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ミハマシマシマ  作者: グミさん
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夫の始末

お酒にめっぽう強い奥さん。ただ勘違いしてると思われる言動がある。

「お願いしますお母様! 」

「ははは! お母様と来たか。都会の人は言うことが違うね。

でも娘はあげられないよ。悪く思わないでおくれ」

どうも本気でミコトを狙ってると思われてるらしいぞ。それは大きな間違い。

正直天女様に会いたいがそれだってすべて財宝の為。

悪いけどたかが島娘相手に本気になる訳ないだろう?

大体それならフィールドワークでは常に現地の娘と関係を持つことになる。

そんなとんでもない最低男に見えるか? 多少はあるが。

私の目的はあくまで金銀財宝だ。そのついでに天女様だ。

ミコトとだって会ったばかり。愛を語り合うには時間がまだまだ足りない。

確かに長くいると情が移るだろう。しかしそれでも目的がある以上揺るがない。


「お願いします! 知ってることがあれば何でもお教えください」

無理矢理頼み込む。多少強引だったかな?

でもこれくらいでないと本気が伝わらない。

「そうだね。だったらあの男を追い出してあんたと一緒になったら考えようか」

ふざける。やはりまともに取り合わないか。それとも本気で毒親なのか?

毒親の定義がいまいちなのでどうとも言えないが。

しぶといのと酒に強いのは間違いない。もう少し真面目に向き合ってくれたら。

「それはちょっと…… 無理を言われても困ります」

旦那さんを抹殺するよりはまだ平和的だけど追い出すなどできない。

それ以上に奥さんと一緒になりたいとも思わない。冗談でも言うべきではない。

ミコトが聞いたらショックを受けるだろう。悲しませていいのか?


「覚悟はないと? 」

「いえ…… ですがあなたの旦那さんなんですよ? 」

「ははは! 旦那と来たか。それは紙切れ一枚の話。それに私が望んでじゃない。

周りから勧められて仕方なくさ。もうどこかでのんびりしたいよ」

どうやら現状に満足してないらしい。それとも何か意味があるのか? 

酔っぱらってるだけにも見えるがこの人は酒に強いはず。

するとシラフとまでは行かないが充分に頭は回っているのだろう。


「それは…… 」

これ以上何と言えばいいかまったく分からない。

島の秘密に迫る情報なら確かにそれだけの価値はあるだろう。

しかし旦那さんを追い出してミコトを悲しませてまですることか?

大体あの男が素直に言うことを聞く訳がない。

ふざけるなとこっちにとばっちりが行く。

「どうなんだい? はっきり頼むよ! 」

「もちろん冗談ですよね? 」

「冗談なものか! 」

「そんな…… 」

とんでもない条件を突き付けられたな。これってナガレも経験したの?

切り抜ける方法ってあるのか?


「あんた単純だからミコトが気に入ったんだろう? やってもいいんだよ」

どうやらミコトに興味があるのを気取られたよう。ないはずないだろう?

だが当然私はそのような甘い人間ではない。

金銀財宝に名誉の為なら天女様だって利用する。

たかが田舎の島娘に本気で興味を持つ訳ない。

それはこの島に来てから一貫してる。それはそれこれはこれだ。

「素敵な方ですから。天女様の生まれ変わりならばそれは当然かと」

「そうだね。ここ南地区以外からも人気もあってそれはうっとうしいぐらいさ」

「ははは…… 凄いですね」

褒めつつ距離を取る。

もし自分がただの旅行者なら今すぐにでもこの毒親のご機嫌取りに走るだろう。

そうしていいように扱われポイっと捨てられる。それが情けない男の性。


「ほらもう寝る時間だ! 明日も早いよ」

どうやら頼み込まずとも明日には南地区を案内してもらえるらしい。


酒の席で気が緩んで島の秘密を語るかと思いきや口は堅いまま。

逆にこっちが揺さぶられ追い詰められる始末。

このまま追及が続けば陥落する。その前にどうにかしないと。

いや誰かにありのままを伝えたい気持ちがどこかにあるのだろう。

どうも奥さんは毒親のようで大事な娘をネタにふざける。

それは大変醜いこと。どうしてそこまで下世話な話ができるのだろう?

これでは期限内に金銀財宝にたどり着けるか分からないぞ。


「へへへ…… もう一杯! 」

ナガレはもう判断がつかない状態。気持ちよく酔っぱらって寝てる。

まったく案内役兼相談係なんだからしっかりしてくれよな。

「ナガレさんいい加減にしてください! ただお酒を飲みに来たんですか? 」

今日会ったばかりのナガレを信用してる訳じゃない。でも彼はどうしても必要。

島外の者の協力も客観的な意見もついでにアドバイスも貴重。

サザナミが紹介したので作為的ではあるがそれでも一番頼りになる。


「悪い。勧められては断れないものさ。これもフィールドワークだよ」

戯言を抜かす。そう言えなくもないだけに反論しづらい。

当麻博士もこの手を使って言い訳していたな。無理はあるが立場が弱いからな。

こうして酔っ払いと一緒に寝ることに。


お客様用に部屋がある訳ではないので離れの小屋のところで寝る。

明日はもう少しまともなところで寝たい。

とにかく強烈。酒臭さが消える。しかし混ざるととんでもない臭いになる。

ああ我慢我慢。今日は我慢だ。これくらい何てことない。

多くの国や地域を回ってきた。それに比べたら贅沢なものでまだ余裕さ。


そろそろ寝るか。

安全面を考慮すれば眠れないがここまで穏やかだと恐怖が軽減される。

この島の者は決して野蛮ではない。そう信じることが精神衛生上いいだろう。

つい恐怖からありもしない幻影やつまらない噂に囚われ動きが取れなくなる事も。

これもフィールドワークを続けているとよく感じること。

噂では恐ろしとされてるところでも打ち解けてしまえばどうと言うことはない。

つまらないがそれが現実さ。おかしな噂はそこの者があえて流してる場合も。

ただだからと言ってこのミハマ島がそれに該当するかは定かではない。


まだ島上陸して二日しか経ってない。ほとんど何も分かってないようなもの。

もしこの島の全容が知れた時に果たして自分はどうなってるだろうか?

ワクワクと緊張の入り混じった感情を抑えながらどうにか眠りにつく。


                続く

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