↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イケメン高校生の中に、おばさんが転生しました。  作者: 毬藻 闇雪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/17

第四話 イケメンの日常は刺激が強過ぎます



 クローゼットから制服を取り出してみたものの、ふと考える。

やっぱり――


「ねぇ、ひらりくん? 本当に学校、行くの?」

『行くよ』

「……今日は、休まない?」

『だめ。今日は放課後、彼女とデートの約束があるんだ』

「でも、あなたと入れ替われないとなると、私が彼女とデートすることにならない?」

『……それまでには、何とかする』



 ひらりくんに説得され、私は渋々ではあるが、制服に着替える。

 両親は多忙な方たちらしく、すれ違いの生活だと言う。これだけの贅沢な暮らしぶりだと、それなりに稼いでいるのだろう。


 朝食はシリアルか、ゼリー飲料の選択肢しかなかった。私は牛乳をたっぷりかけたシリアルを食べ、ゼリー飲料を飲んだ。

 これだけの立派な体には、充分な栄養素と、バランスの良い食事が必要になる。


 もし明日も、この体の主導権が私ならば、明日からは早起きして朝食を準備するつもりだ。


 玄関で靴を履き、勢いよく立ち上がると、バランスを崩してしまった。

「……わっ!?」

『おい!何やってんだよ?』

「……ごめんなさい。あなたの体、私より手足が長くてすごく不安定だし、立ち上がると、いつもより目線が高いから、驚いちゃって……」

「……気を付けてよ」


 しかし驚くことはそれだけではなかった。

家から一歩、外に出た瞬間、私は通行人の視線に射抜かれたのだ。


 すれ違う女子高生たちが「キャッ」と声を潜めてチラチラ見つめ、通り過ぎるおば様方まで、うっとりとした目を向けてくる。


「すごいわね、ひらりくん……。あなた、歩くフェロモンじゃない……」

『だろ? 俺、学校でも一応モテる方だから。……おい変な歩き方すんなよ!猫背になってるぞ!』

「……だって、こんなに見られて、恥ずかしい」


 人々の視線に緊張しながら、駅のホームで腰を下ろしていると、背後から突然大きな手が伸びてきて、私の肩を力強く叩いた。


「おはよっ、ひらり! 一緒に行こうぜー!」

「きゃっ!?」


 振り返ると、そこにいたのは背が高く、爽やかな笑顔を浮かべた超絶イケメンだった。


「……きゃっ、て。あはは。そんなに驚いたか?」

 イケメンくんが、美しいお顔で笑う。とても眩しい。


ドキドキ……。


 ひらりくんがシャープ系なら、彼は包容力のある大型犬系イケメンね。

 思わず、「カッコいい……!」と、口に出して言ってしまった。


「……は?サンキュ。ひらりもイケてるよ?」

 彼も満更でもないようだ。


『コイツは親友のレン。距離感バグってるから気をつけて……って……ちょっと待って!!』

 ひらりくんが叫ぶのと同時に、私の体にある「スイッチ」が入ってしまった。


『なんでレンに反応してんだよ!!』

 脳内でひらりくんが暴れ回っている。

(えっ!? ちょっと待って、これ……私の意思じゃないわよ!?)

『分かってる! 分かってるけど困るんだよ!!』


(だって私、何もしてないのに!)

『だから俺に言うな!!』

(ご、ごめん……ひらりくん……どうしよう……)


「……? どうしたひらり、顔赤いぞ? お前……立ち上がりにくそうだけど、大丈夫か?」

 レンくんが心配そうに顔を寄せてきた。息が触れる距離に、心臓の鼓動は爆発寸前だった……。


『おばさん耐えろ!! レンの奴、距離が近いんだよな! 離れろレン!!』


 私は、カバンで必死に前を隠しながら、腰を引いてペンギンのようにヘコヘコと歩き出す。


「プッ! なんだよその歩き方! 朝からなに考えてたんだ?」

 面白がったレンくんが、ガシッと私の首に腕を回して密着してきた。


(ああ~っ!! 距離が近い!! イケメンの顔が近い!!)


 レンくんと体が密着したことで、私のボルテージが限界突破しそう……


 不意にピタリと動きを止めるレンくん。

何か気付かれた……?

「……ひらり?」

「な、なに……?」


 レンくんがゆっくりと腕を解き、私の顔をじーっと覗き込んできた。

 さっきのおちゃらけた笑顔が消え、至近距離で見つめる真剣な眼差し。


(やだ……めっちゃかわいい♡)

『おばさん、余計なことを考えるな!』


「お前……さっきからずっと変だぞ。奇妙な声出したり、顔を赤くしたり、俺との触れ合いに反応したり……」


 レンくんは私の両肩にそっと手を置くと、低い声で囁いた。


「……お前、俺のこと『そういう対象』として好きになっちまったのか……?」


『はあああああああ!!? 終わった……。おばさんのせいで、俺の高校生活、友情のベクトルが事故って完全に終わった……』


 脳内でひらりくんが、白目を剥いて絶叫し続けていた――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。