13話 巡先輩が壊れた
「115系はね、DF200形になれるんだよ」
正直、私はこの言葉を聞いた時、『巡先輩が壊れた』と思った。
そもそも車両の構造が違う。115系みたいな普通の車両は人を乗せるために乗車スペースがある。それに対してDF200形のような機関車はそのスペースに界磁カム軸やコンプレッサーなどが搭載されている。だから私は言ってやった。
「スパナで斜めから叩けば治ります? 昔のテレビみたいに」
「おお、怖いねえ」
「いや、本気で言ってますけど。頭のネジが数十本くらいはなくなってるんじゃないですか?」
「……もう少し、目上の人に対する敬意を示してくれないかな?」
「というか、そもそもなんでそんなことを言い出したんですか?」
巡先輩がそんなことを言ったということは、何かきっかけがあったはずだ。すぐそこにある資料とか…? もしくは図書館から借りた本?
「いやあ、実は昨日、ネットの海で泳いでいたら見つけてしまったんだよ……アニメの予告編を」
そう言って巡先輩はスマホの画面を見せてくれた。数年前に放送されていたアニメの予告編で、湘南色の115系が走行中にDF200形7000番台に変化していた。カラーリングは『ななつ星 in 九州』とは違っていたけど、車体前面の真ん中に施されている金色のダミーグリルの装飾が7000番台とそっくりですぐに見分けがついた。
「どうだい? 軌間は1,067ミリで在来線と同じ線路幅だ。ありえない話では」
「……巡先輩が愛してやまない115系をDF200形7000番台の見た目に変えるんですか?」
「ウグッ」
「それにしても、子供の頃を思い出しましたよ……昔は『こうなれるんじゃないか』って淡い期待を抱いていましたけど、気付いてみれば大学生……。まあ、楽しかったですけど」
「それはボクも同じさ。あの頃は輝いて見えた」
『昔はよかった』なんて言うものじゃない。
「今が一番なんですよ」
「……良いこと言うね」
「こんなセリフ、ただのコピペですよ」
『DF200形7000番台』
[ななつ星 in 九州]の牽引機として製造されたディーゼル機関車。
外装は[古代漆]を基調としていて、光沢のあるロイヤルワインレッドの塗装が施されている。灯火類などは形が違っているほか、金色のエンブレムやダミーグリルが取り付けられている。スカート周りは従来のDF200形から200ミリずつ延長されているので、全長は20,000ミリとなった。(DF200形だけに200ミリってこと……?)
保安装置は[ATS-DK]で、JR九州管内で使用されているものである。警笛は普通のホイッスルに電子ホーン、ミュージックホーンも取り付けられている
ちなみにディーゼル機関車なので、騒音の抑制が必要な場合にはエンジン1台の運転も行えるように改良されているらしい。
他の番台と見比べると、スカート周りにホースがたくさんされている。また前照灯もE3系や800系みたいに角が取れて力強さがある。でも側面や窓の形状を見ると『ああ、DF200形なんだな』と感じられる。




