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大穴登場!

第六の穴と共に大穴の元へ。

果たしてどのような化け物が待ち構えてるのか?

大穴ともなればまともな姿をしてるとは思えない。ただよそ者だとも言っていた。

だからって私が大穴になれるかもはあまりにも突飛な発想。


「次に向かうぞ」

そう言って三十分は歩かされた。そろそろ島の観光案内はいいから大穴の元へ。

だがノロノロと紹介する第六の穴。のんびりしてるな。まるでこの島のよう。

暑さと食いものと寝床さえよければ理想的なんだがそうもいかないか。

いい加減中島観光は終えたいんだけどな。


「あれを見るがいい。霊山だ。中島にある唯一の山。

しかも立ち入り禁止の神聖な山だ。許されるのは我々のような穴だけだ。

お前も仮にも穴なのだからここを一度ぐらい登るのもいいだろうさ」

「はあ…… それで大穴は? 」

「では登山開始だ」

話を聞く気はないのか無視して先に行く。

案内役が客を置いて行ってどうする? 


「ちょっと待って! 暗くなってきましたよ。明日に回した方がいいのでは? 」

何も考えずにドンドン先に行こうとするので判断を仰ぐ。

「いや十分も掛からないさ。さあ行くがいい」

どうやらこの山を登り切ったところに大穴がいるのだろう。

でも十分も掛からないとは? 標高が高くない山でも三十分は掛かるはずだが。

「何だか足が重くて…… 」

「それは運動不足に違いない。ちょうど解消になる」

悪い人ではないのは分かるが少々強引。少しはこっちのことも考えて欲しい。


ハアハア

ハアハア

「もう帰りましょう。暗くなったら化け物が」

恐怖で足が止まる。

そこでいきなり鳥の鳴き声。

もはや声にもならない。ただ震えるが悟られることなく立派だと逆に褒められる。

でもこれくらいのこと穴にまでなった人物が見抜けないだろうか? 違和感。


それにしてもこの私を脅すとは何て奴だ。黒っぽい鳥だとしか分からなかった。

カラス? カラスなのか? いやここにカラスがいるとはとても思えない。

何と言っても過酷な中島では人間が残飯を残すことはないだろう。

アーバンバードのカラスではさすがにこの島での共存は難しい。

そうすると別の鳥だろうがこんなところに果しているものなのか?

暑くて餌も僅かで草もなく身を隠すところだってほぼない。

山だからと言って自然豊かな訳でもないのだ。


「こいつはこの辺りを縄張りにしてる賢い鳥さ。

ここなら天敵に襲われることもなく卵を狙われる心配もない。

子育てにはもってこいの場所。この辺りにしか生息しないミビだ」

ようやくミビの正体が判明した。

ミビ茶やミビのマスコットの元ともなった実在する島固有の鳥。

確かあれは…… ナガレ発案による失敗作。

散々で観光客を呼ぶに至らなかった。聖地巡礼に失敗した島。

それこそがミハマ島。

島民にとってミビこそがミハマ島の象徴?


「ほれミビが案内してくれるぞ」

こっちだと黒っぽいのが奇声を上げ飛んで行った。

その後を追うと一軒の建物が見えてきた。

どうやらこれこそが大穴の住処なのだろう。


「ここが目的地だ。それではさっそく大穴に挨拶と行こう」

「待って…… 」

勝手にドンドン先に行くので見失いそうになる。

と言っても一本道の単純な道らしいが何と言っても初めて行くから。


「失礼します大穴様。このたび第七洞窟の仮穴になった者を連れて参りました」

畏まる。どうやら相当な人物に違いない。大穴だもんな。

「うむ。入るがよい」

さあでは大穴にご対面と行きますか。

だが入ってすぐのご対面は叶わない。

噂通り大穴も恥ずかしがり屋さんなのだろう。


「ではすべての荷物はここに置いて行ってもらおうか」

不気味な仮面をつけたでっかいのが立ちはだかる。

この仮面は恐らくミビだろう。まったく不気味な奴だな。

それにしてもでかい。どんなものを食えばあんな風に無駄に大きくなるのか?

「どうした? 俺の顔についているのか? 」

たとえついていても見えないさ。

仮に怒ってようと睨みつけてようとその不気味な仮面で隠れる。

これでは相手の真意を測ることはできそうにない。


「これで全部だな? 隠しては身のためにならないぞ」

脅すが生憎所持品は僅か。何と言っても中島に来る前に没収されたから。

これではまるで持ち物検査で没収され不貞腐れるガキ。情けない。

「もちろん。ここに来る前に身ぐるみ剝がされたからな。これが限界」

「よかろう。ではついて来るがいい」

ゆっくり奥へ奥へと進んで行くと大きな部屋にぶち当たる。

和室のようで障子を引けば大穴に会える。

これでもうこの島に用はない。


「では後ろを向いて下さい。ああ…… 第六の穴はそのままで。

第七の仮穴であるアキラに言っている」

まだ自己紹介を済ましてないのにどうやら私を知っているらしい。

すると大穴は相当な人物ということになる。島長と同等の人物かもしれない。

それほど恐れ多いならある程度は従う必要があるな。

「大穴様? これは第七洞窟の仮穴に就任したアキラと申す者。

何も心配なさらずともよいかと」

心配性の大穴を気遣いつつ話を進めようとする第六の穴。

「よかろう。しかし彼には姿を見られたくない。だからこのままで失礼するよ」

異例なのだろう。本来だったら顔を合わせ話すのが当然。

いくら大穴だとしても礼を欠いてはならない。


「悪いねアキラ君。大穴様の命令だからね」

「好きなように。しかし振り返ってしまうかもしれませんよ」

「ほう…… ひょいっとか? 」

「はい」

「くくく…… いい度胸だ気に入った。では特別に良いことを教えてやる」

「まずいですよ。それ以上は危険です」

仮面の薄ら笑いで言われてもちっとも説得力がない。

仮面の男はいくら説得しても大穴が聞かないと嘆く。

それほど絶対的権力者なんだろう。頭が上がらないよう。


「うーん。サシで話したくなったぞ」

大穴はどうやら話の分かる人物らしい。

いくら正体を隠しても何となく分かる気がする。

この特徴的な話し方はどこかで聞いたことがあるんだよな。

ついに大穴に会えた。ここで無駄に時間ばっかり取ってられない。


人払いをさせこれで振り向けば正体が分かる。

しかしだからってそれをしてしまえばお終いだ。どんな罰を受けるか。

大穴とは? ただ恥ずかしいのか単に見られてはまずい人物なのか?

島民でそのような人物は限られる。

大穴の正体が判明すれば島の秘密解明にも一歩前進することだろう。


                 続く

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