舞踏会 4
エルンスと踊り終わった後、喉の渇きに気付いた。
「(あー、喉乾いた。)」
そんなことを思いながら執事が持っている水を貰おうと歩き出した私の手を誰かが掴んだ。
「・・・ちょっと・・・。」
強引に掴まれたので、誰だか知らないが文句を言ってやろうと非難じみた声を出す。
勢いのまま後ろを振り向くとそこにはなんだか不貞腐れた様子のオーガがいた。
「・・・なんだ、オーガじゃんか。
いきなり掴まれてびっくりした。
・・・久しぶりだね。元気にしてた?」
「・・・あぁ、元気だ。
・・・お前、もう踊らないのか・・・?」
様子がおかしいオーガに「どうした?」と疑問を抱きながらも答える。
「・・・あー、そうだね。
もう終わりにしようと思ってる。」
私がそう告げると、オーガはより一層不貞腐れた顔になった。
「・・・・・・・・俺とも踊れ。」
「・・・・・・は?嫌だけど。」
・・・明らかに上から目線で命令してくる野郎に誰が踊るんだよ・・・。
ってか、お腹空いたし疲れたから普通に嫌だわ。
「なんでだ!
・・・・・・エルンスは良くて、俺は駄目なのかよ・・・。」
後半にいくにつれて声がボソボソとしていく。
言っている言葉の意味がよくわからないが、しょんぼりしょぼしょぼしているのでバシッと背中を叩いてやる。
男がしょんぼりしていても全く可愛くないのである。
「な、なにすんだよ!!!」
私に叩かれたところを擦りながらオーガはこちらを向いた。
「・・・あんたねぇ・・・何言ってるの?
別に、エルンスがいいとかあんたがダメとかそういう事じゃなくて・・・私はただ単に疲れたしお腹空いたから今踊りたくないの。
・・・私の言ってる意味、わかってくれるよね?」
無理やり口角を上げてニッコリと笑いながらそう言ってやると、オーガはポカンとした顔をして、「疲れた、お腹空いた。」と私の言葉を復唱した。
「そう。疲れたし、お腹空いたの。」
「・・・そうか、そ・・・うか。」
少し嬉しそうに目じりを下げてオーガはコクリと頷いた。
「・・・そうだったのか。
それなら、いいんだ。」
「うん。わかってくれたようで何よりです。」
私がそう言うと、オーガは私の手をガッと掴んで歩き出した。
「・・・よし!!!!じゃあ俺が、うまい飯を選んでやろう!オススメを教えてやるからな!!!」
さっきのしょんぼり感がどこへ行ったのか、いきなり張り切り始めたぞコイツ。
「いや、別にいいよ・・・。
私は、私の食べたいものを選ぶから!!!」
「はぁ?????俺のオススメを食べない気か????絶対損するぞ・・・!?!?」
「・・・あんた、どんだけ自分のオススメに自信を持ってるの・・・。」
「なんたって、この俺だからな!ははは!」
そうやって嬉しそうに笑うオーガを見て口元が緩んでしまうのは内緒だ。
オーガと歩いている時にウォールと合流し、3人で豪華な食事が並ぶテーブルへ向かう。
「おぉ!さすが王宮だね・・・凄い・・・美味しそう・・・。」
思わずそう呟くと、オーガが「見た目だけじゃなく、味も絶品だぞ」と言った。
・・・なるほど、さすが王宮専属料理人が作っているだけあるな・・・。
肉料理をいくつか皿に乗せて、口へ運ぶ。
「〜っ!!!!!!!!」
めちゃめちゃに美味い。わかってたけどめちゃめちゃに美味かった。
舌の上で解ける肉にほっぺが落ちそうだ。
「やばいわオーガ。美味しすぎる。うめぇ。」
「だろうな、わかるぞ。
そしてライネは淑女の皮をもっと被れ。」
「ライネ様、はしたないですよ。」
「お母さん、うるさいよ。」
「・・・!?僕はライネ様のお母上ではないと何度言ったらわかるのですか・・・!?!?」
「おおっと、ごめん。口が滑った。」
「ライネ様???謝るところ違いますよね?????」
ウォールは口うるさい姑になってしまった。
悲しきことである。
・・・ちなみに、お肉料理の他にデザートもあったのだが、どれもとても美味しかったと明記しておきますね。




