ミハマ島の正体
ミハマ島は別に存在する。ここはフォグアイランドだとディファイは譲らない。
しかし皆がここをミハマ島って…… あれ? 誰が言った?
中島の連中は穴とか大穴ぐらいで民は言ってない。
すると前島の者? いや違う。前島地区とか南地区と。
言ってたとすればナガレやそれこそミコト。島長。サザナミ辺り。
いやその前だ。私を中島から脱出させた船頭が初日に言っていた気がする。
彼から詳しく聞き役立てた。すべては船頭から。それが何を意味する?
あらかじめ島のことを聞くのは自然。でもまさかな……
とりあえず確認する意味でももう一度船頭に会う必要がある。
「それでなぜここはミハマ島ではないんだ?
三つの浜…… 要するに三つの島に別れて…… 」
思い切って質問するがディファイはそれ以上は関心を示さない。
後は自分で考えた上で結論を出せと厳しい。
それにしてもここがミハマ島ではないのは驚き。衝撃だ。
「やはりここはミハマ島だ! 三つの島の総称がミハマ島で…… 」
納得が行かずに繰り返す。
「違う! 美しい島と書いてミハマ島。三つの島は関係ない! 」
堪え切れずにディファイが訂正。サービスだそう。これ以上は教えないと。
ミハマ島の真実に一歩近づいたかな。いやフォグアイランドか。
「真実の瞳は? 」
「島のどこかにあると言われる秘宝だ。もっと言えば神聖なる者の所有物とも。
噂では相手の真意を測ると。心の奥の悪意さえ炙り出せる。凄いだろう? 」
監視と言っても基本何もしない。特に夜は静かなものだ。だから話が弾む。
「それで実際には見たことは? 」
「だから噂だって言ったろ? 当然俺なんかが知るはずがない」
「メガネみたいな感じか? 」
「だから知らねえよ! お前しつこいぞ! 」
おっと…… 興奮し過ぎたよう。ここは冷静に冷静に。怒らせてどうする?
「だったら本当のミハマ島はどこに? ここは何て島だ? 」
伝説のお宝はいい。問題はずっとここがミハマ島だと思っていたのに違ったこと。
少なくても前島ではここをミハマと呼んでいたし資料にもそうあった気が。
資料は没収されたので確認のしようがない。ラボに戻れば控えはあるが。
その資料は恐らく博士が誰からか聞き出したはず。その誰かが仕組んだのか?
我々が調査に乗り出すと踏んであらかじめ手を打っていた?
そうだとするとあまりにも用意周到だ。
「ディファイ! 」
「それは…… フォグアイランド」
どうにかごまかすディファイ。だが騙されないぞ。
「学者たちの間では確かにそんな風に呼ばれていた。でも実際は? 」
無理にでも聞き出す。
「おいアキラ! 汚いぞ! 」
怒ってごまかす。これは近づいたか?
「いいから教えてくれ! これはとても重要なことなんだからさ! 」
ディファイを脅して唆す。
「それはもちろん後島だろう? 」
シラを切り通すが慣れてないよう。
「へえ後島ですか」
「クソ分かったよ! 鳥島とか白鳥島って呼ばれてる。正式名称など知るか! 」
彼によればカモメや海鳥がこの辺りで見掛けるからそんな風な名前になったと。
適当でいい加減。これは聞き流すのがいいか。
「ありがとうディファイ。もう充分過ぎるほどさ。本当に悪かったな」
素直に謝り感謝の言葉を述べるとディファイは弱い。
「よし教えられないがこの島の真実のヒントをこのディファイ様が特別に」
夜の監視も暇な上眠いのでつい警戒心が解ける。
『ミハマシマシマ』
これがミハマ島の真実を解くヒントだそう。即ち財宝や天女伝説のこと。
島の者で興味を持つ者はいない。勝手にしてくれと。
この暗号が解ければ一気に島の真実にたどり着けるそう。
ただしこれは他言無用。決して誰にも言うなと。
仕方ない。今はこれくらいでいいさ。
「最後にもう一つだけ教えてくれ」
夜の監視に無理やり付き合わせたのだからこれくらいいいだろう。
そんな感じでズルズルと聞き出す。
「ああいいぜ。もう好きにしろ」
つい頼まれると嫌とは言えない性格のディファイ。どこまで行けるかな。
「ナギサについて教えてくれないか」
つい会ったばかりの奴を騙してすべてを得ようとする。まずはナギサから。
団子屋の看板娘で人気が高いって話を真に受けていい?
「ナギサちゃんか…… 随分大きくなって。どこがとは言わないが。
これは秘密だがいつもいる訳じゃない。実際姿を見ない時もある。
そうそう。スリーサイズならすぐに言えるがどうする? 」
ダメだ。この人ふざけてるか危ない人だ。
親友の娘をどんな風に見てるんだよ。やはりサナギの言う通りだな。
「いつもいない? どこにいると? 」
「さあな。それは自分で調べるんだな。きっとすぐに分かるさ。
その辺はサナギの奴が隠すって訳じゃないが語りたがらない。
どうやらナギサちゃんが小さい頃に何かあったかそもそもあの家に秘密があるか」
さすがに長い付き合いだけある。だが私を混乱させているようにも。
どうやら別居してる母親に隠れて会ってるのだろう。
「ここ最近も一か月近く帰って来なくて看板娘が不良娘になりつつある。
でも年頃だもん。自由になりたいだろうよ。寂れた団子屋にいたくはないさ」
同情的なディファイ。それは恐らく彼が恋をしてるから。
とても信じられないが彼はナギサを恋愛対象に見ている。
そして暇があれば監視。放置すればストーカーになりかねない。
いい人だと思ったのに…… その執着心が怖い。
「その母親はどこに? 」
「だから自分で調べろって! 暇だろう? 」
無茶苦茶言うな。確かにそうだけど。教えてくれたっていい。
「そうですか…… 」
残念そうにしてると居た堪れなくなったディファイが口を開く。
この手を使えばすべて教えてくれそう。私も汚いな。まるで騙してるよう。
「居場所も言えないしナギサちゃんがどうしてるかも教える気はない。
ただ詳しい者を紹介してやる。カトー屋の婆さんに聞いてみろ」
カトー屋とは島で唯一の銭湯。今は寂れたが婆さんが現役の頃は繁盛してたと。
これで次の目的地は決まったな。
翌日。
早朝にお別れしてサナギと歩く。
「汗かいたな…… 」
それとなくサナギを誘導する。単純だからすぐに引っ掛かるはず。
「ああん? だったら何か飲むか? 」
そうじゃない。飲みものを恵んで欲しい訳じゃない。
中島での生活で我慢を覚えた。この程度の渇きなど問題ない。
それに本来ならありがたいがどうしても警戒し遠慮してしまう。
水不足の中島での経験がマイナスに働いてるようだ。
「まさかおしっこでも? 」
「はあ? 何を言ってるんだお前? 立小便でもする気か?
だがここではやめておいた方がいいぞ」
忠告される。そんなつもりはないさ。ただ飲みものと言えばおしっこ。
あるいはニュウニュウ。この二つが定番の飲みもの。
村外れで火山警戒中のディファイ。
後島は多少広いがやはり人は多くはないそう。
サナギによれば大きく四か所に別れていると。
砂浜から船長のいるところまでが港エリア。
村長の家があり最大の島民を誇る中心エリア。
カトー屋があるのがショップ立ち並ぶオシャレエリア。
最後に外れの火山があるのが火山監視エリアだそう。
きれいに分かれてるのではなく元々中心エリアがありそこから広がって行った。
港エリアは漁や漁師のためにある。そこには漁師向けの店が。軽食だって。
そこでナギサたちが団子屋を。因みに団子屋は商店街エリアにも一軒。
中心エリアとオシャレエリアは隣り合っている。
果たして分ける必要があったのか疑問が残ると。
ただ村長が静かなところがいいと店を排除したのでこうなったそう。
民家が立ち並ぶのが中心エリア。もちろんその中には中枢施設もある。
オシャレエリアは長い。港エリアから村外れまでを網羅。
火山監視エリアはその名の通り。近づく者を排除し危険を監視するエリア。
これ以上は聞けなかったのでこれくらいで。
続く




