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異世界に転生した元ゲーマーだけど娯楽がないのでゲーム作ります!  作者: なすちー


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19 決闘

 いやいや、落ち着け、俺。

 深呼吸だ。


 俺は首を激しく横に振り、乱れた思考を必死にまとめようとした。


 やっぱり男としては、武器といえば剣や斧といった刃物が「かっこいい」と思ってしまうのは本能みたいなものだ。


 だが、ここは逆に考えるんだ。


 盾で戦うことだって、不可能じゃないはずだ。

盾の縁で押し上げたり、全体重を乗せて体当たりを食らわせたり。

あるいは……両手に一つずつ盾を持って、相手を左右から挟み込むように押しつぶすなんて芸当もできるんじゃないか?


 ……いや、それはさすがにダサいか


 想像して、すぐに頭の中から打ち消した。


 あ、そうだ。盾を投げて攻撃することだって、一応は可能だ。


 って、大事な防具を投げてどうするんだよ! 守るものがなくなっちゃうだろ!


 自分でも驚くほど、俺は地味にテンパっていた。


「あー、兄ちゃん。たぶん、兄ちゃんに一番合ってるのは両手で持つ大盾とか、そういうのなんだが……」


 鍛冶屋の受付のおっちゃんが、武器センス皆無の俺に対して、どこか同情するような優しい声をかけてくれる。


「それにな、兄ちゃん。もしかしたら、使い続ければ他の武器だって人並みに使えるようになることだってあるかもしれないし……」


 使い続けてようやく人並みか。

……それ、実質ダメって言われてるのと同じじゃないか。


「はい、はい。盾ですね。……そうですか。わかりました」


 俺は力なく、何度も頷いた。


 まあ、フラムは魔法使いだし、俺が盾を持つのは役割分担としては悪くないのかもしれない。安全だしな。うん、何より安全第一だ。


 俺は必死に自分にそう言い聞かせた。


「あとは防具だが、兄ちゃんの今の体の付き方を見ると、重装備は無理だな。軽快に動けて、かつ丈夫なこっちの方がいい」


 おっちゃんとあれこれ相談しながら、俺は装備を固めていった。


 結局、選んだのは片手でも扱える少し大きめの盾と、護身用のショートソード。


 そして防具は、動きやすい革製のものにした。とはいえ、ただの革じゃない。ダンジョンの魔獣から取れた、頑丈で熱にも強い特殊な革で作られた一式だ。


 安全を追求した結果、それなりの高額になってしまったが、こればかりは仕方ない。命を預けるものだ、安全第一である。


 ちなみにおっちゃんいわく、これだけのものを揃えれば、見た目だけなら立派な「中級冒険者」に見えるらしい。

……あくまで「装備だけ」なら、という但し書き付きだが。


「まいどあり! 兄ちゃん、なかなか面白いやつだから、また来なよ」


 おっちゃんはガハハと笑って見送ってくれた。


 面白い、ね。……どうせ初心者向けの浅いダンジョンにしか行かないつもりだし、もうここへ来ることもないだろう。


 俺は、購入した一式を専用の大きな袋に詰め込むと、心地よい重みを感じながら鍛冶師ギルドを後にした。


 買ったばかりの装備の重さを背中に感じながら、俺はぼんやりと考えた。


 今の俺が生きているこの現実は、まさに前世で遊んだゲームのようなファンタジー世界そのものだ。


 魔物だってそうだ。ダンジョンによって生息地がはっきりと分かれている。


 例えば、草原のようなダンジョンならゴブリンやコボルド、洞窟のような場所ならコウモリやネズミといった魔物が住んでいる。

浅い階層には比較的弱い個体が多く、深くなるほど手強くなっていく。

魔物を倒せば経験を積んで成長するし、素材やドロップ品が手に入ることだってある。


 もっとも、ゲームのように自分の強さが数字で見えるパラメーター画面なんてものはない。

すべては体感でしか分からないあたり、妙に現実的だよな。


 もちろん、薬草やポーションだって存在する。

だってこの世界の冒険者は本当にすごいんだぜ。

「片腕をもがれたくらいで泣くな、残った方の手でポーションをぶっかければ治る」なんて平気で言うんだから。


 ……いや、絶対俺には無理だ。

痛いだろうし、ただただギャーギャー叫び続ける自信しかない。


 そんなことを考えているうちに、学園まで戻ってきた。


 ふと見ると、正門の前に金髪の綺麗な女性が立っていた。

髪をツインテールのようにまとめ、顔立ちもかなり整っている。この学園では初めて見る顔だ。


 まあ、学園は広いし、俺は総合学科とゴーレム学科しか取っていない。知らない生徒がいるのは当たり前だろう。


 そんなどうでもいいことを考えながら門をくぐり抜けようとした、その時だった。


「あなたがカイトですわね」


 その金髪の女性が、ぴたりと俺の前に立ちはだかって声をかけてきた。そして――。


「あなたに決闘を挑みますわ!」


 彼女は俺をびしっと指差して、高らかに宣言したのだ。


「はい? え? ……どちら様?」


 俺は、見覚えのない金髪美少女から、いきなり勝負を挑まれて立ち尽くしてしまったのだった。


引き続き毎日朝9時更新になります。

よろしくお願いします。

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