231.軍艦を超える豪華客船
リベラとカミーユが食堂へ戻ると、アテネとガルド夫婦が並んで休憩をしていた。
リベラは2人にカミーユを紹介した。
「こちらはカミーユさんです。新しくハーレムメンバーに加わりました。今後は佐々木様の秘書をしていただく予定です」
「私はアテネ、よろしくね。こっちの気難しそうなおじさんが旦那のガルド。人はいいから安心して話しかけてあげてね」
アテネが快活に笑い、隣に座るガルドを紹介した。
「旦那は客船の設計担当で、私は内装を担当してるの」
「よろしくお願いします。⋯アヴァロンって、客船を持ってるんですか?」
「はい」と答え、リベラはアヴァロンのホログラム映像を表示した。
正面にはカミーユ達が、入港してきた港が映っていた。
ホログラムのアヴァロンは180度くるっと回転した。
そこには巨大な客船が停泊していた。
「えっ!そんな所に船があったんですね。それもかなり大きいですね」
ガルドが、客船の話をはじめた。
「リベラ、客船の準備の話だが⋯驚いたぞ。エンジンとエネルギー炉だけの交換かと思っていたが、まさかレーザー砲まで付けるとはな。見た目はただの豪華客船なのに、中身はそのへんの軍艦には負けない船が出来上がったぞ」
その話を聞き、カミーユは驚いてリベラに問いかけた。
「えっ、それってもしかして⋯」
「はい。先ほど見てきたものと同じ、レーザー砲、スラスターエンジン、エネルギー炉を積んでいます」
リベラの説明を聞いて、アテネが楽しげに説明した。
「そう、まさにミニアヴァロンだよ。でも、そのおかげで収容可能人数がかなり減っちゃったね」
「佐々木様専用の船ですのでそこはあまり問題ではないですけどね」
アテネの説明にリベラは事もなげに返した。
⋯
「カミーユさんはなんでハーレムメンバーになれたの?」
突然のアテネの質問にカミーユは驚き、言葉をつまらせた。
「ああ、説明が足りなかったね。私もハーレムメンバーになりたかったんだけどさ、佐々木さんは手を出してくれなかったんだよ。結局このおじさんがもらってくれたから良かったけどね」
アテネから急に話をふられ、ガルドは飲んでいたコーヒーを吹き出し、咳き込んだ。
「おい、お下がりみたいな言い方をするんじゃない!」
ガルドが顔を赤くして一喝するが、アテネは気にした様子もなく笑い飛ばした。
そんな夫婦のやり取りにカミーユが少しだけ表情を緩ませていると、アテネは視線をとめ、まじまじとカミーユの顔を見た。
「それにしても、カミーユちゃんって、よく見るとすごい美人さんだね。なんでまた、そんな地味なカッコをしてるの?」
「地味?⋯えっ。いえ、これが自分の姿と言いますか、仕事に夢中になりすぎておしゃれに気を使ってきませんでした」
カミーユが困ったように説明すると、アテネは肩をすくめた。
「もったいないなぁ。磨けばいくらでも光るのに。もしお化粧をしたくなったらいつでも言ってね。私がとびきり綺麗にしてあげるから」
「ありがとうございます」
アヴァロンの人たちの優しさに、カミーユの緊張は少しずつ解けていった。




