お願いしてみた
ナギサを仲間に加えて昨日に引き続きムネガさん宅訪問。
村の外れの少し森になってるところにムネガさんの家がある。
誰も島の者は語ろうとしないが一人で暮らしているらしい。
メイやサナギに聞いても家族については不明と。
するとムネガさんは村外れの家に寂しく一人で暮らしてることになる。
「それにしても寂しいな。まるで廃墟だと思わないか」
「はいアキラさん」
ナギサもムネガさん宅は初めてだと。そもそもが団子屋がある。
お友だちも少ないしエレンの散歩にもここまで来ることはないと。
ムネガさんとはもちろん面識はあるがと付け加える。
別にそこまで詳しく聞いてないんだが。
「ほら行こう! 」
メイがふざけて押すから転びそうになる。
「おい押すなってメイ! 大丈夫かナギサ? 」
「はい。問題ありません」
「それにしても寂しいとこだな。鹿とかウサギでもいたりして」
「鹿? ウサギ? 島にはいないっての! 」
「嘘を教えないのお兄ちゃん! 」
近くの島との交流がありそこの奴が持ち込んだとかでウサギはいるそう。
ただ鹿はあの大きさだから持ち込むことはない。
「それで本当に大丈夫ですか? 」
「信じてよナギサちゃん! 何度覗いたと…… 」
いつの間にか距離を縮めてナギサにちゃんづけ。馴れ馴れしい奴め。
間抜けなものだから正直に白状してしまう。これは始末に負えない。
同情はもちろん手助けもしない。甘やかすとナギサが危険だ。
「いつもそんなことばかりしてたんですね? 最低! 」
そう言うとナギサは私の後ろに隠れる。
「男なんて大体そんなもんだって。気にするなよナギサ」
とりあえず空気が悪くなる前にフォローしてやる。
「嘘…… アキラさんまで? 信じられない! 」
ナギサが怒ったり騒いだりと。宥めるこっちの身にもなって欲しい。
盛り上がりに欠けるのでちょうどいいかな。
「いや…… 残念だが俺は特別な存在だ。そこまでの欲求はない」
格好をつけると嬉しそうにそうですよねアキラさんと言うナギサ。
簡単に騙されるタイプだな。これは放っておけないぞ。
今朝のトラブルを見ればそんなはずないって一目で分かるだろうに。
本当にナギサは真面目で純粋。これだから近所の年寄にも人気があるんだろう。
団子屋の看板娘として港エリアで絶大な人気を誇るとサナギが。
親バカのサナギのことだからいい加減で大げさなんだろうな。
「ほら呼んでくれよメイ」
「お兄ちゃん早く! 」
「俺? でも何度も言うけど覗いていた実績があって。頼むよアキラ! 」
それは実績とは言わない。それにアキラといつから対等に?
いや待てよ。でもそうか。メイも兄も貴重な協力者か。
「もう分かったよ。お邪魔します。ムネガさんいますか? 」
雑に訪問する。これでは失礼だろうが仕方ない。
昨日の今日なら許してくれるだろう。
「何か? ムネガに用? 」
この島には方言はないと言うがいい加減。ただこの子の場合は事情が違う。
昨日から一転片言の日本語で応対する。機嫌が悪いのか? 警戒してるのか?
「その…… 」
ダメだ。一言も出ない。ここはメイに任せよう。
「お兄ちゃん! 」
「また俺? それはないって! 」
「おお変態さんね。どうしたまた覗きに来たか? 」
言葉を理解してるのか? してるならこんな聞き方はしないか。
昨日とはどうしてこうも違うのか? 恐らく大げさに演技してるのだろう。
迷惑だとはっきり言えればいいが島民との関係もあるからな。
可哀想に寂しく一人暮らしさ。
「違う! 俺は変態じゃないし用もない! 」
そうして私に回す。しかし用と言ってもあれだから。そのためのメイでもある。
「おいお前ら! いい加減にしろよー 」
片言だからまだ和やかな雰囲気だがこれは怖い人のセリフだよ。
一体誰から教わったんだ? とんでもなく柄が悪い。
「分かりました。ムネガさんに悪いですからね私が代表して聞きましょう。
それでアキラさんは何が聞きたいんですか? 」
耳打ちするように促すナギサ。どうやら私のために無理してくれるらしい。
だがこれをナギサの耳に入れるのか? それ以上に言わせるのか?
イメージが崩れてしまう。恥ずかしがってるところを楽しむのは趣味が悪いぞ。
「やめた方が…… 」
「いいですから早く! 」
止めても無駄のよう。有無を言わせないナギサ。意外にも集中すると怖い。
ただのとろいおっちょこちょいではなさそうだ。
「では胸を…… 特に下の方を見せてくれないか」
これを兄の方から伝える。伝言ゲームの要領。
「うんうん。言えるか! 」
覗き魔のくせにその程度が言えないとは情けない。
仕方ないのでメイに伝言。すると拒絶される。
「アキラさんがそう言うなら…… でも今は無理なの。分かって! 」
ダメだ。自分のだと思ってる様子。違うんだって! ムネガさんの方。
メイのはもう確認しただろうが。
「ムネガ忙しいね。ハリーアップ! 」
ムネガさんは出掛けたいらしい。でも今出掛けられたら困る。
「もう皆さん! お静かに」
ナギサに叱られる。
「ナギサちゃんどうしたの? 」
どうやらナギサは信用されてるらしい。さすがは団子屋の看板娘。
「ムネガさん。実はアキラさんが御用があるそうです」
「うーん。いいよ」
「ほら早くお願いしますアキラさん」
このままもう少し続けても面白そうだが危険か。
ならば早く言うか。
「ムネガさんの…… 」
「はいはい。ムネガさんの…… 」
「胸が見たい! 」
「ムネガさんが見たい? 」
「違う! お前の胸が見たいんだよ! 」
ついそのまま言ってしまった。
「おう大胆ね。でもボーイには見せられないよ。ナギサちゃんならいいよ」
「いえ私はちょっと…… 」
遠慮気味のナギサ。仕方なく代わりに兄の方が…… ではなくメイが。
これで解決だろう。
「うわあ…… 凄く大きい。私にはとてもとても…… 」
ムネガさんの胸を見るメイ。自信喪失してないできちんと伝えてくれよ。
埒が明かないと兄が詳細を求める。
「おお! 恥ずかしいね。本当にこれが人助け? 」
事実だがやってることがやってることなので強くは言えないし自信もない。
「おいメイ! 」
「もうお兄ちゃんってば大きさばかり聞いて馬鹿なんだから! 」
呆れるメイにしつこく迫る兄。これでは私まで同類に見られるぞ。
「メイでは話にならない。俺が見てやる! 」
兄のプライドと責任感でムネガさんに迫る。
おいおい本気かよ? どう考えてもまずいだろう?
「おう! クレイジー! 」
そう言うとムネガはこれでもかとビンタを繰り返す。
「待った! もうそれくらいにしないと奴がとんでもないことになるぞ」
必死で止めるが興奮して近づけない。
「いい加減にしてください! 騒いでたら解決しないでしょう?
どうしてもムネガさんの胸を知りたいんですよね? 」
真面目なナギサは私の願いを叶えようと必死だ。今朝の件もある。
こうしてナギサに見てもらうことに。
何だよ初めからそうしてくれよ。
心の声が伝わるとといきなりナギサに睨まれた。
どうやら真面目なナギサはムネガさんより扱いが難しいらしい。
続く




