↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

123/148

名前の秘密

ナギサの好意とエレンのお陰で彼女の家でお世話になることに。

すると必然的に今日から団子屋のお手伝いをすることになるのか?

「おい! 茶をしばくぞ! 」

ついに団子屋の本領発揮の時。

あの怖そうで口の悪い親父さんが真剣な表情を見せる。

雑でいい加減そうに見えて繊細なのかもな。

意外にも人気があるそうでこれでも忙しいと。

おっちょこちょいの看板娘がいるから余計に息が抜けないんだろうな。


「いつもあんたが? 」

「あんたじゃない! サナギって名前がある! 覚えておけ馬鹿野郎! 」

一言も二言も多い困った団子屋の親父。

随分我がままで子供っぽいなと思ったらどうやらまだ成虫になれてないらしい。

「サナギさん…… 」

「うお! さん付けはいらねえ! せめて様にしろ」

どうやら恥ずかしいらしい。慣れてないんだろうな。

「なら俺は何て呼べばいいんだよ? 父さんか? 」

「何だとテメエ! いつから家族になった? 調子に乗るな!

ナギサとエレンがいなければお前などその辺に捨てたってのによ。

まったく何で拾っちまったのやら。ナギサも罪な奴だ」

どうやら相当口が悪くて照れ屋なのだろう。

それにして本人目の前にして言うことじゃない。


「だったら何て呼べばいいんだよ? おじさんでいいのか? 」

「もう好きに呼べ! だが何度も言うがナギサはやらんからな! 」

どうなってるんだよこの親父は? いつそんな話をしたんだ? まあいいか。

「それでパパ。俺に用があるんだろう? 」

「ああ! お前を皆のところにな。紹介してやろうと思ってよ。パパはやめろ」

そう言って無理やり連れて行こうとする。

「いや…… そう言うのは結構です。俺は傷心旅行中でして」

ミコトを失いトワナまで失って今度はナギサまで。絶対に避けなければ。

これ以上この家族に関わらない方がいい。大体ここだってまともな島な訳がない。

正体を現してみろ化け物! 絶対にもう騙されないぞ!


冗談はさておき流されるままついて行っていいのだろうか?

前回はそれで痛い目を見ているのだ。

とは言えここは明らかに前の島とは違う。よくあるのんびりした田舎の港町。

だからって休暇を謳歌してる時ではない。やらねばならないことがあるんだから。

そうでないとミコトにもトワナにもナガレにも申し訳が立たない。

「もうお兄ちゃん忘れてるよ! 」

そうだった。マキナもいたっけ。

頭の中の記憶をぶち破ってクレームを入れて来た元気で生意気なマキナ。

ははは…… かわいいな。さすがは私のお気に入りのマキナだ。

これはダメだ。もう完全に自分を見失っている。

さしずめ自分は海岸に打ち上げられた人魚男だな。


「おい! 来るのか? 来ないのか? はっきりしろ! 」

サナギのくせに人間様に偉そうなことばかり。

「行きますよおじさん。行けばいいんでしょう? 」

おじさんでいいや。照れられても文句言われても困るからな。


半ば強引に挨拶回り。

そうそう挨拶は基本中の基本。フィールドワークでも…… 博士どうしてるかな?

あの執念深さだと追っかけて来そうだからな。それほど貪欲な人だった。

学者や研究者としての名誉や功績もあるのだろうが実際は違う。

もはや博士には欲しかない。金銀財宝を発掘することしか頭にないのだ。

それがエスカレートして強引になり助手の私が止めざるを得なくなった。

そう私はある意味命の恩人だろう。

もしあのまま突き進んでいれば博士はミハマ島で尽きていたはずだ。

強引過ぎるんだよねあの人。異常なくらい強引で欲深い。化物だ。


「おいどうした疲れたか? 」

意外にも気に掛けてくれるサナギ。

そんな親切は嫌と言うほど受けたがのんびり島では初めて。

「いえ…… 新鮮だなと」

「うるせい! ほれここだ」

元気な人だ。すると仲間もうるさいぐらい元気?

連れて来られたのは港。

と言っても船頭に捨てられたところとはまた別の船着場だ。


「うん? どうしたんだよこの兄ちゃんはよ? 後継者か? 」

ベテランの漁師たちが立ち話をしてるところに割って入る。

「そんな訳あるか! それでどうだ今日は? 」

「あははは! これを見てくれよ! 大漁だぜ」

そう言うとイカにタコにエビと魚介類がたくさん。

大きな魚も見える。これは本当に大漁だ。

いや待てよ。この海は汚染されてるのでは? 当然魚だって食べてはいけない。 

「まずいですよ。そのニョロニョロしたのは…… 」

「ああこれか? アニサだ。食べたら腹を壊す。どうだ食うか? 」

そんな風に笑うのが漁師のグレさん。

何でも伝説の釣り人だったのがこの島に流れ着いて漁師に。

よくあると。そう言われると納得するしかない。


「待って下さい! ここの水は汚染されてる。即刻中止を! 」

大声でとんでも発言。だが汚染された水は当然だがその魚だって危険。

「馬鹿野郎! 」

そう言って一番若手のおじさんに殴られる。

「ゲジさん。俺の知り合いだから許してやってよ」

サナギが笑うとゲジも済まねえと。他の者も騒ぎに集まって来た。

ちなみにゲジはこのサナギがつけたあだ名だそう。

ゲジゲジ眉毛が特徴だからだそう。


「そうだ。船長はどこに? 」

挨拶…… と言うか殴られただけだが次に船長に挨拶をするそう。

船長って言うぐらいだから船にいるだろうさ。海のスペシャリスト。

船頭とはやはりレベルが違うか。

「よし船長に会いに行くぞ! 」

そう言って港を離れる。どこに連れて行く気だよ。

まあいいか。それよりも聞きたいことがあるんだった。


「なあサナギってのもあだ名か? 」

つい気になって。ナギサの父だからサナギだとか? でも立場は逆だよな。

ナギサの父がサナギではなくサナギの母がナギサの方がしっくりくる。

「いや…… サナギは俺の名前だ。ちなみにナギサも本名だ。

おかしなこと言ったら叩き潰すぞ! 」

物騒なことを言う。ちっとも優しくないぞ。

「それでナギサの母さんは? 」

つい立ち入ったことを聞いてしまう。でもナギサが心配だから。

何となくだがこの辺のことは知っておかなくてはならいないなと。

「今は訳あって別々に暮らしている。お前には関係ないことだ! 」

そう言って冷たくあしらう。


「分かったよ。それで名前は? 名前ぐらい教えてもいいだろう? 」

「サナギ…… 」

「それはあんたの名前だろう? 」

つい熱くなってしまう。

「サーナだよ。だから俺たちの名前を合わせてナギサだ。いい名前だろう? 」

娘の自慢をする困ったサナギ。

「サナギとサーナ…… それでナギサですか」

「そう。俺たちは名前で繋がってるんだ! たとえどうであれな」

よくあることなのに自分に言い聞かせるかのように。何か隠してる感じ。

「だったらギナサでよくないか? 」

「よくない! お前はいちいちうるさいんだよ! ほら着いたぞ」

船長の自宅へ到着。

船長か…… 偉いんだろうな。島長に並ぶほどの権力の持ち主だったりして。



                続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。