9話 巡先輩は
FK2を運転することおよそ四時間、ボクはようやく石川県に入った。
燃費は14.1 km/L。なかなか良い感じじゃないか!
おっと、本来の目的を忘れるところだった。今回は683系の『穴埋め』をしないといけないのだ。
『音色: 系』
これはこれは……時間がかかりそうだ。タイミングが合わないと683系は来ないし、長野県は683系なんて走っていないからね。
ちなみに521系の穴埋めは駅に着いてすぐに埋めることができた。どういうわけか、書かれている内容は1次車と2次車だけで、3次車については書かれていなかった。
「つまり、これを書いたのは平成25年よりも前ということか……一体誰なんだろうねぇ」
そして穴埋めする内容も2次車についてだった。
『グリップの内径: mm』
ボクはコンビニで買った単3電池を取り出して内径にはめた。その結果ほぼ隙間なくはまり、10 cmだと分かった。単位を変えれば100 mmなのでサクッと埋めた。
「あまりにも簡単すぎるね……!」
1次車にあるグリップの内径は85 mm、それが2次車になると改良され、15 mm拡張されたのだ。
周りの乗客からは変人を見る目で見られてしまったが問題ない。
『まもなく六番線に能登かがり火がまいります』
「来た……!」
ボクは階段を駆け下り、早歩きで六番線に向かった。
683系はアルミニウム合金でできており、中空トラス断面のダブルスキン構造となっている。繁忙期にはたくさんの乗客が乗ってくるため、増結せざるを得ない。そのため非貫通車よりも貫通車の方が割合が高い…らしい。また、他線への転用を考慮した結果でもあるようだ。
実際、能登かがり火として入線してきた683系はどちらも貫通車だった。
「『基本6両+付属3両+付属3両』として使われていたのかねぇ……キミのこと、もっと知りたいなあ!」
『発車します。閉まるドアにご注意ください』
アナウンスが聞こえたので、ボクは耳をすませた。
風の吹く音、521系の空調音、ドアが閉まる音、223系のドアチャイム……これだ!
683系が走り去っていくのを見送り、ボクはノートとペンを取り出した。
『音色:223系』
「Excellent……!」
「すみません」
「はい?」
鉄道会社の制服を着た女性に声をかけられた。
「先ほどの電車に乗り遅れたのですか?」
「いえいえ、ただの趣味ですよ。ではこれで」
あっさりと終わってしまったよ。明日は午前中に観光でもしようか!
「マスター」
「うん?どうしたの?」
「変な人物がいました」
「(˙◁˙)?????」




