10話 115系の改造
「ただいま~」
私が神社巡りをしてから二日が経った日の夜、巡先輩が帰ってきた。
「おう、巡。やっぱお前がいないと調子狂っちまうわw」
「そんなにボクが必要なのかい?」
「私、見間違いなのかもしれないんですけど、115系がしょんぼりしているように見えまして」
「それはそれは、早速会いに行かないとね!」
そう言って巡先輩は博物館の中に入っていった。
「……うわ、荷物多すぎんだろ」
怜太さんがFK2のトランクを覗くと、お土産らしき紙袋が大量にあった。
「この中にもしかしたら要冷蔵のものがあったりしたら大変なので、さっさと中に入れちゃいましょうか」
「そうだな。重いものは任せとけ」
両腕いっぱいに紙袋を提げて中に入ると、巡先輩は115系を撫でていた。それに加えてすり寄っていた。
「よ~しよし、寂しかったかい?」
うん、普通だ。
お土産を片付けていると、気になるものを見つけた。
「これだけ緩衝材に巻かれてる……」
「機械なんじゃねえの?」
私では力不足だったので、怜太さんにテープを取ってもらった。中からは『行先表示器』が出てきた。しかもLED式のものだ。
「これ、何に使うんだ?行先を表すやつだってのは分かるけどよ」
「……前にあったじゃないですか。115系の行先表示器がLEDになったこと」
「は? おいおいまさか」
「その通り!」
背後に巡先輩が立っていた。
「あの115系に取り付けるのさ!」
「出来るのか?」
「『できる、できない』じゃない、『やる』んだ」
巡先輩の目は生き生きとしていた。
あ、これは本当にやる気だ。
「よ、ようやくできた……!」
その日の夜、115系の前で巡先輩は床に座り込んだ。私も怜太さんも手伝いはしたけど、配線や設置は巡先輩が取り付けていた。
「お疲れ様です」
「翼でも怪獣でもいい……エナジードリンクを持ってきてくれないか?」
「おう、ちょっと待ってろ」
そう言って怜太さんは冷蔵庫からエナジードリンクを二つ持ってきた。
「あの、私……エナジードリンク飲めなくて」
「味が苦手なのか?」
「私には合わないんです」
「ならボクが二本分飲めば」
「アホか。薬と同じで『適切な量』で飲めよ」
「……ケチ」
「ケチじゃねえ。お前のためだろうが」
こんな感じで二人は言い合っているけど、本当は…。
私は改めてLED式の行先表示器を見た。E353系と同じで白い文字が映っていた。
そういえば、N-20編成がフルカラーLEDの行先表示器にしたのって何でだったんだろう?
「……文字ってどんなものが映せるんですか?」
「プログラムを書き換えればほぼ全てだよ」
「へえ……」
これ、いつかお披露目会とかしちゃうんじゃないかな?
いやでも、キャンパス内にそんなスペースはないからそんなことはしないはず……はず。




