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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、億万長者~  作者: まいぷろ
第33章:支配者の交代と王子の帰還

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199.違法な手術

スターゲイザーが惑星エイドスの宇宙港に到着し、タラップを降りた佐々木たちを待っていたのは、物々しい装備に身を包んだ警備隊だった。


「身分照会のため、一時ご同行願います」


事務的な手続きかと思われたが、窓のない部屋で待たされること4時間。


ようやく解放の扉が開き、外で落ち合ったのは佐々木、リベラ、アイリスの3人だけだった。


「サラさんは? 彼女、まだ中にいるのですか?」

佐々木が困惑を露わにするが、警備員は「お答えできません」と告げるのみだった。


「ひとまず、宿を探しましょう」

リベラに促され、佐々木たちは港の近くにある高級ホテルへと移動した。


チェックインを済ませ、広々としたスイートルームで落ち着くと、リベラは無言で宇宙港のネットワークへと潜入を開始した。


「サラさんの所在が判明しました。移送先は、エイドス中央拘置所の特別勾留区画です」

リベラが室内モニターに詳細なマップを投影する。


「アイリスさん。お願いします」

リベラの指示を受けたアイリスは、荷物からロボットを取り出した。


数分後、拘置所が見える建物の屋上にロボットは待機していた。

その胸元から、本物の虫と見まちがうほどの極小ドローンを取り出した。

アイリスは、極小ドローンを操作し、拘置所の換気ダクトへと滑り込ませた。



中央拘置所、重警備独房の中で冷たいベンチに座り、絶望に暮れていたサラの耳元で、微かな羽音がした。


「⋯サラさん、聞こえますか?」

壁の方から、ノイズ混じりの音が聞こえた。


「こちらを見ないで、小声で返事をして下さい」

サラはリベラの声に従い、先程と同様に下を向き小さく口を動かした。


「助けてくれるの?⋯」

「落ち着いて。まずはわかっている範囲で状況を教えて頂けますか?」


リベラの問いに、サラは思い出しながら震える声で答えた。

「⋯最近行った手術の事を聞かれたわ⋯なんども」


「たしか、エイドスでは最近、臓器移植は懲役刑に法改正されたんですよね」

「そう。移植手術の話を聞かれた。でも、私は法改正後、移植手術には関与していないのに⋯」


「わかりました。まずはそのあたりから調べます」

「サラさん。私たちは絶対にあなたを見捨てません。それを信じて少しだけガマンして下さい」



佐々木たちはその日のうちに惑星エイドスの司法省へと足を運んだ。

その窓口で対応したのは、行政管理AIだった。


「被疑者サラの罪状について説明します。主たる罪状は、今年施行された生命倫理統制法への抵触です。当局は、有機組織の移植手術が不透明な臓器売買を増長するものとし、これを包括的に禁止しました。当該人物は、本法施行後に違法な移植手術を強行した疑いがあります」


「彼女は、改正後に移植手術は実施していないそうです」


リベラの反論を無視し、AIは淡々と続けた。

「記録によれば、手術の実施および関与を示す証拠が受理されています。現時点で逃亡の可能性が否定できないと判断し、保釈申請を却下します」


「僕たちが保証人になります」

佐々木はAIのセンサーを真っ直ぐに見据えた。


リベラが即座に代案を提示した。

「では、逃亡防止のため我々の所有する宇宙船スターゲイザーを差し押さえ対象とするのはどうでしょう?」


しかし、司法省AIは数秒の演算の後、微塵も揺らがなかった。

「不許可です。対象船舶の差し押さえのみでは、リスクヘッジとして不十分です」


しかし数秒後、司法省AIは妥協案を提示した。

「⋯どうしてもというのであれば、50億クレジットの供託金を要求します」


「佐々木様、この金額は明らかに『排除』が目的です。⋯ですが、どうでしょう?」


「ああ、これなら行けそうだ。払うよ」

佐々木は迷いなく端末のボタンを押した。


即座に50億クレジットが、エイドス司法省の口座へと入金された。



宇宙港でサラと引き離されてから、7時間後。中央拘置所の重い扉が開き、疲れ果てた様子のサラが姿を現した。


「佐々木さん⋯っ!」

サラはなりふり構わず佐々木に駆け寄り、その胸に飛び込んだ。

その細い肩は、恐怖と心細さで激しく震えていた。


「遅くなってごめんね。もう大丈夫だよ」

佐々木はサラの背中に手を回し、震える頭を優しく撫で続けた。

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