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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第35章:500年の渇望

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240/250

240.魂の信号

コントロールルームのホログラム経路図を覗き込んだリラは、不審そうに眉を寄せた。


「ねえ、リベラ。この船、エイドスに向かってるんじゃなかったの?」


「現在は進路を修正しています」


リベラが淡々と答えると、リラは驚いて声を荒らげた。

「はあ!? なんでよ! エイドスにギルを探しに行くんじゃないの!」


「エイドスのミネルヴァさんから、ギルバートさんが見つかったとの連絡がありました」


「えっ、見つかったの? だったら話は早いじゃない! 今すぐエイドスへ向かって、あのバカをさっさと拾ってよ!」


リベラは詰め寄るリラの前に手をかざし、それ以上の言葉を制した。


その静寂に、リラは不穏な気配を感じて口を閉ざす。

「見つかりはしたのですが、中身が『からっぽ』でした」


「からっぽ? 何を言ってるの、リベラ」


リベラは無言のまま、着ていた服のチャックを開け、肌をあらわにした。

更に、しばらくすると、プシューと音を立て、胸部隔壁が展開した。

そこには、『黒い球体』があった。


「AIアンドロイドの本体は、実はこの球体です。同じく、『ゴースト・スキャン』を受けて意識をデータコピーしたギルバートさんも、同様の球体が胸元に格納されています。この球体は、体から離れると微弱な信号を発信します」


リベラは、残酷な事実を告げた。

「見つかったギルバートさんの義体からは、この球体が何者かによって抜き取られていました。エイドスに残されていたのは、中身のない義体だけです。そして今、私たちが追いかけているのは、奪い去られた球体が発している微弱な信号です」


リラはその場に凍りついた。

「じゃあ、アイツは⋯ギルは今、その、玉だけの状態でどこかに運ばれてるってこと?」


「はい。その信号は現在、惑星エデンへと向かっています」


リラは震える拳を握りしめた。



豪華客船が惑星エデンへと続く宙域に差し掛かった時、前方に整然と展開する艦隊が現れた。


直後、コントロールルームに通信が入った。

『警告。我々は惑星エデンの治安維持部隊である。ここから先はエデンの管轄領域だ。許可なく接近することは認められない。直ちに反転し、この宙域から離脱せよ。従わない場合は、敵対勢力とみなし攻撃を開始する』


リベラは表情一つ変えず、通信機に向かって冷静に答えた。

「我々はエイドスから拉致された仲間を追ってここまで来ました。速やかなる仲間の返還を要求します。返還に応じず、我々に対して敵対行動を取る場合は、相応の対処をさせていただきます」


豪華客船は進路を変えることも、スピードを緩めることもなく艦隊へと突き進んだ。


治安維持部隊の隊長が冷酷な指示を下した。

『やむを得んな⋯全艦、攻撃開始!』


次の瞬間、各艦艇からレーザーが客船のスラスターを狙って発射された。


しかし、その光の束は船体に触れる直前、客船の周囲に展開された不可視の障壁に阻まれ、火花を散らして霧散した。


「なんだ? あれはただの民間客船ではないのか!」

完璧に攻撃を防がれた隊長は、驚愕に目を見開いた。


その直後だった。

通信回線に、部下たちの悲鳴と爆発音が混じり始めた。


「一体何が起こっている? 報告しろ!」


隊長が怒鳴るように問い返すと、オペレーターが震える声で叫んだ。


『わ、わかりません! 客船以外のどこからか攻撃を受けているようです!』


再び豪華客船から通信が入った。


「繰り返します。我々の目的は仲間の返還です。あなた方が敵対行動を取らなければなにもしません。『ガブリエラ』という方を追ってココまで来ました」


ガブリエラの名前を告げた途端、残存艦隊は道を空けるように後退をはじめた。


被弾して漂流する味方艦を置き去りにしたまま、残存艦隊と客船は一定の距離を保ち、エデンへと向かった。

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