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その先には何がある?

前夜の話し合いの後、カズキは一人で探索に行くことを決めていた。


まだ夜明け前だった。

家の中は静まり返り、冷たい早朝の空気が辺り一帯を包んでいた。


少し時間はかかったものの、彼はようやくベッドから起き上がった。


慎重に部屋を出て、玄関へ向かう。

物音を立てないように気をつけながら。

母のブリナやリンを起こしたくなかった。


ゆっくりと扉を開き、外へ数歩踏み出した。


その時、肩に手が置かれた。


「どこへ行くんだ?」


カズキは驚いて振り返った。


そこには、わずかに眉をひそめたリンが立っていた。


「まさか、一人で探索に行くつもりじゃないよな?」


カズキは兄弟の手を払いのけた。


「気にならないのか?」と彼は尋ねた。

「その先に何があるのか知りたくないのか?」


リンの表情が一瞬だけ好奇心に変わる。


「だからって、それが良い考えとは限らないだろ。」


「でも、お前も来たいってことだろ?」


リンはため息をついた。

カズキの言うことが正しいと分かっていた。


しばらくして、二人は森の中を進んでいた。

大人たちから決して越えてはならないと禁じられていた境界のさらに先へ。


最初のうちは特に変わったものは見つからなかった。


木々。

茂み。

かろうじて見える獣道。


しかし数分後、小さな草原へとたどり着いた。


二人はその場で立ち尽くした。


遠くに、巨大な建造物の廃墟が見えたからだ。


いくつかの柱は今なお立っていた。


他の柱は遥か昔に崩れ落ちている。


正面入口は半ば破壊され、植物がその場所を支配していた。


長い年月がすべてを蝕んでいた。


草原ですら傷ついているように見える。


大きな穴があちこちに開いていたが、草がそれらを覆い隠していた。


「あれは……何だ?」


リンが呟いた。


カズキは答えなかった。


彼の視線は廃墟に釘付けになっていた。


奇妙な感覚があった。


どこか懐かしいような。


まるで遠い昔のデジャヴのような感覚だった。


気づけば、彼は前へ歩き出していた。


「カズキ。」


リンが腕を掴む。


「この場所、好きじゃない。」


カズキは足を止めた。


改めて意識すると、彼にも感じ取れた。


遺跡の隅々にまでマナが溢れている。


あまりにも濃密で、居心地の悪さすら覚えるほどだった。


だが、リンがこの場所を拒絶している一方で、彼には別のものが感じられた。


まるで呼びかけのようなもの。


神殿が中へ入れと誘っているかのようだった。


「カズキ、帰ろう。」


リンは再び言った。


カズキはもう一度だけ廃墟を見つめ、やがて頷いた。


二人は来た道を引き返し始める。


村へ戻る途中、一つの疑問が二人の間に残り続けた。


「見つけたこと、どうするんだ?」


リンが尋ねた。


カズキは数秒考えてから答える。


「父さんに話す方法を考えよう。」


夜が明けた頃、ようやく教官たちが戻ってきた。


彼らは狩った獣を運んでおり、その表情には疲労が色濃く浮かんでいた。


誰一人として眠っていないように見える。


その中には、カズキとリンの父であるブレン・ヴァルシェムもいた。


彼は無言で険しい表情をしていたが、息子たちと目が合うとわずかに微笑んだ。


教官たちの帰還によって、多くの村人が集まっていた。


教官たちは数時間後に新たな必修授業を行うと発表した。


その知らせは皆の注目を集めた。


疲れているはずなのに、彼らは新しい授業を行うことに集中しているようだった。


その後まもなく、数人の教官が村長に呼ばれ、会議へ向かった。


カズキはブレンも呼ばれているのを見た。


そのことが彼の不安をさらに強くした。


機会を見て、彼はリンを人の輪から離れた場所へ連れて行く。


「俺たちが見た神殿と関係あると思うか?」


リンは首を横に振った。


「分からない。結論を出すにはまだ早すぎると思う。」


そう言いながらも、二人とも本心では納得していなかった。


授業は正午に始まった。


訓練場には二十人ほどの生徒が集まっている。


始まった瞬間から、どこか雰囲気がおかしかった。


教官たちは普段よりもずっと真剣だった。


一人の教官が最初の訓練内容を説明する。


森の中を逃げ回り、何人かの大人が追跡者役となるというものだった。


リンは緊張していた。


「前みたいに転ぶなよ。」


カズキが冗談めかして言う。


「クラスの半分が地面にキスしたの、今でも覚えてるぞ。」


笑い声が上がり、その場の張り詰めた空気が少し和らいだ。


鐘が鳴ると同時に、全員が駆け出した。


カズキ、リン、カイル、セドリック、ローワンは一緒に進む。


木々や根、起伏の激しい地面を避けながら、教官たちの追跡を振り切っていく。


アドレナリンのおかげで、その訓練はまるで遊びのように感じられた。


危うくカズキが木の根に足を取られそうになり、仲間たちは彼にぶつからないよう飛び越えなければならなかった。


「今度はお前が俺たちに地面へキスさせるところだったぞ!」


笑い声が木々の間に響く。


彼らは走り続け、ついに捕まることなくゴールへ到達した。


次の活動はさらに予想外だった。


教官たちは初めて全員を普段の境界の外へ連れ出したのだ。


その知らせに皆が驚く。


やがて彼らは村を囲む森を抜けて進み始めた。


神殿の近くは通らず、反対方向へ向かった。


教官たちは避難経路や近隣の村への道、重要な目印について説明した。


その目印の一つに、村へ帰る際の目安となる巨大な岩があった。


さらに危険についても説明される。


ゴブリン。


精霊。


ブラッディウルフ。


巨大イノシシ。


村の近くには存在しないが、その巨大な岩より東側には生息しているという。


また、人里から離れた場所で火を起こしてはいけないとも教えられた。


火は精霊を引き寄せるからだ。


加えて、村の西側では絶対に火を使うなとも言われた。


その言葉はカズキを不安にさせた。


神殿はその近くにあったからだ。


彼の頭の中は疑問でいっぱいになる。


(どうして今になってこんなことを教えているんだ?)


(なぜこんなにも急いでいる?)


他の生徒たちは新しい知識に興奮していたが、カズキだけは正反対だった。


家に帰る頃には、すでに夜になっていた。


ブレンは台所に座っていた。


体格の良い男で、温かみのある茶色の髪をしている。


その表情は疲れ切っていた。


カズキとリンは彼の向かいに腰を下ろした。


「遠征で何があったんだ?」


カズキが尋ねる。


ブレンは数秒黙ってから答えた。


「大したことじゃない。いくつかの交易路に野生動物が増えてな。村長がそれを心配しているだけだ。」


その答えはあまりにも簡単だったため、カズキとリンは顔を見合わせた。


「今日の授業はどうだった?」


今度はブレンが尋ねる。


最初に口を開いたのはリンだった。


「今日は森の外まで行ったんだ。その先に何があるか説明された。」


カズキは少し間を置いてから続けた。


「それと、授業の前にリンと探索した。」


その一言で家の中の空気が変わった。


ブレンの反応は即座だった。


「どこまで行った?」


声色が変わっていた。


リンは唾を飲み込み、カズキは背筋に寒気を覚える。


「森の外まで。」


ブレンの表情が硬くなった。


「何を見た?」


その問いが台所全体に響く。


カズキは立ち上がった。


「何かおかしいことが起きてるのは明らかだろ! 母さんは外のことを聞くと怒るし、突然みんなで出かけるし、必修授業まで始めるし……!」


ブレンは彼を遮った。


「どこまで行ったんだ?」


重苦しい沈黙が流れる。


やがてリンが答えた。


「遺跡を見つけた。」


ブレンの顔から血の気が引いた。


「どんな遺跡だ?」


「古い神殿みたいだった。」


リンが説明する。


「壊れた柱があって、入口も崩れていて、すごい量のマナを感じた。」


「でも入ってない!」


カズキが慌てて付け加える。


「外から見ただけだ。」


数秒間、誰も口を開かなかった。


ブレンは目を閉じる。


安堵と恐怖の間で揺れているようだった。


再び目を開いた時、その表情はさらに重く真剣なものになっていた。


「二百年以上前のことだ。」


彼は静かに語り始めた。


「この土地は戦争の舞台だった。」


兄弟は黙って聞いている。


「多くの村が消えた。都市ごと滅ぼされた場所もあった。あの神殿も、その時代に破壊されたものだ。」


カズキの心臓が速く鼓動する。


ブレンはしばらく沈黙した。


そして息子を真っ直ぐ見つめる。


「お前たちに話していないことがある。」


部屋の空気が凍りついた。


「カズキ……」


ブレンは唾を飲み込む。


「お前を見つけたのは、あの神殿だった。」


「まだ赤ん坊だったお前を、あそこで見つけたんだ。」


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