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トワナとの時間

トワナの姿が見えたので少しだけ話すことに。

マキナのニュウニュウはほわっとしたかわいい感じ。

それに対しトワナのそれは多少小ぶりではあるものの形の整ったもの。

天女の生まれ変わりであるならもっと豊満であるべきかとも思うが。

姉妹揃って成長の余地がありそうだ。

おっと…… こんなこと言っているが自分は大きさなどどうでもいい方。

あくまで文化人類学的見地から学問的に見ているのである。


「アキラさんは本当に信じられませんね」

ため息を三回もして大げさなトワナ。

視線が気になるのは分かるが私が目に留まったのは別の部分だ。

大きさ以前に特徴的なアザがある。これをアザと言っていいか少々疑問だが。

何だろう…… まるで天女の生まれ変わりの象徴であるかのよう。

マキナには見られなかった。するとトワナこそが本物の天女の生まれ変わり?


だがそれだとおかしい点がある。なぜマキナまで光るのか?

先天的なのか? それとも何かに触れて自然となってしまったのか?

神秘的な現象については恐らく誰も解明できないだろう。

「ごめん。つい特徴的なアザがあるから目が行ってしまう」

言い訳にもならない言い訳をしてみる。だが当然のことながら表情は険しいまま。

どうしよう? 雰囲気が異常に悪い。元々空気もよくないしな。


「ははは! 皺ができるぞ。かわいい顔が台無しだ」

「最低ですよアキラさん!見損ないました!  」

まるで長い付き合いでもあるかのような言い方。

でも会ったのは今日で三回目ぐらいだろう?

私の何を知ってると言うんだ? 買い被り過ぎだ。


「悪いね。こうはなりたくなりたくないと思っていたのに止められない。

それで私に何か用? 」

あえて第七洞窟まで来たのには訳があるはず。

「一応は第七洞窟の穴となったと聞きましたのでご挨拶を」

適当な。そんなことわざわざするはずない。口実を見つけ会いに来てくれたか?

それなら嬉しいがそんなはずないよな。これではただのナルシストだ。


「それはわざわざご丁寧に。祝いの品ぐらい持って来てくれると嬉しいな。

それで今日はマキナちゃんは? 」

つい我慢できずに余計な一言を。

トワナが自分のために来てくれたのが信じられずについマキナの名まで。

「マキナでしたら今日はずっと第五洞窟に。昨日のことを反省するためです。

それとこれがお祝いの品です」

そう言うと躊躇いなくキスをする。

あまりにも素早く自然だから言葉もない。


「はあ? どうして…… 」

もう意味が分からない。

いやビンタなら分かるんだ。百歩譲ってケリ入れるならまだ理解しようもある。

当然痛いけど自業自得だからな。でもこれではお仕置きでさえない。

罪に罰は付きもの。甘やかしてはいけない。

私だってできるなら気づきたいし反省もしたいんだ。

それなのになぜか罰とはかけ離れたキスを選択する?

私を混乱させたいためにそのようなおかしな行動を取ると言うのか?

「あなたのことが好きだから…… 前にも言いましたよねアキラさん? 」

自然だ。あまりにも自然で感情がない。だからどう反応していいか分からない。

もう少し俯くとか顔を赤らませるとかしないと伝わらないよ。


「好きって言うのはあの…… 」

「想像通りです。それが何か? 」

どうやらトワナは感情が薄いかただのツンデレか。

まあいいや。お祝いの品は頂いたんだしこれで良しとするか。

トワナはなぜか私に好意を寄せている。

だが言葉だけで行動が伴ってないとイマイチ信用できない。

いやキスもしてくれたけどさ。どうしてトワナはこうなんだ?

まるで何年来かの友人…… 恋人で嫉妬しているかのよう。


天女伝説に出て来る天女はそれは恋多き女性。

あまたの男を好きになるが男たちはその神々しさに耐えられずに逃げてしまう。

もし伝説の通りならこのトワナこそが天女のはずだ。自覚だってありそう。


「なあもう少しそのニュウニュウを見せてくれないか? 」

つい無茶な要求をする。私は酒場の酔っ払い親父か? 博士か?

自覚していながらどうしてもおかしなことを言ってしまう。止まらない。

「アキラさん! 」

恥ずかしさよりも怒りが優先されるらしい。

「いや違うんだ。これは純粋な興味で…… フィールドワークって奴だ」

そうこんな風に現地の子にはどうにか見せてもらったし触らせてももらった。

今振り返れば最低だがこれも学問だと納得したものさ。

どうしてか海外になると弾けるんだよね。しかも隣には唆す博士がいる訳で。


「興味ありますか? 」

「あるある。この独特のアザが気になって仕方がない」

上からのぞき込む形では決して見つからない。

もっと下から眺めると見えてくれる。


「これには何か意味があるのか? 」

できるなら許可を取って拡大したいし写真にも収めたい。

それが無理ならデッサンでもいい。

とにかくニュウニュウの下方に見られるアザに興味が湧く。

もちろん写真などない。持ってきたものは中島に行く前に全部没収された。

それだけでなくミハマ島に行く途中で船頭にバシャバシャ取るなと注意もされた。

郷に入っては郷に従えだからきちんと守っていた。


紙とペンなら第六洞窟で入手。投票用紙の予備の紙と転がっていたペン。

「ちょっとこっちに来て…… 」

さすがに第七洞窟の手前でデッサンがバレたらいくら穴でも罰は免れない。

穴よりも神聖で侵さざるべき存在の天女の生まれ変わりの方が守られる存在。

大体私は穴と言っても完成までの仮の穴だからな。

洞窟の後ろに回って人が来ないかをよく確かめてからデッサン開始。


「うーん。構図がよくないか。よしもっと手を挙げてくれないか? 」

「こう? 」

顔は怒りに震えてるのに注文通り動いてくれるから意味不明。

真面目なんだろうな。妹思いの真面目で素敵な天女の生まれ変わり。

「それからもう少しだけ足を広げて。うんそれでいい」

「早くお願いします。私も暇じゃないので」

「おっと動かないでくれよ」

しかしデッサンなどしたのは生まれて初めてのこと。

ただ思いついたことを実践したのみ。

恐らくトワナも初めてだろうな。


ああトワナを抱きしめられたらどれだけいいか。

無理だよな…… マキナはどうにかなってもトワナでは絶対無理。


               続く

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