206.後方支援者?
「ちなみに、バロウズさんはエマさんのお仕事について、どの程度ご存知ですか?」
「⋯知らん! 俺たちが関与していたのは、あくまで汚れ仕事の部分だけだ」
バロウズはイラ立ちを隠そうともせず、背もたれに深く体を預けた。
「失礼ながら、あなた達のような実働部隊がうまく活躍するには、情報操作や資金管理などを担当する『後方支援者』が必要ではありませんか?」
リベラの言葉に、バロウズは苦々しく吐き捨てた。
「⋯捕まったよ。連行されて今はお勤め中だ」
リベラはその場でネットワークに介入し、該当する者の罪状を瞬時に確認した。
「なるほど。しかし、大した罪ではありませんね。おそらく、数日で釈放されるでしょう」
「一方。最近、あなた達はいろいろ問題を起こしているようですが、なぜ誰も捕まっていないのでしょう?」
「さあな。俺たちがうまくやっているからだろう」
「そうでしょうか?この惨状や?ホテルの襲撃も含め、このような強硬手段を取っていて、本当にうまくやっていると言えるのでしょうか?」
「俺たちには、俺たちのやり方がある。今まで通りに行動するだけだ!」
「今まで通りですか⋯。バロウズさん。もしかすると、あなた達は見限られたのかもしれませんね」
「何!」っとバロウズはリベラを睨んだ。
「いつまでたっても、あの方が生きていた時と同じような強硬手段を取り続ける。いくら状況の変化を説明しても聞き入れない。放っておけば、自滅しそうな問題を次々とおこす。エマさん達がいなくなった今。どうして私はコイツらの尻拭いをしなければいけないのだろう」
勘の悪いバロウズにもリベラが何を言いたいのかさすがに理解ができた。
「『後方支援者』はあなた達全員が捕まった後に隠した金を持って、新たな人生を歩もうとしているのではないでしょうか?」
バロウズにも、リベラの言う事がありえそうだと感じた。
「ですが、あなたはとても運がいい。いつ警察が踏み込んできてもおかしくない状況において佐々木様と知り合うことができました。」
「おめでとうございます」と言いならがリベラが拍手をはじめた。
つられて佐々木も手をたたいた。
「佐々木様、バロウズさんに20億クレジットほど差し上げてください」
佐々木は素直に端末を操作した。
躊躇も確認もなく、莫大な資産がネットワークを駆け抜けた。
端末を確認したバロウズは、目を見開いて絶句した。
リベラは再びバロウズを射抜いた。
「バロウズさん。さっそく、お願いがあります」
リベラはエマの店で働いていた受付の女性と男性職員の写真を、バロウズの端末に送った。
「あなた達の実力を見せて頂けますか?」
「⋯フン。人探しなど、造作もないことだ」
バロウズは寝ている男たちを叩き起こし指示を出した。
⋯
「何かわかりましたらホテルにご連絡下さい」
リベラはそう言い残し、佐々木と共にホテルに戻った。
ホテルの受付に声を掛けると、すぐに支配人が出てきた。
「この度はご迷惑をおかけして、⋯誠に⋯!」
支配人は平謝りし、自分たちの落ち度ではないと切実に伝えた。
「まぁ、セキュリティ的なものを期待してはいませんでしたから構いません。拘束している方たちは釈放してもらって構いません」
支配人の前で、リベラはバロウズに電話をかけた。




