347.未来からの刺客
45章のここまでのあらすじ
セレノグラフィアで目覚めた記憶喪失のバレルは「ミュートの停止」という謎の使命だけを覚えていた。バトラーのアヴァロンの攻略失敗に乗じて側近へと成り上がり、バレルはついに「ミュート停止」の使命を果たすための絶好の立場を確立する。次なる軌道エレベーターでの社長拉致作戦を提示する。
「リベラとは一体どんなヤツなんだ?」
バレルはリベラの名前のひびきが、なんとなく気になり、そばにいたミュートに質問した。
ミュートは以前、リベラに会った時の映像をモニターに映し出した。
そのリベラの顔を見た瞬間、バレルは体内に電気が走るような衝撃を受けた。
『ミュートを停止させろ』
バレルにその指示をした人物。
それが、まさにこのリベラである事を思い出した。
そして、ターゲットが今隣にいるミュートである事もやはり間違いなかった。
しかし、バレルは何か決定的な違和感を抱いていた。
⋯
バレルは100年後の未来で、人工授精によって生まれた戦士の1人だった。
その時代、リベラ軍とミュート軍の戦いは10年間、膠着状態が続いていた。
お互いを見つけ出し、倒すことができればこの戦争は終了するのだが、リベラとミュートがどこに潜んでいるのかは誰も知らなかった。
お互いに拠点と思われる場所を兵士に攻めてみるものの、ことごとくその予想は外れた。
関係のない場所ばかりを攻め、ただ兵士をムダに消耗するだけの日々を送っていた。
そんな中、リベラはかつてアヴァロンで稼働していた時空転送装置の復旧に成功した。
そこでリベラは思いついた。
現在のミュートを探しだす事は極めて困難だが、リベラは過去において数度ミュートと接触した経験があった。
つまり、接触した時間と場所を指定し、過去においてミュートを停止させるという作戦を取ることにしたのだ。
⋯
リベラは数人の兵士をかつて、バトラーが総司令官をしていた小惑星へと送り込む事にした。
お互いに相手の潜伏地は見つけられなくても、頻繁な人の出入りがあればそこが敵の何らかの重要な私設と相手に察知されてしまう。
転送の直前、ミュート軍は時空転送施設を襲撃してきた。
バレル以外の兵士たちは、動かない標的のように転送装置から出られないまま、次々とレーザー銃で倒されていった。
しかし間一髪、バレルの時空転送装置は稼働した。
しかし、稼働中の時空転送装置に流れ弾が着弾した。
装置から激しい火花が散り、装置は大爆発を起こした。
しかし、爆発した装置の残骸には、バレルの姿はなかった。
想定とちがう点があった。
まず転送中の銃撃によって目的の座標が狂ってしまった。
そして、バレルは時空転送の過負荷によって、記憶を失う事となった。
⋯
「バレル様、大丈夫ですか?かなりうなされていたようですが」
今やミュートはバレルの側近として、バレルの身の回りのサポートを行っていた。
「い、いや。大丈夫だ!」
バレルは今は汗を拭いながら、そう答えるのが精一杯だった。




