どうする?
久しぶりのまともな食事で気が緩んだらしい。
つい勢いで…… 余計なことを言ってしまう。
「まさかメイちゃんとアキラさんが? 」
卒倒しそうな勢いのナギサ。
これはまずいぞ。早くどうにか言い訳しないと。でもどうしたらいい?
「何を言ってるんだよ? 俺は奥手だから」
エレンにも消極的な男さ。と言ってもエレンはかわいいメスだけどな。
どうしても確認したかったからメイに無理やり迫った。
でも他に手はない訳で。メイも最終的には納得してくれたからいいじゃないか。
こんな風に言い訳すればきっと軽蔑されるだろうな。
ナギサは優しいし頑固だから今夜は泊めてくれるだろうけど。
でも明日になったら豹変しかねない。嫌われた自覚がある。
それだけナギサには信じられないとんでもないこと。
一体どうしたらいいんだよ? どうにか話を変えてごまかさなければ。
「そんなことよりナギサも腕を上げたな。だがこれはないぞ」
なぜかサナギが庇うように料理の話題に。
サナギは娘に手を出さない限り自分が遊び人だから味方してくれるよう。
すると仲間でもありライバルでもあると言うことに。こんな親父見たことないぜ。
サナギのサラダシロップ批判。シロップは甘くてサラダにはさすがに合わないと。
だからどうした? まずかろうが合わなかろうが食えればそれでいい。
あの地獄から脱出した私にはこの程度のことどうでもいいのさ。
「あの…… 美味しいですよねアキラさん? 」
自信がないのか私に聞く。だがその聞き方はずるくないか?
それに今後の改善のためにも正直に言うのが優しさ。甘やかしてはいけない。
「甘いだけで野菜の旨味を消してる。これははっきり言って失敗作だ! 」
つい大げさに言う。もちろんこれだって食える。前島では食えなかったからな。
それに比べたらやはりご馳走だ。そうフォローするとナギサは自信を取り戻す。
単純な奴だな。でもいいのかこんな褒められ方で満足するのか?
もしかしてナギサは私の思っている以上に頭が……
「お前は下手じゃないのに一品は絶対失敗するんだよな。これは遺伝だな」
「お父さん…… 」
「ははは! 何でもねえ! 忘れろ! 」
この家では少なくても過去や母の話をしてはならないらしい。
サナギがそう決めている。それに従うしかない。
前回ナギサの母について聞こうとした時に空気が悪くなった。
「でもお母さん…… 」
「おいおいそんな顔をするなよナギサ。それより一体何を食ってたんだよ? 」
誤魔化そうと私の話に持って行く。
「それは…… あまりに貧しい食事でして…… 恥ずかしくて言えない」
正直に言えばただの嫌がらせになってしまう。
あれだってきっと中島ではご馳走なのだ。そう信じている。
それを面白おかしくは言えない。私はそこまで恩知らずじゃない。
フィールドワークではよく海外で生活するがあれほどのところはなかった。
それにどこがうまいのまずいのを比べる意味もない。
ただ中島が絶望的にまずいのは間違いない。
「いいじゃねえか一つぐらい教えろよ! 飲み物はやはり水か? 」
「いえ。水は貴重なものだからニュウ…… 」
危ない。何を言うつもりだ? ニュウニュウはさすがに言えるはずがない。
言ったらそれはは何かとサナギが追及するだろう。
だから口が裂けても言えない。ただつい胸を見てしまう。
ナギサの胸はどんな感じだろうか? 傷跡があれば生まれ変わり決定。
だがそれをどう突き止めればいいか分からない。
やはりメイの時みたいに強引に行くのがいいのか?
「どうしたお前? さっきから変だぞ。ずっとナギサの胸ばかり見てやがる。
お前は本当に正直な奴だな。そんなに欲しいのか? 」
サナギは遠慮せず思ったことをすべて口にする。ふざけてるつもりか?
あーあナギサは赤くなってるじゃないか。可哀想に。
それでも父親か? 娘の気持ちも少しは考えてやれよな。
おっと…… 私はそんなナギサに無理やり迫ろうとしてるろくでなしだった。
人のこと言えた義理じゃない。
「実はその…… ニュウニュウと言うのは胸のことでして。
決してナギサがどうとかでなく…… 」
我慢できずについ告白してしまう。しかし大胆発言だよな。
「これがニュウニュウなの? 」
ナギサは思い出したように胸を見る。そしてすぐに頭が痛いと行ってしまう。
これはもしかして効果あり? このままの勢いでナギサに?
「お前もデリカシーのない奴だな。ナギサに胸の話をするとはよ」
「それはあんただろう! 」
「それにな最近どうも様子が変なんだ。どこかに出掛けたと思ったら帰って来る。
それの繰り返しだ。たぶんいろいろと調べてるんだろうな」
そう言ってデザートのスイカを食べて煙草を吸う。
格好をつけるがタバコとスイカが合うとはとても思えないが。
「どうした? 質問があるのか? 」
どうでもいいことは後回し。ここは思い切ってナギサの胸について聞く。
「胸を見たいだと? ふざけた野郎だ! 」
突然怒り出す。何もそこまでしなくてもいい。自分も似たようなものだろう。
大体私は本気じゃない。ただナギサの胸に例の傷跡があるか確認したいだけだ。
「違うって! 見たいんじゃなくて…… それで見たことは? 」
なぜか尋問開始。これは禁断の質問だぞ。
親子が乱れてる場合もあるからな。取り扱いは慎重に。
大体島を巡って来たがまともなとこなど一つもなかった。
ここだって理想郷に見えるが現実は分かったものじゃない。
「ねえよ! それは小さい頃なら少しだけ…… もういだろうその話は」
どうも変態扱いで終了。名誉回復しないと変態のレッテルを貼られたまま。
相手にされないので部屋に戻ることに。
よく考えれば一緒に寝るんだっけ。ならばチャンスはある。
「きゃあ! アキラさん勝手に開けないで下さい。着替え中ですので」
五分待って許可を取り寝ることに。今日は風呂に入ったので臭くない。
ナギサの部屋はきれいに整頓されていて三人分が丁寧に敷かれている。
「本当にいいのか? 」
そう言えばさっきどさくさに紛れて胸を見ればよかった。
突然のハプニングで見たいよりもびっくりが勝る。
「はい。エレンもそうしろと言ってます」
勝手に入って来るお行儀の悪いエレン。ナギサは甘いから躾ができてない。
すると私は大丈夫だろうか? 甘噛みではないものを喰らいそうだ。
エレンを挟んで寝ることに。
興奮して寝れないのかエレンは歩き回る。ナギサはもう寝息を立て始めた。
クソ! エレンと共闘できればいいんだがおかしな動きはできない。
「なあナギサ。お前の胸を見せてくれないか? 」
寝てるので大胆なお願いをする。だが反応がない。これは完全に寝てるな。
熟睡できるほど私は情けない男なのだろうか?
「好きだナギサ! 結婚しよう! 」
ドンドン大胆になって行く。と言うよりもセクハラ野郎だな。
これはよくない。仕方ない。ここは実力行使と行きますか。
冒険しないでフィールドワーカーは務まらないさ。
エレンが大人しくなったので迂回してゆっくり静かにナギサに近づく。
これならエレンだってご主人様が危険だとは思わないだろうさ。
ご主人様か…… ココを思い出すな。今どうしてるだろうか?
こうして胸の確認しようとするも案の定エレンに見つかる。
エレンは賢いからご主人様が起きないように顔を舐めるだけに済ます。
うわ…… ベタベタ。せっかく風呂に入ったのに台無しだ。
ナギサまでたどり着くにはこのエレンをどうにかしないとならない。
もう今日はこれくらいでいいい。無理は禁物さ。
今日無理しなくてもおっちょこちょいのナギサなら必ずチャンスはある。
ゆっくり二人の距離を詰めて行けばいいさ。物理的にも心理的にも。
何だかそう思うと楽しくなって来たぞ。
続く




