330.捨て身の自白
「お前たちに協力しよう。⋯だが、1つお願いがある」
レイナードは悲痛な声でリベラたちに懇願した。
「私と一緒に助けた者たちの命は助けてくれ!」
それを聞いて、昔からこの男を知るウィンとミュリアは目を合わせ、少し微笑んだ。
「彼らは元艦隊の優秀な隊員たちなんだ。生かしてくれれば、傭兵として必ず君たちの役に立つ! どうか、命だけは助けてくれ!」
「はい。もとよりそのつもりです。みなさんに期待していますので」
リベラは事も無く答えた。
「だが、本当にいいのか?」
「⋯それは、どういう意味ですか?」
リベラはレイナードが何に引っかかっているのか、まったくわからなかった。
「お前たちはこれまでの遺恨を、本当に洗い流せるのか?」
ミュリアとリベラは顔を見合わせた。
「なるほど」
リベラは納得したように頷いた。
「レイナードさん。私たちは争ってどれくらいになりますか?」
「さあな? 1年か2年といったところかな」
⋯
リベラが急に話を変えた。
「ところで、レイナードさんは昨日私に言いましたよね。なぜ貴様が生きている⋯と。あれはどういうことですか?」
レイナードは「やっぱりな」と言いたげな顔でリベラを見た。
遺恨なんて、そうそう消えるものではない。
やはりコイツは俺を許す気なんか元からなかったのだと、レイナードは胸の中で吐き捨てた。
自暴自棄になったレイナードは、ここまで来れば嘘をつく必要もないと、正直に語り出した。
「以前、セレノグラフィアの近くでお前の乗る豪華客船が破壊されたろう。あれを計画したのは私さ」
レイナードはあとはどうにでもなれと、皮肉っぽい顔ですべてを話し出した。
「人工ブラックホールを船の進路に設置して、豪華客船を消失させたんだ」
自白にも似た言葉を吐き捨てると、レイナードはリベラの反応を窺うように視線を向けた。
だが、リベラは怒るでも動揺するでもなく、ただ小さく首を横に振るだけだった。
「ああ、あれはバトラーさんの仕業でしたね。しかし、消失したのではありませんよ」
まるで明日の天気でも話すかのような平静な答えに、レイナードの眉間に深いシワが刻まれる。
「嘘をつけ! 消失してないとしても船は無傷ではあるまい」
真実を隠そうと苦しい誤魔化しをしているのだと思い込み、レイナードは詰問するように声を荒げた。
そんな彼の激昂を受け止めながらも、リベラはどこか遠くを見るような瞳で穏やかに答えた。
「ええ、結果的に船は失いましたが、私達にとってそれ以上に大きなメリットを得ることができました」
リベラとのまったく噛み合わない問答に、いよいよレイナードがキレた。
「フン。どんなメリットがあったというのだ。ブラックホールの中で時空を超える術でも手に入れたというのか?」
レイナード以外の3人がビクッと肩を揺らし、レイナードの顔をまじまじと覗き込む。
「当てずっぽうでも、さすがね⋯そのとおりよ」
ミュリアがレイナードに説明した。
レイナードは顔をひきつらせる。
「はっ? お前たちはさっきから一体何を言ってるんだ?」
リベラが静かに答えた。
「つまり、私たちはあなたが設置した人工ブラックホールを使い、偶然にも時空を超える術を手に入れたのです」




