表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第35章:500年の渇望

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

238/249

238.虎の尾を踏む者

ミネルヴァは覚悟を決め、ガブリエラの待つブースへと向かうことにした。


受付を通り過ぎようとした時、背後から親しげな声が響いた。

「よー、ミネルヴァ」


足を止めて振り返ると、そこにはギルバートが立っていた。

「そろそろアヴァロンに戻ろうと思ってな。挨拶にやってきたんだ」


快活に笑うギルバートだったが、ミネルヴァの硬い表情を見て眉を寄せた。

「ん、何かあったか?」


ミネルヴァは固まった。


これはリベラから自分が直接受けた秘匿性の高い依頼である。


他のメンバーをどの程度関与させるべきか、今の時点では判断がつかなかった。


「いえ、すみません。お客様をお待たせしているので⋯」

ミネルヴァはギルバートの関与を避け、逃げるようにブースへと移動した。



ブースに入ったミネルヴァは、ガブリエラの前に立ち、丁重に一礼した。


「ガブリエラ様。はじめまして、私はミネルヴァと申します。ここの副社長を仰せつかっております。現在不在のリベラに代わり、対応させて頂きます」


ミネルヴァの説明を聞いている間、ガブリエラは品定めをするかのようにその顔をじっと見ていた。


「あなた、エマさんの店で手術を受けたアンドロイドね」

それは、あまりにもぶしつけな質問だった。


「申し訳ありませんが、そのようなご質問にはお答えしかねます」

ミネルヴァが冷静に返すと、ガブリエラは気を悪くしたのか、不機嫌そうな沈黙を落とした。


その不穏な空気は突然終りを迎えた。


「ミネルヴァ。お客様なら俺にも紹介してくれないか」

心配したギルバートが、そっと後をつけてきていたのだ。


ガブリエラは横目でギルバートを一瞥すると、吐き捨てるように言った。

「あなたは。⋯ただのロボットに用はないわ」


そう断じると、興味を失ったようにミネルヴァへと向き直る。


「ロボット? 私はれっきとした人間ですが」

ギルバートは少し怒りを滲ませながらも、客への配慮を忘れず丁寧な言葉で返した。


だが、ガブリエラは再びギルバートを不審な眼差しで見つめた。


「ギルバートさん。この件はリベラさんから私が直接受けたものです。ここは一旦控えていただけないでしょうか」


ミネルヴァが退席を促すと、ギルバートは状況の複雑さを察したようだった。

「⋯わかった。困ったことがあれば呼んでくれ」


彼はガブリエラに短く一礼し、社内の奥へと引き上げていった。


ガブリエラは彼の背中を見送りながら、嘲笑気味に呟いた。

「変わったロボットを飼っているのね」


ミネルヴァの中で、何かが静かに冷えていくのを感じた。



自分はあくまでリベラの代理だ。


もしリベラなら、仲間を侮辱する相手にどう出ただろうか。

⋯それはわからなかった。


しかし、リベラのマスターである佐々木が今の発言を聞けば、間違いなくイヤな気分になるだろう。

そしてリベラは、主がイヤがる相手とは交渉しない。


「申し訳ありません。私どもは、そのような発言をされる方といかなる交渉も行いません。お帰りいただけますでしょうか」


ミネルヴァの声は、先ほどまでのトーンとは明らかに異なっていた。


「なに? 話はまだ何も始まっていないわよ」

ガブリエラが静かに問い返す。


「はい。ですが、私どもにはあなたのお話を聞く義務もありません」

明確な拒否。

その態度に、ガブリエラはようやく正面からミネルヴァを見据えた。


「どうやら、何か選択をまちがったようね⋯」


ガブリエラはそう言い残し、建物を出ていった。



しかし、その日の夜。

ギルバートの行方が突如としてわからなくなった。


ミネルヴァは当初、彼が予定通りアヴァロンへ戻ったのかと考えた。


だが、宇宙港の管理システムを照会したところ、ギルバートの船『スターブリンガー』は依然としてエイドスのドックに停泊したままであった。


胸に去来する嫌な予感を振り払うことができず、ミネルヴァは即座に動いた。


エイドスの裏の顔役であるバロウズへ極秘に連絡を入れ、ギルバートの捜索を依頼した。


同時に、アヴァロンへも緊急通信を入れた。


だが、リベラへ向けてのみ、ギルバートが行方不明になる直前、不審な女性が会社に来た事を連絡した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ