泉2
何か話声が聞こえる。でも、まだ瞼が重くて開けられない…そんなまどろみの中で頬を何か当たる感覚があった。少し冷たさを帯びたそれは気持ちが良かったので思わず頬をすり寄せる。すると、手が固まった。何故か気になったが、瞼が重くて開きそうにない。
また、深い眠りへと誘われ次に意識が浮上した頃には話声の他に頬をつつかれる感触が伝わってきた。
次第につつかれすぎてイライラしてきたので、ゆっくりと瞼を開けることにした。
すると、紗羅と姫ちゃんの会話の内容が脳に伝わってきた。
どうやら私の事も話しているようだ。仲良くなってくれるのはいいが、私がいない間に私の話をされるのはいささか気分が良くない。なので、
「出てたよ、紗羅。君はいつも焦ると出てくるよね。それで私が何に気づかないって?」
と2人に声をかけた。
2人は驚いた声をあげたが、あんだけ突ついていたら流石に誰でも起きると思う。
目を擦り、大きく伸びをし席を立つ準備をした。
「ある程度元気戻ったみたいだし、私達は一旦戻るね。君も戻れそうなら戻りな〜。ほら、紗羅行くよ」
と紗羅を連れ保健室を出た。
「紗羅、後輩ちゃんと何の話してたの?」
「えっ!?秘密ですわ!!」
「私の紗羅の仲でも話せないの?」
あからさまに不機嫌な顔をすると紗羅は困惑した。
「冗談だよ、戻って昼ごはん食べよ。もともとそれで呼びに来たんでしょ?」
「うん!今日のお弁当も豪華なのよ、一緒に食べて」
紗羅が私の手を引き話の流れを無理に変えようとするかのように、早く教室に戻るよう急かす。
「…!?」
誰かに見られているような気配を感じて後ろを振り返ったが、そこには誰もいなかった。
「どうしたの?泉?」
「ううん。何でもない、気のせいだったみたい。早く戻ろっ」
紗羅の不安を仰がないように笑顔を作り、そう返した。
「泉先輩って思ってたよりも人の視線に敏感なんだ。あやうく気付かれるところだった。」




