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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第34章:

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222/233

222.姉弟のキズナ

スターゲイザーがセレノグラフィアの宇宙港へ滑り込むと、そこには見慣れた姿があった。


アヴァロン商事のミラが笑顔で佐々木たちを迎えてくれた。


「お待ちしておりました、佐々木さん。皆さんもご無事で何よりです」


佐々木たちを専用車に乗せ、ミラはさっそく説明をはじめた。


「今後、セレノグラフィアを拠点にするメンバーも増えますし、拠点となる家を確保しました。まずはそちらへご案内します」


到着したのは、4階建ての堅牢なマンション風の建物だった。


中に入ると壁紙すら剥がされた無機質な空間が広がっている。


「まだリフォーム前の段階ですが、ココの壁をぶち抜いて大きなラウンジを作る予定です。ハーレムメンバーの皆さんがいつ泊まっても良いように整えますね。今後はあの豪華客船で大勢でお越し下さい!」


ミラは自信たっぷりに続けた。

「細かな内装については、あーねぇ、じゃなかった。アテネさんにお願いする予定です。とりあえず、サラさんがすぐに生活できるよう最低限の部屋は用意しました」


手回しの良さに、サラは深く感謝した。


「弟たちは⋯?」


アイリスがずっと気にかけていた問いを口にすると、ミラは窓の外、向かいに立つ大きな病院を指差した。


「あそこの病院にいます。会いに行きましょう」


アイリスがうんうんとうなずいて先行する。


病院へ向かう道すがら、ミラが補足する。

「ちなみに、この病院も買収は済んでいます。サラさんにはココで働いてもらいます。必要な設備があれば何でも仰ってください。アヴァロン商事が責任を持って調達します」


「ねーちゃん!」

病院のロビーに、元気な声が響いた。


アイリスの弟が駆け寄ってくる。

「カイト!」


アイリスはその小さな体を力いっぱい抱きしめた。

「ねーちゃんがいなくても、大丈夫だった?」


心配そうに覗き込むアイリスに、カイトは少し頬を膨らませてそっぽを向いた。

「いつまでも子供扱いするなよな。これくらい平気だよ」


ませた口調に、見守る顔が自然とほころぶ。


その傍らで、ミラが佐々木に小声で告げた。

「エマさんから、アイリスさんの手術準備が整ったと連絡が入っています」



その日の夕食時。


リベラが穏やかな口調で、アイリスとサラに向き合った。

「エマさんから連絡があり、アイリスさんの手術準備が整いました」


アイリスの首の後ろの接続デバイスは、サビたように変色している。

かつて、バルガスの手下に捕まった際、二度とデバイスが使えないよう、特殊な汚染物質を体内に流し込まれ細工をされた。

そのため、単にデバイスを新品に交換しても、蓄積された汚染物質がすぐに新しいデバイスを侵食し、破壊してしまう。


「ですが、手術を受ければ、以前のようにいつでもネットへ接続できるようになります」


手術は設備が整った『アヴァロン』で実施するため、2人には同行を提案した。


サラは拠点をミラに任せ、アイリスと共にアヴァロンへ行くことを決意した。



翌朝。

アイリスは再び病院のカイトのもとを訪れた。


「ねーちゃん、手術を受ける必要があるんだ」


アイリスは首の後ろにある、無惨に変色したデバイスを見せた。


カイトは一瞬言葉を失ったが、すぐに力強く頷いた。

「わかった。⋯頑張ってこいよ、ねーちゃん!」


姉を励ます弟の姿に、アイリスは静かに勇気をもらった。



宇宙港には、カイトとミラが見送りに来ていた。

タラップを上がる直前、強がっていたカイトの瞳から、我慢しきれず大粒の涙がこぼれ落ちた。


「ねーちゃん!早く、早く帰ってきてよ!」

「うん。わかった。もうちょっとだけ待っててね」


アイリスは最高の笑顔を残し、スターゲイザーへと乗り込んだ。

スターゲイザーは、アヴァロンを目指して、静かに浮上を開始した。

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