281.朗報と衝撃
セレノグラフィアの拠点に戻ったギルバートは、ミラにリベラたちの安否について確認するよう依頼した。
状況が分かったのは、それから数時間後のことだった。
「ギルバートさん、リベラさんたちの状況がわかったわ」
ミラが複雑な表情で報告を始めた。
「リベラさんたちは無事に、アヴァロンへ戻ってきているそうよ」
その言葉を聞き、ギルバートとリラは胸をなでおろした。
しかし、安堵したのも束の間、ミラの重い話はまだ終わっていなかった。
「ただ、お父さんたちが作った、あの豪華客船は失ってしまったみたい…」
「えっ!?」
ギルバートたちは驚きに目を見開いた。
あの巨大な豪華客船を『失う』という異常な状況が、にわかには理解できなかった。
バトラーたちの襲撃は、それほどまでに熾烈を極めていたということだろうか?
詳細を知らないミラは、父の血と汗の結晶である客船が沈んだことに、ショックを受けていた。
職人たちの誇りが宇宙の塵になったのだ、彼女もその事実を理解するのに苦しんだ。
ミラは手元の報告書の最後の一文を読み上げながら、首を傾げた。
「でも、不思議なの⋯。報告の最後には、今アヴァロンで、同型の豪華客船の建造が始まっているって書かれているのよ」
豪華客船を失った代わりに、自分たちで豪華客船を作っている。
それはミラにとっては、信じられないニュースだった。
「色々と思うところはあるが、とにかくリベラたちが無事なら何よりだ。俺たちも自分たちの身に起きた状況を急ぎ説明したいし、すぐにアヴァロンへ戻る方法を考えよう」
ギルバートが言うと、ミラは少し考えてから一つの提案をした。
「それなら、スターブリンガーの修理は諦めてはどうかしら? あの船はバトラーたちの攻撃であまりに破壊されすぎているもの。幸い、ここセレノグラフィアは造船の星。新しく別の船を購入してはどうかしら?」
「なるほど、そいつはいい提案だ。そうさせてもらうよ」
ギルバートも即座にミラの提案に賛成した。
大商人の移動手段としても、これからの移動の安全を考えても、万全の船が必要だった。
ミラはすぐに船の手配へと動き、瞬く間に同型機の調達を終わらせた。
さらに、父ガルドの信用のおける優秀な部下たちにすぐさま連絡を取り、裏で最高精度のメンテナンスを施すよう依頼した。
⋯
それから5日後。
宇宙港のドックには、ピカピカに磨き上げられ、最新の調整が施された『スターブリンガーⅡ』の姿があった。
「よし、アヴァロンへ戻ろう」
ギルバートとリラは、新調された新たな愛船へと乗り込んだ。
新たな翼を手に入れたギルバートは、待つ者のいるアヴァロンへ向けて、力強く出向した。




