マキナと一緒に!
いなくなった者は二度と戻って来ない。
そんな生意気なことを言うマキナ。
するとトワナはもう……
「マキナ! 次の世界とは? 」
「何を言ってるのお兄ちゃん? 次の世界と言ったら次の世界だよ! 」
マキナは真面目に答えようとしない。これは明らかにわざとだ。
昨日までならマキナだしそこまで頭が回らないからと納得もした。
しかし今のマキナからは凄く知性を感じる。私よりもキレてる気がする。
でもそんなのマキナじゃない。私の理想のマキナはどこに行った?
おっと…… 違う。マキナはこの際どうでもいい。トワナの行方だ。
泉には確かにいなかった。マキナを信じれば本当に次の世界に行ったのだろう。
ならばもっと具体的に教えてくれよ。それでは絶望していいのか喜んでいいのか。
こんな中途半端な状況では心が休まらない。
そのままの意味なら次の後島で会えることになる。
しかし…… 結局この島ではミコトを見つけられなかった。
すると今度もただ期待するだけさせて…… ダメだ。ネガティブ思考に陥る。
うおお! どうしたらいいんだ? 後島に行けばいいのか留まればいいのか?
少なくてもここにいればマキナと一緒にいられる。ココだっているんだ。
もし後島に行けば最悪全部失うかもしれない。
すべてを失う大勝負に出るべきではない。
飯はまずくて最悪な環境だけどここには慕う者も大勢いる。
このままここにいるのが一番いい。安全だ。安心できる。それでも……
「次の世界に行った者はここに戻って来ることは絶対ないんだよ! 」
繰り返し忠告する。分かってるからこそ反発したくなる。
「だったらどうすればいい? 教えてくれよマキナ! 」
「お兄ちゃんの思った通りにすればいいんだよ」
そんなこと言ってちっとも具体的にアドバイスしてくれないじゃないか。
逆にそれがトワナの生存を証明してるようなもの。
ここはもう一度初心に戻りただ次の世界を目指そう。
第三の島・後島へ。もう後がない。
案内役のマキナを連れまだ見ぬ後島へ。
「マキナ…… 」
マキナの小さな腕を取り思い出の泉を去る。
これでいい。でも本当によかったのか? 私は再び判断を誤った気がする。
ミコトを失いトワナまでいなくなってしまった。
これはきっと私に掛かった呪いなのだろう。
博士を突き落とした時からこうなる運命だったのかもしれない。
マキナと手を繋いで中島脱出へ。
「マキナ…… お前までいなくならないよな? 」
「へへへ…… 当たり前だよお兄ちゃん! マキナはマキナだもん! 」
元気づけてくれるのは嬉しいが正直何を言ってるのか分からない。
「よし行こう」
「うん。もう時間がないよ。明日になったら閉じ込められちゃう。
それでもいいなら残って。でもお兄ちゃんはこの島の真実を知りたいんでしょう?
だったら後島に行かないとね。マキナも応援してるから」
「マキナ…… 」
マキナまで消えるのではないかと不安になる。
天女の生まれ変わり候補のマキナも充分にその可能性がある。
「お兄ちゃん? 」
「嫌だ! マキナまで消えないでくれ! 」
つい子供相手に泣きつく最低な大人。相手は十五のガキだぞ。
しかも見た目はもっと幼く見える。そんなマキナに懇願する。
私もヤキが回ったか? もう心も体もボロボロ。限界だ。
「大丈夫。マキナは消えないよ」
どうやらマキナはよっぽどの自信がある。自分は消えない位置にいると。
しかしもうどうでもよくなって来た。一瞬で気持ちに変化が。
このまま中島でマキナと一緒に暮らすのも悪くないなと。
「ダメだよお兄ちゃん。弱気になってはダメ! 最後まで見届けるの。
それがきっとお兄ちゃんの役目だと思うんだ」
マキナが生意気を抜かす。
「マキナ…… 済まない」
「ほらもう泣かないで。マキナがついてるから」
こうしてマキナと逃走劇開始。
「あの…… アキラ様どちらへ? 」
第五洞窟を脱出し第七洞窟を過ぎた辺りで呼び止められる。
「ちょうどいいところに。船頭を見なかった? 」
「さあ今日は見てませんね。用でも? 」
「ああ。マキナが連れて行けってうるさくて」
「うん。お兄ちゃんとデートなんだ」
さっきまでのマキナは姿を消しいつものマキナに戻る。
結局マキナとは一体どんな存在なのか? 敵か味方かもあやふやだ。
これだけ一緒にいるんだから敵ではないだろうが。
決して真実を語ろうとしない。それは姉妹揃って言えること。
こうして私たちは船頭を求め中島を走り回るのだった。
肝心な時にどこに行ったんだよ? まだいるはずなんだけどな。
急な用で出掛けちまったか?
「どうされましたかご主人様? 」
ココだ。姿が見えなくなったから心配したらしい。
いい子だよ。本当に従順な女の子。
「ココ。船頭を知らないか? 」
「それでしたら…… 」
何と知っていると言う。これは大助かり。
まだとは言え急がねば。明日になれば私は仮穴から第七の穴になってしまう。
それは民からの応援もあるしなっても構わないと思っていた。
いや積極的になろうとさえしていた。
しかしマキナたちが言うにはここに閉じ込められるらしい。
いくらマキナがいい加減で信用ならなくてもその表情を見れば本気だと。
「早く頼む! 船頭に会わなくてならないんだ! 」
「焦らずとも明日以降にゆっくりと」
ココは明日の穴就任式を終えてからでもいいだろうと呑気。
「ダメだ。それでは遅すぎる! 」
「どうしたんですかご主人様? まさか私たちを見捨てるつもりですか? 」
いつも味方してくれたはずのココがおかしい。裏切りの兆候を見逃さない。
「それはない。ただ奴らの思惑通りになればこの島に閉じ込められる」
それはできない。ミコトとの約束のためにも本来の目的のためにも脱出あるのみ。
「それを見捨てると言うんです! なぜここで楽しく過ごそうと?
ココはご主人様とずっと一緒にいたいです! 」
想いをぶつけるココ。どうやらココも反対だと。
でもきっとそれでも説得すれば分かってくれるさ。
私は決してココや島民を裏切ったりしてない。
後島に行き真実って奴を突き止める。
それからゆっくりココやマキナたちと楽しく過ごせばいい。
もう少しだけでも時間が欲しい。すべて解決してから戻っても遅くないだろう。
「マキナ頼む」
「お兄ちゃんはこの島の宝を求めてやって来たの。
だから後島にも行かないとダメなの。分かってあげて! 」
果たしてマキナのお願いを受け入れるか?
「マキナ様のお立場も分かっております。しかしこちらの立場もお考え下さい」
ココとマキナが対立する。
「お兄ちゃんを解放してあげて! お兄ちゃんはこんなとこで終わる人じゃない」
マキナはいつになく真剣だ。姉のようなトワナが消え自覚が芽生えたのだろう。
それはそれで寂しい気もするが。
「ココ? 」
「分かりました。ついて来て下さい。恐らくこの時間は泉にいると思いますので」
天女様が降り立ったと言う伝説の泉。
そのせいで第二洞窟と第四洞窟の者たちがいがみ合っている。
どっちでもいいと言うのにまだ決着がつかないらしい。
「ありがとうココ。よし行くぞマキナ! 」
「オウ! 」
ワイルドなマキナは元気一杯。
こうして泉へ。
続く




