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悪役令嬢の妹ですけどなにか?  作者: トマッティ
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釣り書


その後何事もなく舞踏会は幕を閉じ、それから数日経った後、私はいつも通り筋トレをしていた。


日々筋肉であるッッッ!!!!!!!

私の腹筋はバッキバキだぞ☆






「(・・・99、100!!!!!)」


毎日の日課の1つ100回腹筋を終えた時、慎ましやかなノックが聞こえた。



「はーい、何か用事?」


そう声をかけるとガチャリと音を立てて扉が開き、ウォールが入ってきた。


「失礼致します。

ジーク様がお呼びです。」


「お父様が?・・・どうしたんだろ・・・ウォール、何か聞いた?」


「いえ、何も。

・・・ジーク様がライネ様をお呼びなんて珍しいですよね。」


「そうだね。確かに珍しい。

私今汗臭いから、シャワー浴びた後お父様の部屋に向かうって言っといて。」


「了解致しました。」


ぺこり、と頭を下げてウォールは退室した。

・・・あいつも、燕尾服が様になってきてるなぁ・・・。

ちょっと前まではなんだか少し服に着せられてる感じがしたけど、今となってはすっかり着こなせてる。

さすがウォール、ってとこだね。



♢♢♢



シャワーを浴びてスッキリしてから、侍女に手伝ってもらいながら髪を乾かす。

・・・令嬢は本来お風呂も侍女に手伝ってもらわねばならないらしいが、前世の記憶がある私は羞恥で死にそうになったので遠慮しといた。

いい歳して他人に全裸見られた挙句洗われるって結構な恥ずかしさがあるもんですよ・・・。


ツインテールに結んで白いワイシャツに黒ネクタイ、黒いプリーツスカートを履いて私の準備が整った。

(...ちなみに、この服装は「ライネ」の私服姿として公式ファンブックに載っていたものをそのまま「ライネ」も再現したもので、未来に影響がないよう一応着ている。)



「手伝ってくれてありがとう。」


「とんでもないお言葉です。いつでもお呼びください。」


侍女に感謝を述べると、ふるふると首を振って微笑まれる。

ファルベルン家の侍女は性格もいいし可愛いしで最高なのだ・・・。



♢♢♢



お父様の書斎の前に立ち、扉をコンコンとノックする。


「ライネです。」


「・・・入りなさい。」


名前を告げれば、一拍置いてお父さんの返事が来た。


扉を開き中に入ると、お父さんは書斎の椅子に深く腰をかけてこちらを見ていた。



「ライネ。ライネは今年で何歳になるか覚えているか?」


「はい。11歳です。」


「そう、11歳だ。

・・・これを見なさい。」


そう言って渡されたのが沢山の男性の釣り書だった。


「・・・ええっと、これは・・・。」


「ライネももう婚約者がいなければならない歳だ。

ファルベルン家の子女が11歳にもなって婚約者がいないというのは外聞がね・・・あぁもちろん、外聞というのはこの家の、ではなくライネの、だが。」


「・・・なるほど・・・。」


パラリ、と1番上にあった釣り書を開いてみると、カメラ目線でキメているオーガの写真があった。

なんでこいつのがあるの・・・。


動揺で少し固まった私を見てどう勘違いしたのかわからないが、お父さんはニコニコと笑った。



「・・・オーガ殿下の釣り書は向こう側がどうしてもというので取り寄せたんだよ。

ライネ、愛されてるね。」


「・・・あいつに好かれても、全く、これっぽっちも嬉しくないんですが・・・。

これ、何かの間違いじゃないんですか・・・?」


「間違いも何も、オーガ殿下はライネに送る釣り書を作るためだけに写真を撮られたのだからねぇ・・・。」


「・・・へぇ〜、なるほど(棒)」


どうでもよすぎて欠伸がでそうです。



「・・・お父様。私に婚約者はまだ要りません。」


「・・・何故だい?」


「私、私は、お姉様が好きなんです・・・。

お姉様を下卑た輩から守ることで今は精一杯なんです・・・。

それに、自分が結婚して家庭に入る想像ができませんし・・・正直、あまり男性に興味が持てないんです・・・。

・・・ですから、お父様・・・申し訳ないですが、こちらは送り返してください。」


神妙な顔つきでそう言ってそっとお父さんの方に釣り書を寄せる。


お父さんはそれを見て、はぁ、とひとつため息をついた。


「・・・外聞は、どうでもよいと?」


「・・・はい。別に、大して結婚願望がある訳でもないので。

それに、外聞なんて気にしません。

・・・ただ、ファルベルン家の外聞が・・・というのであれば話は別ですが・・・。」


「いや、いいんだよ。

ライネがそういうなら、釣り書は送り返すことにしよう。

・・・じゃあ、そういうことで。

本当に、いいんだね?」


「はい。大丈夫です。」


数秒間お父さんと見つめあった。

すると、お父さんは私の固い意志を感じ取ったのか、コクリと頷いた。


「・・・わかった。時間をとって悪かったね。

これからも、日々精進しなさい。」


「はい。ありがとうございます、お父様!」


そう言って微笑むと、お父さんも釣られたのか、微笑んだ。



一見落着ですね、うん。







・・・余談だが、部屋を出る直前にお父さんから声をかけられた。





「・・・ちなみにだが、ライネの言う下卑た輩というのはアルフレッド殿下のことかい?」


「・・・・・・(ニコッ)」


「・・・・・・なるほど。」




つまりはそういうことなのだなっ☆



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