オーガの訪問
お父さんとの会合から数日経った昼下がり。
私の気持ちを表すようにお日様はサンサンと輝いている。
「ライネと久しぶりに二人っきりでお茶を飲めて嬉しいわ。」
「私も嬉しいです・・・!!」
「あら、相思相愛ね。」
「はい・・・!!!!
いつもお忙しいのに私のために時間を割いていただきありがとうございます、お姉様・・・!!」
お姉様は中等科の生徒会に入ったらしく、いつもとても忙しそうにしているのだ。
「いいのよ。
私の愛しいライネのためなんだから・・・。
でも・・・ライネが突然二人きりでお茶会をしたいだなんて、驚いたわ。」
「・・・あー、少し、お姉様と二人きりでゆっくりしたくて・・・。」
「うん。そうね・・・。
・・・今日は、時間を忘れてゆっくりするとしましょう。」
「・・・はい!!ありがとうございます・・・!!」
それから、結構な時間話した。
お姉様は中等科の様子や、授業のことを私に話してくださった。
私は、カイン先生やエドワード先生との授業で何を教わったかということを話した。
「まぁ!
ライネ、もう魔法を使えるの?」
「はい!一応、光属性魔法以外は全て使えます。
万が一の時、お姉様を助けられるように日々精進してます!」
「ふふ、それは頼もしいわね。」
「・・・えへへ、頼りにしてください・・・。」
よしよしと頭を撫でられて思わずにへぇ〜と顔がにやけてしまう。
嬉しさで胸がいっぱいになった。
「お姉様・・・大好き・・・」と思っている時、テーブルの上に有名な店のバームクーヘンが置いてあることに気づいた。
確か、お父さんがこの店のバームクーヘンが大好きでこっそり隠れて食べていたところを私が目撃してお父さんにちょっと食べさせてもらったやつだ。
このバームクーヘン、めちゃめちゃに美味かったんだよなぁ・・・。
お姉様にも教えてあげようと話し始めた時、それは起こった。
「あ、お姉様!このバームクーヘン美味しいんでs「ライネはいるか!!!!!!!!」」
バンッと音を立てて勢いよく扉が開いたと思ったらオーガが入ってきた。
「・・・ちょっと・・・なんなのよ・・・。」
思わずぶすくれた声が出てしまう。
せっかくお姉様との団欒に、邪魔な男が入ってきおった・・・こんちくしょう・・・。
そんな不機嫌な様子の私に気づかず、オーガはガシッと私の両肩を掴んだ。
「おい、お前!!!
婚約者は要らないってどういうことなんだよ!!」
「・・・はぁ?????
言葉通りの意味だけど。」
「俺がせっかく送ってやった釣り書が鳩みたいに戻ってきたぞ!!!どういうことだ!!!!」
「せっかく送ってやったってなによ。
私はそんな事頼んでないし。」
「まぁ、それはいい。
で、お前。・・・このままだと、行き遅れになるぞ。」
「別にいいよ。
結婚願望があるわけじゃないもの。
第一、お姉様を守るので今忙しいから恋だの愛だの婚約者だのとやってられないわよ。」
「・・・お前・・・残念なやつだとは思っていたが、ここまでとは・・・。」
「・・・はぁあ??????????
なんで婚約者をとらなかっただけでそんなこと言われなきゃいけないのよ!!」
「いいか、行き遅れになったら世間から白い目で見られることになるぞ。
今とらずにのちのち結婚したいと思っても遅いんだ!!」
「だーかーらー!!私は結婚しなくてもいいって言ってるの!!別に白い目で見られたっていい!!そんなの気にしないし!!!」
「・・・俺は、俺は結婚したい!!!!お前と!!!」
「お前となんて嫌に決まってんだろ馬鹿!!!!」
「はぁ!?!?!?俺のどこが駄目なんだよ!!!
言ってみろ頓珍漢!!!!!!」
「・・・ライネ・・・。」
ギャースギャースと騒いでいると、お姉様からお声がかかった。
「・・・なんですか、お姉様?」
「婚約者をとらないって、結婚しないって本当・・・??私が、ライネの枷になってるの・・・??」
お姉様はそう言うと、言い逃れは許さないといったようにこちらを見た。
「・・・ねぇ、ライネ。私、ライネのことが大好きよ。
だから、ライネには幸せになって欲しいの・・・私の幸せだけじゃなく、あなたも幸せに・・・なって欲しいのよ・・・。」
「・・・お姉様・・・。」
ふぅ、と一呼吸を置いてお姉様の問いに答える。
「・・・お姉様、私は今この時間が幸せです。
お姉様と一緒に過ごせるこの時間が・・・なによりも幸せなんです・・・。
それにプラスして、お姉様が幸せなら私はもっと幸せなんです。
・・・婚約者のことについてですが・・・別にお姉様が枷になっているとかそういうことではなく・・・。
ただ単に男性に興味が持てないんですよ、私。
婚約者を持つことに利点を感じなくて・・・婚約者を常々気にする生活なんてめんどくさいと思ってしまったんです・・・。
ですから、決してお姉様のせいとかではありませんし、自分で選んだことですからお気になさらず・・・。」
一息でそう言い切ると、お姉様は、少し間を置いて「そうなの・・・。」と仰ってくださった。
ほ、と息を吐くお姉様と対称に、オーガはガクリと膝をついてOrzの姿をした。
「男に、興味が、ない・・・。
・・・な、なぁ!!!!!俺には、興味があるよな!?!?!?」
「はぁ?????????
お姉様とのラブラブTimeを邪魔してくる間男への興味なんてこれっぽっちもないけど?????」
「ま、間男・・・。」
「うん、間男♡」
私がそう言うと、さらに項垂れておしりを突き出す格好になったオーガをお姉様と笑ってしまったのは秘密である。




