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二流勇者の野望  作者: 木村和颯
3/3

異変

クラスメイトが教室に接近する足音を耳が捉えた。

俺は机の上に広げられたノートや参考書、問題集を素早くカバンにぶち込んだ。任務、完了だ。意味不明なミッションを自分の脳内で完遂した俺は、続々と入ってくるクラスメイトたちに爽やかな挨拶をする。俺のようなやつが爽やかに挨拶をすると、それはもう何とも言えないような胡散臭さのようなものがにじみ出るのだ。こんな些細なことでも会話の出発点くらいにはなるというものだ。

いつも通りタケヤや、新しいクラスメイトたちと談笑をしていると予鐘が鳴った。1時間目は我らがクラス担任、後藤による世界史だ。彼は非常に厳しい教師として有名で、クラスに怒声が響くことも珍しくない。しかし一方で、気に入った生徒には非常に厳しい甘い一面がある。俺は得意のゴマすりで、自分で言うのもなんだが、相当な好かれようだ。

授業の準備のために、廊下にある自分のロッカーへ教科書を取りに行こうと立ち上がる。その瞬間視界が揺れる。ん、めまいを起こしたのだろうか。まあ、そんな日もあるだろう。さして気にも止めずにロッカーから教科書を取り、席に戻る。

後藤は授業開始の鐘と共に教室に入ってきた。挨拶をし、授業が始まる。時々後藤は俺に絡み、そしてそれを俺が上手く返す。いつも通りの授業は何事もなく終わった。授業の終盤に、めまいのような視界の揺れを感じた以外は。

次の授業は国語だ。この授業は大石という中年の女性教師によって行われる。この教師は俺が苦手とする、数少ない人物だ。教職を仕事と割り切って、生徒との深い関わりを嫌う。俺のようなお調子者はこの難攻不落の、小田原城みたいな教師に弱いのだ。

げんなりしながらも授業の準備のためにまた廊下にある自分のロッカーへ教科書を取り行く。またしてもその時だった。立ち上がった瞬間視界が揺れる。しかし、今度はそれだけではなかった。一瞬視界にノイズのようなものが走る。次の瞬間、ほんの一瞬だが見たこともない山に囲まれた美しい村落をみた。そして次の瞬間には見慣れた教室の風景が広がっていた。どうやら、ただのめまいではなさそうだ。察しのいい俺は、視界が揺れる間隔が短くなったこと、見たこともない村落が目の前に一瞬現れたことを踏まえ、ある結論にたどり着いた。

俺は別の時空世界へ移動しそうなのではないかと。

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