表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第34章:

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

230/233

230.伴侶の条件

カミーユは目の前にある、鈍い光を放つ巨大なエネルギー炉を見上げ、その威容に気圧されながらもリベラに問いかけた。


「これって⋯出力はどれくらいなんですか?」


リベラは計器の数値を冷静に見つめ、さらりと答えた。

「定格出力は5テラワット。フルで稼働させれば、1時間で18ペタジュールの熱量を供給可能です」


「⋯はい?」


一瞬、頭の中の計算式が停止した。カミーユは自分の耳を疑い、数秒の沈黙のあと、裏返った声で計算を口にする。


「5テラ⋯。それってつまり、1時間で、エイドスの1日分の電力がまかなえる規模じゃないですか!この小さな炉が一基で叩き出せるというんですか?」


「ええ。アヴァロンのレーザー砲の連続放射に、大型スラスター、さらにシールドバリアを稼働させるには、この出力が絶対条件なのです」


カミーユは目の前の機械を、畏怖の念を込めて凝視した。


「これを⋯セレネさんが設計したんですか? 理論上の壁をすべて越えて、このサイズに収めるなんて。間違いなく天才ですね」


カミーユは、足元から伝わってくる微かな振動が、単なる機械の震えではない事を理解した。


「この炉と同じものをエイドスのステーションに付けるんですか?」


カミーユの質問に、リベラは首を横に振った。

「エイドスの宇宙ステーションで使うにはオーバースペックすぎます。アヴァロン構築時に作成した簡易エネルギー炉というのがあります。そちらを持っていく予定です」


「ちなみに、そのエネルギー炉の出力はどれくらいなんですか?」


「この100分の1。定格で50ギガワット、といったところでしょうか」


「なるほど…。たしかにそれぐらいで十分でしょうね」


カミーユは納得したように頷いた。



帰りのエレベーターの扉が閉まると、カミーユは少し卑屈な声でなげいた。


「佐々木さんの周りには、すばらしい人が多いですね。セレネさんは天才で、メイリンさんもリリィさんも、社交的な上にすごく美人で。私なんか、きっとお情けで付き合ってくれてるんだろうなぁ⋯」


その言葉に、リベラは静かに訂正を入れた。


「リリィさんはハーレムのメンバーではありませんよ」

「えっそうなんですか?」


「佐々木様が最初に知り合ったのはリリィさんでしたが、結局そういった関係にはなりませんでした。佐々木様は非常に奥手ですから、相手の方がグイグイと踏み込んでこない限り、なかなか進展しないのです」


思いがけない情報に、カミーユの表情に少しだけ生気が戻った。


エレベーターが静かに上昇を続ける中、リベラは落ち着いた声で話を続けた。


「カミーユさんは十分に優秀です。オリーヴさんも、あなたの聡明さには驚かれていましたよ。私は、佐々木様が非常に平凡な方なので、伴侶にはにはそれを補える方が適任だと考えています。その点において、カミーユさんには今後、交渉の際、佐々木様をサポートする役割を期待しています」


リベラの「本音」を聞き、カミーユはさらに元気づけられた。

自分の居場所を公式に認められた喜びが、胸の中に広がっていく。


「でも、佐々木さんって、私みたいなのを本当に好きになってくれるのかなぁ⋯」


しかし、再び不安が頭をもたげる。


「失礼ながら、カミーユさん、あなたは非常に整ったお顔をされていますよ。実は以前、佐々木様に相談したことがあるのです。秘書としてあなたを置くのであれば、衣装やお化粧をもっとしっかりさせてはどうか、と。ですが、佐々木様からはハッキリと拒否されました」


「ムダだからですか?」


「その逆です。カミーユさんが美人なのは、他人に知られたくないそうです。他人に知られ、誰かに取られたくない。佐々木様があれほど強い『独占欲』を口にされたのは、カミーユさんがはじめてです」


リベラの正直で具体的な感想は、カミーユの心にすとんと落ちた。


「なるほど。佐々木さんがそんな事を⋯えへへ。リベラさん、ありがとうございます」


エレベーターが目的の階に到着し、扉が開いた。


カミーユは先ほどまでとは違い、晴れやかな表情で笑い、みなが待つ食堂へと戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ