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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第33章:支配者の交代と王子の帰還

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207.後方支援者の誤算

支配人の前で、リベラはバロウズに電話をかけた。


リベラはそのまま、困惑する支配人に端末を差し出した。


支配人がおそるおそる端末を耳に当てると、受話器越しに低い声が流れた。


支配人の顔から一気に血の気が引き、最後に「わかりました」と答えた。


続いて支配人は震える手で、実行犯のリーダーの耳元に端末を押し当てた。


リーダー格の男は最初は反論していたが、やがて「分かりました」と答えた。


支配人がリベラに端末を戻すと、バロウズの声が再び響いた。

『問題は片付いた』


「ええ、助かりました。ありがとうございます」



翌朝。

サラが目を覚まし、リビングへ顔を出すと、そこには入口の扉を修理している業者の姿があった。


「何これ?」


サラが目を丸くして驚くと、リベラが答えた。

「おはようございます。昨日、ちょっとしたいざこざがありまして」


「いざこざって⋯。私が寝ている間に何をやってるのよ」

サラは呆れたように肩をすくめ、朝食の席についた。


リベラは準備を進めながら、今日の予定を佐々木に切り出した。


「今日は例の『後方支援者』に会いに行きましょうか」


「後方支援者って?」

サラが、不思議そうに聞き返した。


「エマさんの仕事を裏で支えていた人物です。サラさん、『カミーユ』という方をご存知ですか?」


リベラが告げたその名を聞いた瞬間、サラの動きが止まった。

「知ってるもなにも。エマの店の手術を斡旋をしていた人じゃない」


「はい。現在は拘置所に収容されています」



佐々木たちにとっては、3度目となるエイドス中央拘置所の訪問である。


面会室で待っていると、奥の扉から、ひどく怯えた様子で一人の人物が姿を現した。


「えっ、女性だったんだね」

佐々木がリベラの耳元で、驚きを隠せずに小声で囁いた。


「はい。佐々木様の好みにマッチしていると推測したのですが」

リベラも表情一つ変えず、小声で応じる。


「それ、今関係ある?」


目の前のカミーユは、胃のあたりをさすりながら、消え入りそうな声で尋ねた。

「あのぅ、⋯あなた達はいったい?」


「『バ』のつく方の関係者です。あなたを釈放させるために来ました」

リベラが告げると、カミーユは「えっ!」と目を見開いた。


カミーユの計画では、バロウズたちが自分を救うために多額の供託金を用意できないと踏んでいた。


だからこそ、この安全な拘置所の中で、外の問題が片付くまでいようと考えていたのだ。

釈放されるなど、計画が根本から狂ってしまう。


「い、いえ、お金ももったいないですし! 私の事は放っておいていただいて⋯」


そう言いかけるカミーユにリベラは被せるように話した。

「あなたが考えていることは分かっています。悪いようにはしませんから、私たちについて来てください」


佐々木たちはカミーユを連れて、ホテルに戻ってきた。


カミーユは事務所ではなく、ホテルのスイートルームにつれて来られ、何が起こっているのか理解ができなかった。


そこで、室内でくつろいでいたサラと目が合った。

「サラさん⋯ご無事でしたか?」


「ええ、カミーユさんも大変だったわね」

サラが微笑むと、リベラが静かに語りだした。

「カミーユさん。今まで、本当にお疲れさまでした」


カミーユは自分の立てた計画がバレ、ここで消されるんだと覚悟を決めた。



「バロウズさんたちの手綱を握るのは、さぞ大変でしたでしょう」

いつまでも続くねぎらいの言葉に、カミーユは「は、はぁ⋯」と生返事を返すことしかできない。


その会話の途中、修理した部屋の扉が勢いよく開き、2人の男が入ってきた。


「ギルバートさんと『先生』でしたか。お早いお着きで」

リベラが事も無げに挨拶をする。


「おい! 佐々木! たった数日でこんな田舎の惑星で、なんで60億近くの金を使ってるんだよ! いくら金持ちでも、稼いでる側の苦労をないがしろにするような金の使い方は許さんぞ!」

部屋に響き渡ったのは、ギルバートの怒声だった。


「なるほど。今回の依頼は、金遣いの荒いこの男の矯正ですね」

隣に立つ「先生」と呼ばれる男が、眼鏡の奥の瞳を光らせる。


「いいえ。先生には、この街の『裏の仕事』を営む者たちの矯正をお願いいたします」

リベラは、この街の未来を決定づける提案を口にした。

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