。

「それが…… 」

「もちろん冗談だよな? 」

言ったことを後悔してる様子のサナギ。


「それがナギサが…… 」

「アキラさんが放してくれなくて…… 怖いそうです」

「ははは! 情けない男だぜ。それで震えてナギサの手を借りたのか? 」

どうやらサナギは怒ってはいる。だが私の情けなさを嘆いてのことらしい。

だったら問題ないよな? 

こうして何事もなく寝床へ。


どうしよう? さっきのが影響してまともに話せない。

せっかくエレンが遠慮して二人きりにしてくれたのに本当に情けないぜ。

「あのエレンはどこに? 」

「それが…… サナギと寝ると聞かなくてさ。今夜はエレンは抜きだな」

まあ嘘でもないさ。サナギもエレンと寝ることもあるらしいので。

ただ今日は無理やり押し付けた。ナギサが寝不足になるからと言い訳して。


さあここからが勝負だぞ。

少なくても二人は結ばれないといけない。

それが運命。両想いなら何の問題もないはずだ。


「おいナギサ! さあこっちへ」

「ですがそう言うのはまずいのでは…… 」

どうやらナギサも興味が無い訳ではないらしい。

「俺もそう思うがでも両想いの男女なら当然だとメイが言っていた」

メイを出せば信憑性がありそうだし嫉妬心を煽ることもできる。

結果ナギサの方から求めて来れば最高。


「でしたらやらない手はありませんね。ですが団子が…… 」

「団子は今関係ないだろう? 俺と団子どっちが好きなんだ? 」

迫れるだけ迫ろう。でもはっきり言ってこっちもドキドキしっぱなし。

「団子は二番目です。アキラさんが…… 」

「俺がどうした? はっきり言ってくれ? 」

つい格好をつけてしまう。ナギサは島の純朴な田舎娘って感じで騙しやすい。

でもだからって自分の感情に嘘はついてないし欲しているのは間違いない。

「一番目です。アキラさんは団子よりも好きです! 」

正直な気持ちを伝えるナギサ。


ついにこの時がやって来た。

ナギサの気持ちが聞けてよかった。

誰に対しても優しく一定だから自信はない。でもナギサを信じていいだろう。


「よしではまず手を繋ぐか? 」

「そうですね。ハイ」

「今度はもっと近づいて。そうだ真っ暗だし全部脱いじゃおう」

ナギサを騙してるようで気が引けるがこれも愛情だ。

胸さえ見れれば私は満足なのだから。

「それは…… ハードルが高過ぎるかと…… 」

「そうか? でも俺は脱げるぞ」

行動で示すがどうせ見えないので意味がない。


「もう眠くなってしまいました」

「よし寝るか」

ナギサにはどうやらまだ無理らしい。ここは時間をかけてゆっくりと。

それがナギサにとってもいいだろう。ただもう時間がないのは確か。

不安だ。漠然とした不安がある。

こうしてナギサとの距離を縮めるも強引に持っていけなかった。


「おやすみナギサ」

「はい。おやすみなさいアキラさん」

楽しみは明日に取っておくとするか。


翌日島に動きがあった。


                  続く

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