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二流勇者の野望  作者: 木村和颯
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いつもどおりの朝

俺は幼くして両親を交通事故で失っていた。そんな俺を引き取り育ててくれたのは母方の祖父母だ。

彼らは俺のことを大切に育ててくれた。祖父は3年前に癌で亡くなった。それからは祖母と2人暮らしだったが、それでも不自由はなかった。

祖母は毎朝弁当を作ってくれる。それを持って俺は学校へ向かうのだ。

少し熱気を帯び始めた初夏の風が最後の桜を散らす、4月下旬、新しいクラスにも馴染み始めた。

「いってきまーすっ!」俺はいつもどおり自転車で学校に向かう。そしていつもどおり親友でクラスメイトのタケヤとすれ違う。彼は自転車が肌に合わないとかいう良く分からない理由で自転車で通学せず、毎朝10キロ近い道のりを歩いてくる。ちなみに本名は澤田優介。なぜこのあだ名なのかと聞かれると困るが、顔や雰囲気がタケヤっぽいのだ。

「ようっ響、また後で学校でなー」

「おう、先行ってるなー」

短い会話を済まし、俺はそのまま学校へ向かう。

約15分後、いつもどおり彼女を見つける。彼女の名は加藤沙織。クラスメイトで才色兼備の大和撫子だ。成績は常に5本の指に入り、運動も都道府県対抗マラソンの選手に選ばれたり、短距離で関東大会まで行ったり、水泳でも大会記録を塗り替えたり、芸術に関してもピアノはコンクール上位入賞だし、絵画も毎回のように賞を取っている。何をしてもほぼ完璧にこなしてしまうのだ。それでいて全く驕りのない態度、柔らかい物腰。言わば完璧超人なのだ。

そしてなぜここまで褒めるかというと、簡単に言えば惚れているのだ。しかし俺は親密になりきれないでいたのだ。というのも高嶺の花過ぎて他の男同様、眺めているだけで満足してしまっていたのだ。

それでも俺はこの性格のおかげで、奇跡的にLINEをするまでになり、挨拶を交わす程度の関係になっている。そして

「お、おはよう、今日も麗しいね沙織さん」

「響くんおはよう、いつもいつも、お世辞ありがとう」

正直この状態に満足してしまっているのだ。俺のポテンシャルは明らかに彼女と釣り合わない。だからここが限界だと思ってる。本当のことをいえば、あわよくばカップルに…なんて淡い期待を抱いたこともあるが。

そんなことを考えているうちに学校に着いた。自転車を駐輪場に停め教室へ向かう。教室の扉を開ける。時計は7時20分を指していた。まだ中には誰もいない。俺はいつも1番に教室に入り、みんなが来るまでの間に勉強をしている。と言っても宿題ではない。俺はこうしてみんなに見えないところで努力を重ねている。勉強だけではない。運動に関してだって夜遅くに欠かさずランニングを行っている。こうしてやっとの思いで、何に関しても上の下という地位を築きあげたのだ。

なぜここまでするのかと問われれば、こう答えるしかあるまい。

見栄を張りたい。

その一点に尽きる。

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