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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第40章:戦場の電脳覚醒

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279.知略の勝利

『ハハハ! もう打つ手がないな!』

勝ち誇ったバトラーの笑い声が、通信機からブリッジに響き渡る。

圧倒的なまでの実力差を見せつけられ、絶望がリラを支配した。


しかし、自分の足でしっかりと立ったギルバートだけは、不敵な表情を崩していなかった。


「いや、そうでもないさ」


ギルバートは静かに、バトラーの言葉を否定した。


敵船のバリアが再び切れ、主砲に最後の一撃となるであろうエネルギーが集まりだす。


スターブリンガー側にはもう盾になる瓦礫も近くになく、完全に打つ手を失った状態にまで追い込まれていた。


誰もがそう思った、その時だった。


ギルバートは、まるで勝利を確信したかのように、穏やかに話しはじめた。


「…仕込みは終わった」


「何言ってるのギル! さっさと避けないと撃たれるわよ!?」

焦るリラがギルバートの衣服を引っ張る。


しかし、ギルバートは静かに、メインモニターにうつる敵船を指さした。


「見てみろ」


異変はすぐに起きた。

バトラー艦の主砲に集まっていたエネルギーの光が、明滅しだしたかと思うと、見る見るうちに弱くなっていったのだ。


それだけではない。


巨大な軍用艦の明かりが、前方から後方へと、まるでドミノ倒しのように停電を起こして次々に消えていく。


主砲のエネルギーは完全に霧散し、あれほど圧倒的だったバトラーの船は、すべての動力を失って沈黙した。


「えっ? 一体何が起こったの?」


呆然とするリラがつぶやく。

リラの隣に立つ先生も、モニターを凝視していた。


ギルバートは呼吸を整えながら、その種明かしを教えてくれた。


「リラ、さっきの資源運搬船が、何を積んでいたかわかったか?」


「さぁ? 特に何も積んでいなかったように思ったけれど…」


「実はな、あの運搬船には『ナノマシン』が大量に積まれていたんだよ。資源採掘で、資源を分解し、吸収するためのやつさ」

ギルバートは不敵に笑い、真相を明かした。


「最初の2隻に積まれていたナノマシンは、残念ながら爆発に巻き込まれて四方へ霧散してしまった。だがな、最後の3隻目は違った。バトラーの船のバリアで、船が半分に引き裂かれただろう?」


ギルバートは、モニターの中でみるみる表面がボロボロに変色し、装甲が崩れ落ち始めたバトラーの艦を指差した。


「バリアの内部、つまりあの船の至近距離に残された運搬船の残骸から、無数のナノマシンが船体へと乗り移ったんだ。結果、ナノマシンがエネルギーを一瞬で食い尽くし、資源に分解しはじめた。…それがこれさ」


あの船にナノマシンを「密着」させることができたギルバートの、執念の勝利だった。


車椅子から立ち上がり、敵を見据える大商人は、誇らしくブリッジに勝ちどきをあげた。


「これで、俺たちの勝ちだ!」

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