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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第41章:アヴァロン2の崩壊

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296.裏切りの報復

ウィンとミュートは何とかモニターの強制表示を消すことに成功した。


しかし、アヴァロン2全体に自分たちの場所を知られてしまった以上、ココに留まるのは得策ではないと考えた。


「バトラー様、すぐに移動の準備を」


まわりの機材をまとめ、逃げる準備をしていると、コントロールルームの扉が開く音が聞こえてきた。


たまたま扉の近くに立っていたウィンがそちらを向くと、入ってきたのは男だった。


「バトラーさんは無事かい!?」


最近仲間になったばかりのその男は、息を切らせて部屋に飛び込んできた。

どうやらバトラーのことを心配して、真っ先に駆けつけてくれたのだと思われた。


「ええ、ココは大丈夫です。持ち場に戻って⋯」


男は懐からレーザー銃を抜くと、声をかけながら近づくウィンの胸を容赦なく撃ち抜いた。


室内に光が走り、嫌な音が響く。

「ウィン!!」


叫びながら、ミュートが素早く銃を抜き、男を撃ち抜いた。


「くそっ⋯3億クレジットを逃したぜ⋯」

懸賞金に目がくらんだ男は、そのまま床に倒れ込み、二度と動かなくなった。


バトラーとミュートは、床に崩れ落ちたウィンの無事を確認しようと駆け寄った。


しかし、レーザーは彼女の胸の真ん中を完全に突き抜けていた。


ミュートはイヤな予感を感じながら、無理やりウィンの胸の装甲を剥がし、その中にある黒い球体(コア)を確認した。


想像通り、コアは粉々に砕かれていた。


これでは、新しい義体を用意できても、ウィンを元に戻すことは不可能だった。


「⋯バトラー様、また心ない者がココへ来るかもしれません。このステーションを一旦離れましょう」


動かなくなったウィンの体をぼうぜんと見つめていたバトラーを、ミュートは無理やり立たせた。


2人はウィンをその場に残し、部屋を後にした。



少しだけ時間を戻し、エドワードたちのいる倉庫で、エドワードは、アイリスに、ふとした疑問をぶつけていた。


「アイリスさん。先程の宙賊をけしかけていた男性はだれですか?」


協力者かと尋ねるエドワードに対し、アイリスは当たり前のように答えた。


「アレは私」

「わたし?⋯えっ?」


アイリスの話によると、宙賊たちを本気でやる気にさせるため、威厳があり、ある種の人たちには深く響く声とセリフを使ったのだそうだ。


「だから少しアイリスさんっぽくなかったんですね」

「んっ」


実際、何か探しているような行動を取る男たちが数人、船内をうろつき始めているのがカメラに映っていた。


アイリスはそれらを放置しつつ、他の宙賊たちに対しては、これまでと同じように明かりを消し、運搬ロボでの攻撃を続けた。


いつの間にか、100箇所近い宙賊が潜んでいた倉庫の半分程を制圧し終え、彼らをコンテナに詰め込むことに成功していた。


しかし、弟のカイトのまわりを管理している男たちは他と違っていた。


男たちはカイトが眠るコールドスリープポッドから離れず、うかつに攻撃ができない状態が続いていたのだ。


カメラでその部屋を監視していると、リーダーらしき男の端末に何かの情報が飛んできた。


電脳経由でその端末に飛んできた情報を読み取ったアイリスは、体をこわばらせた。


『その子を殺せ!』


それは、ウィンを失い、今まさに宇宙船で逃げ出そうとしているミュートが、怒りと復讐のままに送りつけた内容だった。


受信した男は、ため息を1つついた。


「恨むならお前の仲間を恨めよ⋯」


そう言って、男はレーザーガンをポッドに向けた。

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