~泉side~
その日は眠くて仕方なかった。
普段ならめんどくさいの一択で人が揉めてようが何しようが気にもとめなかった。なのに、
「何?喧嘩?」
気づけば身体が動いていて口をついて出ていた。そして、目隠ししてた女の子の驚いたような、今すぐにでも泣いてしまいそうなそんな顔を見た、目が合った時思わずどうにかしないとっていう気持ちで咄嗟に動いていた。
そんな不安定な状態の女の子が声をかけてきたので、適当にからかったりして気を紛らわせながら、これからどうすればいいか分からず、必死に思考回路を巡らせていた。
そうこうしてる内に、保健室の前へとやって来た。保健室の先生へと託そうと考え引き戸を開けると中はガランとしており、誰1人と見つかりそうになかった。
(仕方ない、さっさと寝かしつけて帰るか)
大体自身の名前は知れ渡っており自己紹介を普段する機会がなく忘れていた事を思い出し改めて名乗ると、泉が苗字では無いことに驚かれ新鮮味を得た。
(本当に私の事知らなかったんだ…てっきりわざとかと)
思わず笑ってしまった。いつの間にか学校の全員に知られているとおごっていた自分に対して。
ずっと学校では気を張っていたから、気が抜ける相手は紗羅を覗いては初めてだった。
久しぶりに相手に興味を持ち色々と質問をしているうちに時間が経ち、打ち解けていた。
話が一段落たったところで、ひめちゃんを寝かしつけるという最初の目的を思い出した。自然な感じで頭に触れ寝かしつけ保健室を後にしようと動いた。
その時、左手の袖をくいっと引っ張られた感覚がして振り向くとキョトンとした顔で私の顔を見てくる。
違和感の正体を確かめるべく自身の左手へと視線を向けると確かに引っ張られている。
(無自覚っ!?)
顔がにやけそうになるのを必死に堪え、ひめちゃんをからかう。
「んー。やっぱりもう少しここに居ようかな」
本来なら早々に立ち去っていたはずなのに、残ることを決意した。
(可愛いことされちゃったし。確かに先生もいないこの状況で心細いか。)
そう思い近くの椅子に座りもうすぐ中間テストだった事もあり、メガネをかけてテキストをパラパラと捲り勉強し始めた。
(放課後は練習があって出来ないんだよね。それに必死に頑張ってるような姿見せちゃうと幻滅されちゃうかもだし。そんな風に持っていったのは私なんだけど…自業自得か。)
そんな事を考えながら、参考書をペラペラと見ているといつの間にか深い眠りへと落ちていた。
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