11.つかの間の平穏
ギルとの話に夢中になり、気がつけばすっかり夜が更けていた。
今夜は佐々木とリベラは、ギルに勧められた高級ホテルに泊まることにした。
「ギルさんの紹介できた佐々木です」
受付でそう伝えると、スイートルームに通してくれた。
広々とした部屋に入るやいなや、リベラが言った。
「今夜の生活に必要なものを、買ってまいります。お疲れでしょうから、佐々木様は休んでいてください」
「今夜の」という言葉に少し引っかかったが、リベラが言うなら仕方がない。
「僕もご一緒しますよ」
佐々木も一緒に出かけようとしたが、リベラはその言葉を遮り、ひとりで部屋を出ていってしまった。
その姿は、まるで佐々木を避けているかのようだった。
リベラは商業エリアに戻ってきた。
ホテルまでの道すがら、この星に到着した時から探していた店を見つけたのだ。
その妖しく光るネオンに向かい足を進めた。
一方、佐々木はまず大きな風呂に入った。
湯船に浸かりながら、今日の出来事を振り返る。
最終的に2億クレジットという大金を手にしたけれど、一歩間違えれば200万クレジットで買い叩かれるところだった事をあらためて思い出した。
ギルの行動を思い出し、少しだけ心がざわつく。
しかし、ギルと友情が芽生えたことが、彼を安堵させた。
ギルという同じ時代を生きた仲間ができたことは、2億クレジット以上の価値がある。
風呂から上がると、お腹が空いてきた。
リベラは食事の必要がないので、気にせず1人分の夕食を頼んだ。
豪華な食事を前に、佐々木はフォークを動かす。
しかし、どんなに美味しい料理も、一人の食事は味気ないものだと感じた。
「さみしいなぁ…」
ぽつりとつぶやいた佐々木の言葉が聞こえたのか、リベラが、両手に大きな袋を抱えて部屋に入ってきた。
「佐々木様、ただいま戻りました」
佐々木は怪訝な表情でそれを見つめる。
「リベラ、それは何を買ってきたの?」
リベラは袋から取り出したものを佐々木に見せた。
「佐々木様のさみしさを少しでも減らせるよう、こんなものを用意しました」
少しばかり大胆なデザインの下着だと気づき、佐々木は固まった。
「必要ではなかったでしょうか?」
リベラは不安そうな顔で、佐々木を見つめた。
翌朝、リベラは佐々木に訪ねた。
「佐々木様、さみしさを紛らわすことはできましたか?」
パジャマ姿の佐々木は、隣で横になるリベラから目を逸らして言った。
「まあ、おかげさまで」
佐々木は朝食を食べながら、リベラに自分の希望を話した。
「リベラ、アークでの生活を充実させたいんだけれどもどうすればいいと思う?」
「それでは、宇宙船を販売している施設を見に行くのはどうでしょう。私も佐々木様がどういったモノをお選びになるか、学びたいと思います」




