ムネガさん
メイが気になる。どうしても彼女が生まれ変わりではと考えてしまう。
妹想いの兄とのジャンケン対決で勝利。もう二人の仲を邪魔する者はいない。
さっそく目的を果たそうと幼気な少女に無茶なお願いをする。
私はもしかしたら自分が思っている以上に鬼畜なのかもしれないな。
ついにブラに手を掛けるメイ。
その時衝撃が走る。まさかこの島にブラがあるとは思わなかった。
するとナギサもブラを着用してるのだろうか? 幻滅だ。
中島でニュウニュウに慣れてしまったのでどうしてノーブラに憧れる。
まずい。つい気持ちが入り過ぎて止めるのが遅れてしまう。
「ごめん! そこまではいいんだ。ちょっと動かないでくれよ」
そう言ってブラをちょっとだけ上げて大事な部分はブラで隠し下乳を見る。
トワナのニュウニュウのような特徴があるか細かく調べる。
形のいい胸だがアザやマークに目印みたいなものは発見できなかった。
残念ながら違ったらしい。メイは普通の島娘だ。
どうやら私はまだ自分の世界に浸ってるのだろう。
ある訳がないんだ。そこに印があるはずがないんだ。
でもあったらなと願う。そんな風に思うことがある。
そう。これはただの仮説でしかなかった。
トワナのニュウニュウには傷跡があったのは事実。
でもだからって生まれ変わりの者全員がそんな傷跡や象徴があるはずないんだ。
あれはきっとトワナにのみ刻印された独自のもの。
ミコトの胸を確認できていたら…… それが今になって悔やまれるところ。
この島にはそのような印を持ってる者はいない可能性の方が高い。
よく考えれば分かる。今まで会った女性の中で胸に傷跡がある人間はいなかった。
ミハマ島に来ていきなりそんなおかしな特徴を持った者が現れるはずがない。
すべて分かっていた。これもきっとミコトを救えなかった罪の意識から。
トワナを引き留められなかった罪悪感からおかしな行動に出てるだけ。
「ありがとう。もう充分だ」
「嘘…… これでお終い? 」
メイはふざける。そしてこれいいのと見せつける。
「いいんだ。メイには感謝しかない。それで一つ頼みがある。
胸に傷跡がある女性を教えてくれないか」
不確かだがこの傷跡こそが天女の生まれ変わりではないかと信じている。
まったくの憶測だがもうここまで来れば確かめざるを得ない。
たとえ自分のつまらない仮説だとしてもそれでもいい。
すべての可能性を潰せば諦めもつく。
そう。私はすべてを明らかにするアキラではなく諦めの人アキラなのだ。
たとえ真実がどうであれやれるだけのことをやる。
他に手掛かりはないのだから。
「そう言えば島にもそんな子がいたような…… 」
思い出そうと必死なメイ。もう少しで思い出せそうだ。
「でもなぜそんなことを聞くのアキラ? 調べてる訳? 」
当然の疑問を口にする。
「その前に一つ。お前が魅力的な女の子に変わりない。
でもそれとは別にどうしても調べたいことがある。
今から話すことは他言無用。できれば協力して欲しい」
こうして協力を要請する。
「いいよ。アキラと私の仲じゃない」
「実は…… 」
これまでの経緯を語る。
「そう。これがニュウニュウなんだ…… どう私のニュウニュウは? 」
「きれいだと思うけど全部見た訳じゃないから…… 」
褒めておこう。こうしないと気を悪くして目的をバラされても困る。
ここが普通の島に見えてもどこでどうなってるかなど不明。
もう二度と騙されない。前島のような失態は犯したくない。
「だったらじっくり見る? 」
おかしな提案。きちんと断らないと危険だ。
「いやいや…… お互いをもっと知ってから。その後だろう? 」
ごまかすがこれでいいのかは疑問。
別に胸を見るのは慣れてるがそれは自分の話。問題はメイ。彼女はただの島娘だ。
「それはこっちのセリフ。いいよ。分かった。キスしてくれたら協力する」
いつの間にかメイは私を追い求めるように。
だが天女の生まれ変わりでない以上相手にしてる暇はない。
ここに恋人探しに来たのではない。失った恋人の手掛かりを探しに来たのだ。
目的がブレにブレたがそれでもミコトへの思いは変わらない。
「それでどうだ? 心当たりはないか? 」
「うーん。でもあそこの部分は皆見せないしな…… でも確かにいたんだよ」
メイはやはり思い出せない。
「ははは! それなら俺が教えてやるよ」
バンと音がしたと思ったら兄が姿を見せる。
コソコソと聞き耳を立ていたのだろうがそれでも驚きだ。
どうやって知り得るんだ? ここは中島じゃないんだぞ。
そう簡単なことじゃない。
「ちょっとお兄ちゃん嘘を教えちゃダメだよ! どうして見れるの? 」
「見れるから見れるんだよメイ! 俺を甘く見るな。女などいくらでも」
そんな風におかしな言い訳をするがメイの方が正しい。
男がそんな大事なところを見れるはずがない。見ていいはずがない。
兄妹喧嘩勃発の予感だが問題ない。兄のはただのハッタリだろう。
人を見た目では判断したくないがまったくモテるようには思えない。
もっと言えば相手にされない。嫌われているとさえ。
メイを見れば作り自体は決して悪くない。ただそれをうまく活かせてない感じ。
「あの…… ムネガって子の胸にそんな傷跡があった気がする」
「ちょっとお兄ちゃん? どうやって知ったの? 最低! 」
「いや違うんだ。覗いたのは俺じゃない。そもそも誰も覗いてないよ。
噂だって。ムネガって村外れに住むちょっと変わった子でよ。
そいつの胸にはそんな変わったマークがあるって。確かめた奴がいるんだ」
「まさかその人…… 」
「ああどこかに行っちまった。ある朝突然引っ越した。
夜逃げだと近所の人は言ってたな」
情報通の兄の話を真に受ければそのムネガが生まれ変わり候補と言うことになる。
しかし秘密を知りまるで排除されたかのように島の外へ。
ただの偶然では片づけられないタイミング。悪い予感がする。
とにかく迷ってる暇はない。急いでムネガって子に会いに行こう。
「そうかな? 聞いたことないよ。ムネガさんの胸にそんな印あったっけ? 」
「それはメイが興味ないからだろう? 」
「お兄ちゃんは最低だから興味が物凄くあると? 」
「ああ男だからな」
正直な兄とまだ納得してない妹。
それでも兄妹仲良く協力してくれるそう。
さっそく三人でそのムネガさんに会いに。
「どうする? このまま二人でどこかに行こうか? 」
兄を前に少し離れて歩く。
兄は兄で妹に気を使ってるんだろうな。
別にすべてうまく行くならどうでもいいんだが。
「いや…… この島では逃げるところなどないさ」
ふんわりと断る。もちろんかわいいので多少の気持ちはあるが。
「夜に船で…… 」
そんな風にふざけるメイ。
それがロマンチックならいいだろうが私が脱出した時のようなら最悪。
追い駆けられて島の敵と見做され命からがら島外へ。
そんな見送られ方は絶対にされたくない。これは贅沢とかでは決してない。
私は後島ではもっと平和に尊敬され別れを惜しまれたい。
だがそうなったらたぶん私はこの島に残ることを選択するだろうな。
本土に戻る意味ももうない。フィールドワークでよく出かけていた。
ここに骨を埋めるのも悪くないさ。
そうしたらナガレ二号になるのかな。
「できたらいいな」
願いを込めて。叶えればなと考えてるからメイも疑わない。
だがメイと一緒にとは誰も言ってない。愛する者と共に島から旅立ちたい。
ただそれだけ。結果メイがその相手なら私はそれでいいのだ。
できればメイが生まれ変わりならな。
旅立とうが残ろうが愛する人と一緒にいられるならどちらでも構わないさ。
続く




