ミコト 天女の生まれ変わりと呼ばれる少女
ナガレと南地区へ。
どうやらよそ者の観光客は歓迎されてないらしい。
当然と言えば当然だが何だか寂しい感じがする。
まだこの島の秘宝を奪ってオサラバするとは言ってないんだけどな。
「悪いが外に…… 」
交渉には私の存在が邪魔。それはそうか。
今日もまた野宿さ。どの道ここでの生活は楽じゃないだろうし。
では家の外に出てるとするか。
「あなたは? 」
喉が渇いたでしょうとミビ茶を。
「私はアキラ。どうぞよろしく」
笑顔の少女はどこか天女様に似ている。まさかその血筋?
「ミコトって言います。アキラさんは何をされに来たんですか? 」
若さもあってか遠慮がない。ズバズバ聞かれてもね。だから逆に質問することに。
「ねえ君は天女って信じる? 」
誰にも邪魔される前に警戒心が薄く何にでも興味を示す彼女に聞くことに。
ただそのまま聞いてもどうせ答えはしないだろうからやり方を工夫する。
「天女? 伝説の天女様? 信じるも信じないも私は天女様の生まれ変わりなの」
何か知ってるかなと思ったらとんでもない事実が発覚。ただ正気ならだが。
悪ふざけなら許さない。ただそれは彼女ではなく教えた方だろうが。
「生まれ変わり? どう言うこと? そう言われたら見えなくもないが…… 」
やっぱりからかってる? でもそれにしては堂々としているんだよな。
嘘を言ってるようには思えない。そもそも嘘を言うタイプにも思えないし。
このミコトが天女の生まれ変わり? 正気か? 言われればそんな気もする。
でもそもそも生まれ変わりとは? 説明してくれないとちっとも分からない。
ミハマ島南地区。
この地に天女様の生まれ変わりだと噂される娘アリ。
だとすればまず初めに彼女から攻略すべきだろう。彼女の全てを知る必要がある。
ミコト攻略術。
若さもあり一番口が軽く人を信用してしまうのもきっと彼女。
天女様の生まれ変わりと言うぐらいだから純粋な心の持ち主に違いない。
少し話しただけでも伝わって来るもの。
無理して聞き出さずに彼女の言葉に静かに耳を傾ければいい。
ただ何となく彼女を騙してるようで心苦しいが。
もちろん魅力的な彼女に惹きつけらる面も多少ある。
決して邪な気持ちだけで相手をしてるのではない。
いやそれはどちらにしても邪なのかもしれないが。
「実は…… 女神様はお亡くなりになったと言われてるんです。
でも民のことを思い島を憂い再びこの世に戻られた。
それがこの私だと。でも自分がそうだといきなり言われても困惑するばかり。
何だかこの島が窮屈に感じることがある。それは大変罪深いのだけど。
今は火山や町おこしで大騒ぎしてるけどそれまでは長閑で平和だったんです」
どうやら生まれ変わりを光栄に思う一方おかしな役割を与えられ戸惑ってるよう。
当たり前だよな。天女の自覚がある方がおかしい。
まだ若いしこんな島をすぐにでも出て都会暮らしをすべきだろう。
それが彼女の為にもなる。だから一度は誘おうと思う。
後は彼女の反応次第。自分とすれば金銀財宝さえ手に入れば文句ない。
たとえ彼女と結婚することになろうともそれはそれで構わない。
それこそ優しくいつまでも寄り添ってやるつもりだ。
天女の生まれ変わりと言うだけあってルックスもスタイルも申し分ない。
少々子供っぽいのは長閑な島で育ったから。それはそれでいいと思う。
でも素敵な淑女を目指すと言うなら応援する。それが結婚すると言うことだ。
「それでね…… 」
今度は島の話。南地区での出来事を教えてくれた。
素直でいい子の評価は高まる一方。ただやはり少し幼くも感じる。
天女の生まれ変わりのせいもあるだろう。
かわいいと今はそう評そう。プラス思考だ。常にポジティブに。
それが当麻博士の教え。たまにはいいこと言うんだよね。
「こらお前! あれほどミコトに近づくなと言っただろうが!
お前にだって不幸が訪れるんだぞ? もう絶対に近づくな! 」
血相を変え鬼の形相で迫る男。相当警戒されてるのが分かる。
でもどこに問題があるのか? 私は女性の扱いは紳士的だぞ。
それでも剣幕になす術はない。言い訳するのがやっと。
「いえ…… お茶を頂いていただけですので…… 」
「もう誤解しないでよ! そうだ。アキラさんって外の世界から来たそう」
それについてはあえて触れてなかったが当然分かり切ったことだよな。
「いいからお前は部屋に戻れ! まだガキのくせに何を抜かす! 」
「もう…… 」
有無を言わせない親父。どこか抜けてるようなのに意外にもあれで頑固親父。
「あんた。今晩ここに泊っていいぜ。だが娘に指一本でも触れてみろ?
タダじゃおかないからな! 」
忠告を受ける。これではまるで害虫じゃないか。嫌になるな。
そこまで彼女の体に興味ないって。あるのは天女様の方。
ミコトちゃんからは有益な情報を色々聞かせてもらうだけさ。
本音では財宝に興味があるがそれ以外はどうでもいい。
「ありがとうございます。ではこれで」
そう言って忠告は守りつつ寛ぐことに。
しかしミコトが興味を示したのかこっちが何もしなくても寄って来る。楽でいい。
それを一睨みで制する困った親父。
「だからお嬢さんに言ってくださいよ。私は守ってるでしょう? 」
「ははは! 二人ともそう真剣にならずに呑もうじゃないか」
ナガレは上機嫌。ここまでの道案内人。もう不要とは言え大事な相談者でもある。
だらしなく酔い潰れて使い物にならなくなると困るんだが。
ついに南地区まで来た。
恐らく三時間以上歩いたんじゃないか?
ミコトは天女様の生まれ変わりだと言われ育ったそう。
確かにまだ幼いとは言え島娘とは思えない色白の肌。
人をドキッとさせる笑顔にスタイル抜群でもはや人間とは思えない。
そう言ったところはミコトが生まれ変わりだと言われたら納得してしまうだろう。
やはり天女様は人に非ざるもの。その奇跡は何とも言い表しようがない。
彼女もその点は似てるが尊い感じは薄れいてる。
何と言ってもこの私にも明るく接してくれる元気いっぱいのかわいらしい女の子。
そこはどうも人間的である。当然か…… 人間だもんな。
さあ何はともあれ一晩お世話になるとしましょうか。
続く




