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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第42章:破滅の回避ミッション

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299.エイドスからの旅立ち

41章のあらすじ

登場人物:アイリス(22歳、ハッカー、女性)、エドワード(20歳、男性)、ミネルヴァ(AI、女性)、ギルバート(30代、商人、男性)、バルガス(男性)、バロウズ(50代、男性)

カイトの誘拐を知り、エドワードの視察に乗じてアヴァロン2へ向かうアイリス。しかし宇宙海賊のテロで軌道エレベーターが切断され、アイリスは宇宙空間に孤立してしまう。アイリスの能力を使うことで、アヴァロン2への潜入に成功。さらに、ステーションの大半を制圧するが、カイトの危機的状況にアヴァロン2の強制パージという強硬手段に出る。ギルバートの助けを受け、エイドスへ帰還する一行。病状が悪化したカイトを救うため、アイリスは、共に高度な医療施設を持つアヴァロンへ向かうことにした。

「アイリスさん。気をつけて行ってきてください!」

アヴァロンへ旅立つ直前、エドワードは恋する男の眼差しでアイリスに声をかけた。


「ん」

しかし、アイリスはいつも通り、そっけない適当な返事を返す。


「アイリスちゃん、エイドスの事は気にするな!俺たちがしっかりと管理しておくからよ。カイトの治療に専念してきな」

裏社会の顔役であるバロウズが、安心させるようにガハハと笑う。


隣ではバルガスも無言で深く頷いていた。

アイリスはエドワードに対する態度とは異なり、ふたりの不器用な優しさをまっすぐ受け取り、胸が一杯になると、我慢できずにふたりまとめてギュッと抱きついた。


「おいおい……」

おっさん同士がアイリスの力で顔を寄せ合わされ、少しイヤそうな顔をする。


だが、娘のようなアイリスを慈しむように、それぞれ自由な方の手で、その小さな頭をそっと撫でるのだった。


別れを惜しみつつ、アイリスはカイトのコールドスリープポッドと共にギルバートの『スターブリンガーⅡ』へと乗り込んだ。


しかし、これがエイドスの皆との、最後の別れになるとは、まだ誰も知らない事だった。



「アイリス。お前、またやりすぎたな」

出港した船内で、操縦席のギルバートから呆れたような軽いお小言が飛んできた。


「ミネルヴァから連絡があったが、お前がむやみに倉庫をパージしたせいで、アヴァロン2の軸がズレたそうだ。おかげで工期がさらに3か月延びたって嘆いてたぞ」


セキュリティ面の大規模な見直しも含め、ステーションの正式運用にはまだまだ時間がかかると思われる。


対して、今回のアヴァロンへの航路は何の障害もなく、極めて平穏に終わりを迎える事ができた。



一方、エイドスに残されたミネルヴァは、今回の「アヴァロン2の半壊」という大事件をどう解決すべきか頭を悩ませていた。


民衆の間では、正確な公式発表がないために不穏な憶測が飛び交い始めている。


そこでミネルヴァは、事件の際にカメラクルーたちが撮影していた映像を利用することを思いつく。

都合のいい部分だけを巧妙に繋ぎ合わせ、一大エンターテインメント映画に仕上げて世論を誘導する計画を実行した。


その際、バルバロッサからの依頼でアイリスの姿はAI加工によって可憐な別人のヒロインへと差し替えられた。


映画の主役は、宇宙海賊のテロに果敢に立ち向かうエイドスの若き社長・エドワード。

彼の役者のように整った顔立ちと、恐怖に立ち向かう熱い演技は、公開されるや否や瞬く間に多くの女性たちを惹きつけた。


物語のクライマックスは、可憐な美少女と王子様のハッピーエンドではない。


宇宙船に乗り込み、病の弟と共にエイドスを去る感動的なシーンには、劇場の誰もが涙を流した。


そして、恋する女性にフラれた独身の若社長がエイドスに残った。


この結末は、現実の女性たちにとって最高のバイアスとなり、彼の支持率は爆発的に跳ね上がることになる。


映画の最後、暗転した画面には、ミネルヴァの手によって小さく以下のような注釈が映し出された。


『この物語は事実をもとにしたフィクションです。登場人物の一部は人権を尊重し、名前や職業を創作しています。』

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