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ナギサの胸の内

翌日。

朝起きると違和感。

うん? 何だこの感触は? 

柔らかくてふっくらしたもの。


「きゃああ! 」

悲鳴を上げるナギサ。虫でも出たのか? だがそれは貴重な食糧だぞ。 

エレンがなぜか私の方を睨んで吠えている。

まさか心霊現象なのか? だがいくら私でもどうすることもできない。


悲鳴に駆け付けたのはサナギ。

「どうしたナギサ? 」

「それが…… アキラさんが…… 」

「おい! お前うちの娘に手を出したのか? この優男が何しやがる! 」

怒り狂うサナギを止めるのは至難の業。だがここは冷静に。落ち着こう。

とりあえず冷静になって話を聞かないとな。


「おいどうしたんだよナギサ? 」

興奮して冷静さを失った父親の代わりに話を聞く。それでも睨まれ吠えられる。

おいおい私が一体何をしたと言うんだ? してないだろう? 

「それがアキラさんの下半身が…… 」

「ボケ! 何を欲情してやがる! この変態野郎! 」

散々罵って怒りを爆発させる。しかし身に覚えがない。

下半身など…… 若干大きくはなってるが朝などこんなものだろう。

「違う! これは朝の…… 」

「分かってるさ。だが相手は何も知らないナギサだぞ。その辺のことも考えろ!」

意外にも冷静。同じような経験をたくさんしたんだろうな。その上で同情した。

しかし問題はナギサの方。なぜ私の下半身を気にする? 

そもそも見えてなかっただろう?

 

「まったく迷惑な! お前ら早く来い! 朝飯の時間だぞ! 」

そう言って出て行くサナギ。これで一件落着? だがエレンはまだ吠え続ける。

「ほらエレンも。もういいから」

そう言ってナギサが宥める。どうやら単純に朝だから興奮したんだろう。

それは人間と同じ。全然人のこと言えないな。


「ふう…… アキラさん」

ナギサは疲れたとプレッシャーをかける。

「おかしいな…… 何だか気持ちいい。変わった感触だ。それにいい匂いまで」

一度なら無視できただろうが繰り返せばナギサだって黙ってはいられない。

「それはアキラさんが私の胸を掴んだかでしょう! お忘れですか? 」

ナギサがとんでもないことを言う。しかしそれなら納得がいく。

でもなぜナギサは本当のことを言わずに下半身のことを指摘したんだ?

それは…… 私を庇ったから。そうとしか考えられない。

ではなぜ庇った? 嫌な思いしたなら追い出せばいいじゃないか。

それほど慈悲深いのか? まるで天女様だ。


「ありがとう。助かったよ」

「いいんです。あのままだともう一緒に寝れない…… いえ何でもありません」

照れながら大胆発言のナギサ。どうなってるんだ?

これはもう今の気持ちを聞かせてもらわないとどうにもならない。

「おい…… まさか俺のことを? 」

「勘違いしないでください! お客様が過ごしやすいようにするのが私の役目」

どうやらそう単純じゃないらしい。

中島でのトワナと言うよりもご主人様のために尽くしたココに近い。

するとナギサはただの島の看板娘? それはそれで構わないけどもったいない。


「助かったよナギサ。でもどうして俺は胸を? 着けてただろう? 」

「いえ寝る時は苦しいので着けません。だからこのような事故が起きたのです」

ナギサは冷静に分析するが仮に着けていても剥ぎ取るに違いない。

しかも無意識のうちに。それが男と言うものだろう。


「なあもう一度触らせてくれないか? 」

朝からとんでもない要求。大丈夫か自分は? どうしようもない人間だな。

「ダメです! たとえ好きな人にだって見せられません」

そんな風に恥ずかしがる。

「おいおいその言い方だと俺に好意を持ってることになるぞ」

「そそ…… それはいけませんね。訂正しなくてはなりません」

「いや無理しなくていいって。好きなんだろう? 」

「はい…… なぜか好きなんです。不思議なものですね」

どうやら一目惚れしたらしい。するとそれは初日の話か?


「だったらもう一度触らせてくれないか」

「それはなりません! まだ二人は何も…… 」

照れた上で焦るかわいらしいナギサ。やはりどこかでこの光景を見た気がする。

「そうか。だったら見せてくれ! 」

触れないのなら最悪見せてもらうだけでもいい。

これは興味ではなく確認。ナギサが生まれ変わりか手っ取り早く知る方法。

ただ危険な気も。違った場合もどうにもならなくなる。

「もういい加減にしてください! 」

「でも…… まだノーブラなんだろう? だったらチラッと…… 」

恥ずかしさを堪えて頼んだが応えてはくれない。当然か。さすがに急すぎるな。

まずはもっとナギサを知ってからだ。


調査開始。

「アキラさんだけでは心配なので付いて行きますね」

「いいよ。ちょっと調べるだけだからさ。ナギサだって忙しいんだろう? 」

思いやる振りをする。実際のところナギサがいると何かとやり辛い。

今日は仲間と再びムネガさん宅へ。それとナギサの母についても聞いて回りたい。

だからナギサがいると何かとやり辛い。すべてナギサから聞けるならいいが。

どうせ分かりませんか黙ってしまうかのどちらかだろう。


自分もお供すると。しかしナギサにはハードワーク過ぎる。

危険だからと言うがちっとも聞きやしない。こう言うところは頑固だよな。

父親譲りってっか? まあいいや。どうなっても知らないからな。

「手を繋ごうぜ」

ナギサを帰そうとあらゆる手を使うが別にいいですよと。


「少し恥ずかしいですね」

「そうか…… でも…… ごめん。俺も無理だわ」

周りの目が気になって一分もしないで手を離す。

そうするとナギサは何だか悲しそう。どうしたんだよ? 

「ナギサ! 」

「アキラさんはお客さんですから…… 」

ナギサとの関係は果たして進展してるのか?

ただの団子屋の看板娘と居候の関係?

ナギサを失いたくないのでこれまで積極的に動かなかった。

しかしそれでは伝わるものも伝わらない。

だけどどうしたらいい? 一緒に寝る関係にまでなったのに。

ナギサを見ると笑顔でどうしたんですかと返されてしまう。

うわ…… 手強いぞ。鈍感ナギサはどこまで本気なのか?


「アキラ! 」

ナギサに手を焼いてると突然後から。これは恐らく……

振り向くといきなり胸に飛び込んできた。

「メイ…… ちゃん? 」

「やっぱりアキラだ! 」

「アキラさん! 」

まずいぞ。さっそく修羅場を迎えた。どうしよう?


「メイちゃん…… どうしてアキラさんに抱き着いたの? 」

真面目なナギサは理解ができない。と言うよりそこまで時間が経ってない。

だからメイとどうしてこんなに親しいのか理解し難いのだろう。

そう言う自分も彼女がなぜここまで積極的なのか謎。

いい子だとは思うがあまりにも大胆なメイには言葉もない。

あれ…… 妹思いの兄が引っ付いてるはずだが姿を見せないな。

一番詳しい奴がいないと困る。


「どうしたんですアキラさん黙ったままで? メイちゃんだって困ってますよ」

「心配ありませんナギサさん。私はずっとこのままでいいですから」

朝から大胆で元気なメイを見てるとどうしてもマキナを思い出す。

ミハマのマキナこと中島の生まれ変わり姉妹の妹。

結局どちらが本当の生まれ変わりだったのか?


「アキラさん。今日は一日楽しみましょう。これからどちらに? 」

メイのお陰でナギサの心に火が付いた。

「ついて来るか? 」

「ハイ! 」

ナギサは帰る気はないよう。兄を呼びに行くことに。


「嘘…… 俺も行くのかよ? うわ! ナギサちゃんまで」

どうやらナギサに好意を寄せストーカー紛いのことをしてるのは確かのよう。

「ムネガさんのところに行くんだろう? ホラ早くしてくれ! 」

今日こそは何としても天女の生まれ変わり候補のムネガさんを説得するぞ。

「あらお二人は仲がよろしいんですね? 」

トンチンカンなことを言うナギサ。


こうして再びムネガさんの元へ。


                  続く

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