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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第45章:未来を変える者たち

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352/371

352.折衝の開幕

結局、アヴァロン2に残ったのは、バトラーの元兵士10名とバレルの精鋭部隊5名だけだった。


バレルが集めてきた30名の素行の悪い者たちは、全員アジトへ帰るという名目でアヴァロン2を離脱していった。


このタイミングで、バレルの元にバトラーから緊急通信が入った。

『バレル! お前、何を指示した?皆、どこかへ行ってしまったぞ!』


「はい、バトラー様。その件で至急お話ししたいことができました。すぐにそちらにお伺い致します」


通信を切ると、バレルは側に立つミュートとミュリアに声をかけた。


「ついてきてくれ」


移動中のエレベーターの中で、バレルはこの先に待ち受ける交渉を控え、震えていた。


その時、ふっとバレルがミュートの手を握った。

少し驚いたミュートだったが、バレルの手から伝わる震えに気づき、ミュートもその手を握り返した。


『なかなかいい感じですね⋯』

リベラがミュリアの通信機越しに語りかけてきた。


「うるさい!」

ミュリアは大声で返した。


驚いたバレルとミュートがミュリアの方を見る。

「あっ、違うの! あなたたちに言ったわけじゃないの!」


しどろもどろになりながら弁明するミュリアを見て、バレルは少しだけ緊張がほぐれるのを感じた。



「バレル。やっと来たか!」


部屋に入ってきたバレルへ近づくバトラーは、すぐに後ろに控えるミュートと見知らぬ女性の存在に気づいた。


少しぽっちゃりとした女性で、バトラーとしては少し好みのタイプだった。


しかし、今はそれどころではないとバレルに詰め寄る。

「説明しろ! 何が起こっているんだ!」


バレルは至って冷静に語り出した。

「バトラー様に仇なす者たちをここから排除しました。まずは、こちらをご覧ください」


そう言うと、正面の大型モニターにアヴァロン2とバトラーの拠点を結ぶ宇宙図を表示した。


「私は配下の者たちに、レアメタルの入った箱を先ほど拠点に運ぶよう指示を出しました」


アヴァロン2を飛び出した宇宙船は、まっすぐバトラーの拠点に向かって⋯


⋯は、いなかった。


どの船もバラバラの航路を辿り、思い思いの惑星に向かっているようだった。


「どういうことだ? ぜんぜん拠点に向かっていないではないか!」


バレルは冷静さを崩すことなく続けた。

「はい。ですから先ほど申し上げましたように、信用のできない者たちをアヴァロン2から排除したのです」


「その結果、レアメタルを持ち逃げされたというのか?」

ふつふつと怒りを募らせるバトラーに対し、バレルはどこまでも平然としていた。


「少し認識が間違っておられるようです。持ち逃げされたのでしたら、このモニターに表示されている情報はどういうことでしょう?」


バトラーはバレルの言葉を受け、再度モニターの映像を注視し、ある事実に気づいた。

「た、確かに、逃げられてはいないな。皆、完全にトレースされているようだ。コレは一体どうやって?」


「彼女の技術をお借りしています」

バレルは隣に立つ女性を指し示した。


「バトラー様、お初にお目にかかります。私はこのアヴァロン2を管理しているミュリアと申します」


それを聞き、体をビクリと震わせるバトラー。

「⋯ということは、お前はリベラの仲間なのか?」


「はい。ですが、私はリベラからバトラー様との和解調停をお願いされて来ました」


ミュリアが優しい笑顔で語りかけると、バトラーもまんざらではない様子で、話を続けるようミュリアに促すのだった。

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