332.伝えたいこの思い
目的地に着いたのは、ギルバートたちの方が先だった。
事前に連絡をしていたため、入港直後、待ち構えていたエマとサラが、ロボットからカイトの眠るコールドスリープポッドを迅速に引き継いだ。
「「必ず助けるから安心して!」」
2人の力強い言葉に、ロボットの肩の荷がようやく下りた。
ポッドを搬送しながら角を曲がったところで、サラが尋ねた。
「所であのロボットは何?」
「さあ?」
疑問はそれきり、患者の容態が気になる2人は、足早にラボへ急いだ。
⋯
「じゃあ、私は行ってくるね」
やり取りを見届けたリラは、夫のギルバートにそう言い残し、愛しい我が子に一刻も早く会うために足早でどこかへ行ってしまった。
残されたギルバートとロボットは、ひとまず仲間たちが集まる食堂へ向かった。
食堂には佐々木とリベラ、クリストとガブリエラの4人が待っていた。
⋯
「さぁ、練習の成果を見せてやれ!」
ギルバートとロボットは、アヴァロンへ着くまで毎日のようにリベラたちに状況を説明するための練習を繰り返していた。
最初はつたなかったロボットのおしゃべりは少しずつマシになり、ギルバートでもある程度は理解できるようになっていた。
ただ、その程度が問題だった。
ギルバートが理解できたのは、未来から来たのがどうやら本当という事と、未来へ戻るために何かをしないといけない事だけだったのだ。
しかし、ギルバートにとって、一生懸命話すロボットのために力になってやりたいと思えたことが重要だった。
『うん!』
はりきって説明しようとするロボット。
しかし、それをリベラが制止した。
「すみません。あなたのことはギルバートさんからおおむね伺っております。その上で、少しいいでしょうか?」
そう言ってリベラは自分の首の後ろから有線を引き出し、ロボットの胸元のジャックに接続した。
ロボットの視界にメッセージが表示される。
『管理者リベラから、データ参照要求が届いております』
そのメッセージに対し、ロボットは承認した。
途端に、記憶を凄いスピードで読まれることになった。
「なるほど。こんな事が起こるのですね⋯」
リベラはそのまま、クリストとガブリエラに有線接続を勧めた。
2人も接続中、「ふむふむ」やら「なるほど」やら呟いていたが、どうやらしっかり理解してくれたようだった。
リベラは言った。
「分かりました。それでは私たちは準備に取りかかります」
そう言って部屋を出て行こうとする。
ロボットは気が抜けたような雰囲気と、どこか寂しげな空気を出していた。
佐々木もまた、自分だけが仲間外れにされているようで少し寂しそうだった。
部屋を出て行く直前、リベラは振り返った。
「佐々木様。これからメイリンさんとベガ、リラさんがやってきます。みなさんで、このロボットの話を聞いてあげてください」
うつむいていたロボットが、勢いよく顔を上げる。
「頑張ってください!」
リベラの応援を受け、再び緊張を始めるロボットだった。




