突如の訪問者
ガラガラッという扉が開く音とともに意識の澱から、聴覚だけが不浮上する。
「泉〜?ここかと思ったんだけど違うかな〜…」
スタスタという音とともに甲高い女の人の声が室内に響いた。
「やっぱりここに居た。いずみ〜?寝てる…?」
その後沈黙が続く。どうやら泉先輩は椅子に座ったままいつの間にか寝ているようだ。
「そうだよね…いつも遅くまで残って練習していて、かつテストの成績はいつも上位にいる」
「…っ!」
ふと息を飲むような声が聞こえたと思ったらまた静寂に包まれたため、気になりそーっと目を開くと今まさに泉先輩の唇に自身の唇を重ねようとする女の姿がそこにはあった。目が離せず、じっと見つめているとその視線に気付いたのか唇が触れようとするすんでのところでその女が止まり、私の方をチラッとみたので目が合う。みるみる女の顔が赤く染っていく。
「あっ…違っ」
唇をわなわなと震わせている。まるで次に紡ぐ言葉を必死に探しているようだ。そんな事が起きていると知らずに当の本人はすやすやとまだ寝ている。
「あぁ、もしかして紗羅さんですか?」
「なんで分かったの!?泉がなんか話したの?」
「んんっ…」
「ちょっ、そんな大声を出すと先輩が起きてしまいます。」
少し眉根を寄せたかと思うとまたすやすやと深い眠りにへとついた。
「大丈夫よ。泉はなかなか起きないわ。毎日ほぼほぼ寝ていないから、ふと寝た時はなかなか起きないの。」
そう言いながら紗羅は泉先輩の頬をツンツンと突く。
「そんな生活してるんですか。いつか身体を壊してしまいそうで心配ですね」
「本当にそう。頑張りすぎなのよ、泉は。でもそんな所が好き」
少し頬を赤らめながらそう紗羅は言う。
「恋してるかのような表情ですね」
「私そんなに分かりやすいかしら!?泉にバレてたらどうしましょう」
「大丈夫だと思いますよ。泉先輩は気付かなそう。それよりその不意に出るお嬢様言葉が私は気になります」
「うそっ、私気づかないうちにまた出てた!?」
「出てたよ、紗羅。君はいつも焦ると出てくるよね。それで私が何に気づかないって?」
「「泉(先輩)っ!?」」
「いつから起きてたんですか?」
「さっきだよ。流石にそんなに突つかれてたら起きるよ。」
「先輩、おはようございます。」
「おはようってもう昼休みだけどね」
そう時計を指さしながら泉先輩は言った。
「ある程度元気戻ったみたいだし、私達は一旦戻るね。君も戻れそうなら戻りな〜。ほら、紗羅行くよ」
「待って、泉〜」
泉先輩はスタスタと保健室を後にした。




