どう聞けばいい?
メイたちと胸に傷跡があると言うムネガさん宅へ。
二人とも妙に積極的でまるで騙されてるかのよう。
ただ島の協力者は多いに越したことはない。ありがたく頼ろう。
ナギサたちだけでは心もとないからな。
「おいお前? 見かけない顔だな」
道端で目が合った輩のような物言い。品定めする。
通り過ぎることなくすぐ絡んでくるから嫌になるぜ。
迷惑なんだよと態度で示すが気にする素振りは見せない。
これはあれだな。鈍感で頭の回転が悪い。それだけに対応を間違えられない。
「俺はアキラ。全国を旅して回るフィールドワーカーだ。
少しの間団子屋に滞在するつもりだ。用があったらいつでも来な」
自己紹介をする。こうすることで自分は島の敵ではないと分からせる。
だが金銀財宝を完全にには諦めた訳ではないので島の脅威なのは確か。
後島でもこれからどうなるか分からない。
前島でも中島でも大人しく従わずに動き回り島民の生活を引っ掻き回した。
無茶苦茶にした張本人だから排除するなら早い方がいい。でも簡単ではないぞ。
「なあ俺たちの集まりに来ないか? 歓迎するぜ。お前たちも来るんだろう? 」
後島の奴は懐が深い。島を巡る旅人と聞きわざわざ集まりに誘ってくれた。
うーん。どうする? 余計なのと関わってる暇もない。ここはお断りした方が。
でも…… メイたちのようにただのいい奴の可能性もある。
協力者はやはり多いに越したことはない。だったら付き合うか? でも……
「迷うなよ。俺はマグロって言うんだ。どうだメイは? 」
「でも…… アキラさん疲れてるしその時間は私と二人っきりで…… 」
先約があるといい加減なことを抜かすメイ。
「そうか。だったら明日の午後六時頃。いつもの場所でな」
断ってるはずなのに有無を言わせない。強制参加なのか?
「ありがとう。君らがよければぜひ」
誘われたら断らない主義。フィールドワークでは大事にしている。
ただ現地では誘うとかじゃなく無理やり連れて行くのだが。
今回も強制参加なら似たようなものか。楽しみな面もあるが不安が勝る。
それくらい強引な方が何かとやりやすくはあるが。
「よし決まった! では例の場所で」
旅人を歓迎するのが島の習わしらしい。
そのせいで隣の島からいいようにされているとも言える。
「よしここだここ。俺はこれくらいで。お邪魔だろうからさ」
マグロと別れ村外れのムネガさんの家へ。
なぜか遠慮する兄。らしくないので強制的に連れて行く。
「ほら行くぞ! 」
「いや待ってくれ! 誤解されてるんだ。イメージよくないんだよ」
仕方なく言い訳するが知るかそんなこと。
「ほらお兄ちゃん往生際が悪い! 一体何をしたの? 」
そう言ってため息を一つ。メイを心配させるなよな。
まさかとんでもなく失礼なことをした? 大体の想像はできるが。
「いらっしゃい。メイちゃん…… メイ兄さんもなぜ? 」
どことなくイントネーションも違う。片言のムネガさん。
メイによると彼女は北の方から来たと。
「ははは! 道案内を頼まれたんだ。でもこれで…… 」
どうも様子がおかしい。何が二人にあったのか?
「兄が大変失礼をしました」
事前に謝るメイ。これで印象最悪とはならないだろう。
「ごめんね。まだ忘れられないの」
ムネガさんには恋人がいたらしい。
その男が誰かまでは言わないがその男と例の男が取り合っていたよう。
正確には二人の邪魔をしていたのが例の男。
あることないこと言い触らしていたと。
恋人が消えて喪失感に浸っているところで例の男まで消えた。
そこに現れたのがこの兄だそう。
まだ忘れらないから応えられないと何度も言うが諦めなかったと。
「ははは…… いなくなったからチャンスかなと思ってよ」
最低なことを笑いながら振り返る。
「もうお兄ちゃん知らない! 人の気持ちを何だと思ってるの? 」
妹に説教される哀れな兄。
多少同情するところもあるが甘やかすと付け上るからこれでいい。
「それでそっちは? 見かけない顔ね」
「実はぜひ君に見せてもらいたいものがあるんだ」
こうすればもう言うしかない。だが迷っている自分もいる。
ただ本当に言っていいのか? 一度口にすればもう取り返しはつかない。
最低な変態野郎と呼ばれかねない。
だがこれはどちらかと言えば変態と言うよりは痴漢かな?
「見たいものがある? 」
ムネガは思い当たる節がないと先を促す。
「お前のオッパイが見たいんだ! 」
恥ずかしがれば逆に怪しい。だから大胆な告白をすることに。
それだとただの変態だって。人間性を疑われるだけだ。
でもどうしろと? これ以上の言葉を思いつかない。
やはり堂々としてないのがいけないのだろうか?
「ああん? 見せろ言って見せれるはずない! 舐めてるの! 」
怒りで震えるムネガ。だが噂は置いておくとして事実見たいのは確かだ。
やはりここは面識のある兄に頼るべきだったかな。
もう完全に信用を失ったぞ。
「違うんだ。君のニュウニュウを見たいんだ! 」
オブラートに包んでみるがこれでは逆に伝わらないか。
仕方なくメイに頼むことに。これが彼女の役割で使命だ。
初めからそうすべきだろうがどうしても自分で解決したくなる。
「見せてあげて! 」
「それでも無理! 人に見せられません! 帰って! 」
拒絶されてしまう。当然だろうな。誰が見ず知らずの他人に見せるんだよ?
この状況で気にしないのは中島の者だけさ。恥ずかしさがあって当たり前。
「ごめんねムネガさん。ムネガさんのムネが見たい。ただそれだけなの」
メイまでつられておかしな言い訳。
しかしムネガさんは頑な。これはもう日を改めるしかない。
では今日はこれくらいにしておくか。
いきなり押し掛けてだからな彼女もびっくりしただろう。
今度はどうやって見せてもらうか綿密に策を練るかな。
「お帰りなさい。どうでしたか? 」
メイからの誘いを逃れてナギサの元へ。
泊って行けばと言うが兄もいることだし遠慮した。
「おいおいメイちゃんを振ったのかよ? 最低だなお前」
サナギは恨めしそう。大丈夫かこの人。娘の友だちだろう?
「メイちゃんはよく来てくれるお客さん。でも仲がいいとかではありません。
それよりもお兄さんの方がしつこくて。だから勇気を振り絞って断ったんです。
ですがその日以来行為がエスカレートして行くばかり。どうしたらいいか」
対応に悩むナギサ。あの男ナギサにまで手を出していたのか許せない。
完全なストーカーじゃないか。本当にどうしようもない奴だ。
しかしそれでも相手にされないとは可哀想な奴。同情はしないがな。
「あの野郎! もう二度と団子を食わせねえ! 」
私の代わりにサナギが怒る。落ち着けっての。
こうしてようやくご馳走にありつける。
「ご飯お代わり! 」
つい調子に乗って三杯もおかわりしてしまう。
サナギもよく食べるので目立たないが少しは遠慮すべきだろうな。
でも腹が減って腹が減って。久しぶりのご馳走。
と言ってもご飯に味噌汁とサラダぐらいでメインディッシュに肉が出た。
それだけでも私にとってはご馳走。あえてどんな肉とは聞かない。
「うまいだろう? これはメイちゃんところからもらったんだ」
「へえ…… メイちゃんと言えば惚れっぽいですよね」
話を変える。これ以上余計な情報はいらない。必要ないんだって。
ただ普通の飯が食えればそれでいい。それができなくて苦労した訳だ。
「そうか? いつも警戒してるぞ」
「それはお父さんが変な目で見るからでしょう」
ナギサから見ても父親は異常に見えるらしい。
「うーん。俺が強引に迫ったから…… やり過ぎたか」
満足したのでつい緩んでおかしなことを言う。まずいか?
「まさかメイちゃんとアキラさんが? 」
卒倒しそうな勢いのナギサ。
これはまずいぞ。早くどうにか言い訳しないと。
続く




