表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第34章:

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

220/234

220.すれ違いの気持ち

朝食の席で、ギルバートが話しだした。

「カミーユ、少し手伝ってくれ。ミネルヴァへの引き継ぎ作業、お前が手伝ってくれると助かるんだ」


ギルバートに頼まれ、カミーユは戸惑いながらも頷いた。


それが今の自分にできる唯一の役割に思えたからだが、同時に彼女の胸には暗い予感が立ち込めていた。


自分はこのまま、エイドスに残されるんじゃないだろうか。

佐々木が自分を必要としてくれている確信が持てないまま、カミーユはギルバートのサポートをこなした。


その日の夕食の席で、サラが、少し疲れた表情で切り出した。

「佐々木さん、リベラさん。家も解約して、家具も処分したわ。それにこの星の手続きは全部終わってきたわ。これで本格的にセレノグラフィアへ移動できるわ」


その傍らでは、ギルバートとミネルヴァがカミーユの手際を絶賛していた。


「いやあ、助かったよカミーユ。お前の処理能力はやはり化け物だな。おかげで引き継ぎがかなり進んだよ。俺をずっと手伝ってくれないか?」


「はい。私の作業効率も飛躍的に向上いたしました。心より感謝いたします」


ギルバートの冗談めかした「残留要請」に、カミーユの表情はさらに強張った。


彼女の心は、感謝の言葉では満たされなかった。


やっと見つけた、自分を「一人の女性」として、そして「安心」を与えてくれる人として見てくれる佐々木のそばにいたい。


だが、佐々木は一向に「ついてきてくれ」と明言してくれない。


やっぱり自分は、佐々木に必要とされていないのだろうか?

このままギルバートたちの手伝いを続け、佐々木たちが旅立つ背中を見送ることになるのではないか。


そんなモヤモヤとした絶望に近い不安が、彼女を支配していた。


食後、自室に戻ろうとした佐々木に、リベラが耳打ちした。

「佐々木様、カミーユさんがお呼びです。彼女の部屋へ行ってください」


佐々木は少し緊張しながら、彼女の部屋の扉を叩いた。


部屋に入ると、カミーユはがらんとした空間でポツンと座っていた。

「佐々木さん⋯⋯。もうすぐ、お別れなんですね」


消え入りそうな声で、彼女は悲しげに話し出した。


エイドスに残れと言われる覚悟を決めたような、震える声だった。


「えっ? お別れ? そうなの?」

佐々木は素っ頓狂な声を上げた。


「リベラから、カミーユさんは今後、僕の専属秘書としてずっと横でサポートしてくれるって聞いてたから⋯⋯。正直、すごく安心してたんだけど」


「えっ! そうなんですか!?」

カミーユの顔が跳ね上がった。


驚愕で目を見開く彼女に、佐々木は少し照れながら続けた。

「うん。カミーユさんは僕の事を考えた提案をくれるし、隣にいてくれるとすごく安心だなって思ってたんだよね。だから⋯その、勝手にこれからも一緒だと思ってた。残りたいって言われたらどうしようかと⋯」


「佐々木さん⋯!」

不安が霧散し、喜びが爆発した。


カミーユは勢いよく佐々木に抱きついた。

「じゃあ私、ずっと佐々木さんのそばにいます! どこへでもついて行きます!」

勢い余って、2人はそのままベッドへと倒れ込んだ。


翌朝、佐々木が目を覚ますと、視界いっぱいにカミーユの顔があって飛び起きた。

「うわっ! どうしたの、そんな至近距離で⋯」

「あ⋯すみません。目が悪いので、佐々木さんの顔を近くでじっくり見てました」


カミーユは少し顔を赤らめながらも、昨日までの陰が嘘のように幸せそうに微笑んだ。


その日の朝食。

ギルバートが「今日も頼むぞ、カミーユ」と、いつものようにサポートを依頼した。


だが、カミーユはそれをきっぱりと断った。

「すみません。私は佐々木さんの秘書なので。これ以上、佐々木さんをひとりにはさせておけません」


毅然とした態度のカミーユに、ギルバートは「なんでアイツはこんなにモテるんだ」と苦笑いし、佐々木はまたしてもオドオドしながらコーヒーを啜った。



それから3日後。


すべての準備が整い、佐々木、リベラ、アイリス、サラ、そしてカミーユの5人がエイドスを離れる日となった。


「セレノグラフィアに寄るなら、アヴァロンへは同じ頃につくかもな」

「うん。じゃぁギルバートも引き継ぎ頑張ってね」


佐々木とギルバートは別れの挨拶を交わし、佐々木はスターゲイザーに乗り込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ